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第十五回 流行りモノの罠
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70年代のドラマをケーブルTVで見てたら,懐かしい演出に出会ったですよ。長髪ベルボトムの若者の後ろ姿を見ながら「何だ,近頃の若いもんは,男だか女だかわからん格好をしよって」と怒るおじいさん/「あら,おじいさん,今はああいうのがいいんですよ」と笑ってたしなめるおばあさん,ってヤツ。簡素にして便利,汎庸にして愚直な「説明シーン」ではありますが,最初に考えついた人はエラいかもしんない。今でも新聞の4コマまんがとかに細々と受け継がれてたりしてるくらいだし。ドラマでもいまだに使われているのかどうかは,オレは近ごろTVドラマってぜんぜん見ないんで,知らないけどね。
で,それがどうしたかって? いやあ,このごろさあ,その会話が頭ん中で展開しちゃうんですよ。最初はえーと,何インチも大きいサイズのジーンズを,股上がひざのあたりまでずり落ちてるようなスタイルではいて,カルバン・クラインのブリーフ見せてるような男の子が街にぞろぞろ現われはじめた,あのときだったと思う。うーん,流行ってんだろうけどちっともかっこよく思えないけど,楽しそうだしまあいっか,って気分なら,それまでにもしばしば感じてたけど,アレはもお,まるっきり理解不能でしたね。何が楽しくてあんなカッコしてんだか,手がかりナシ。おい,何だよありゃあ,って感じだった。
でもまあ,流行ってんだろうなあ,ああいうのが,と思いなおして,それと同時に自分でびっくりした。うわあ,今の反応って,まるであの「端役の老夫婦」じゃん,って。すなわちその瞬間にオレは自分が「若者文化」の外側にいることを(やっと)認識したわけですね。やー,世間的にはオタクとかアレとかナニとか呼ばれてても,人間やっぱそれなりに年はとるもんなんだねえ(笑)。以来,ハヤリモノを「おじいさんの目」で見るとどうなるか,ってのを楽しめるようになって,なんだか1個トクした気分。あらまあいやですよおじいさん,「下着のような服」だなんて,あれは「キャミワンピ」ですよ,とかね(笑)。
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