2001年6月6日
現在の外付けCD-RWドライブは、USB接続タイプが圧倒的な人気で、ノートPCとセットで持って歩けるポータブルタイプの製品にも注目が集中している。松下電器/九州松下のポータブルCD-RWドライブ「KXL-RW31AN」は、USB 1.1で実現可能な書き込み速度としては最高となる8倍速書き込みに対応し、バッファアンダーランをほぼ確実に防ぐ「JustLink」を搭載する新製品だ。
ポータブル&8倍速書き込み&JustLink
USB 1.1対応ドライブとしては最高峰の能力
20倍速だ24倍速だと、書き込みのスピード競争が激しいCD-RWドライブ市場だが、松下電器産業が行った大型量販店を中心した売れ行き調査によると、現在の売れ線は6〜8倍速書き込みでUSBインターフェイスタイプの外付けドライブだという。特に5インチハーフハイト(いわゆるデスクトップ機内蔵用のドライブ)のドライブを利用したボックスタイプの外付けUSBドライブでは2万円を切る製品も登場するなど、値頃感と接続しやすさが非常に受けているようだ。外付けタイプには、ボックスタイプのほかに、薄型化・軽量化を推し進めたポータブルタイプの製品も多数登場しており、ノートPCユーザーを中心にこちらも注目を集めている。
また、USBドライブのトレンドとしては、「BURN-Proof」や「JustLink」といったバッファアンダーラン防止機能を装備する8倍速書き込みのドライブが多くなっていることがあげられる。従来、USB 1.1では転送レートが低く8倍速書き込みを行うにはコスト高になってしまう大容量のバッファメモリを搭載しなければ実現が難しかったが、バッファアンダーランをほぼ100%防ぐことが可能なJustLinkなどの技術が登場してきたことにより、8倍速書き込みのUSBドライブが実現可能になったというわけだ。しかし現状では、バッファアンダーラン防止機能を装備したUSBドライブは、今のところボックスタイプの製品がほとんどで、ポータブルタイプとしては、プレクスター製ドライブを採用したメルコ「CRWU-PB88」(8倍速書き込み/書き換え/読み出し、BURN-Proof搭載)ぐらいしか市場に出回っていない。
6月27日に発売される松下電器産業/九州松下電器のCD-RWドライブ「KXL-RW31AN」は、USBドライブの人気と高速化の要望に応えるポータブルCD-RWドライブ最高峰クラスの製品だ。前モデルにあたる「KXL-RW21AN」はメディアのローディングがトレー式だったが、今回はATAPIタイプのポータブルCD-RWドライブ「KXL-RW30AN」(8倍速書き込み/4倍速書き換え/24倍速読み出し)やポータブルCD-RW&DVD-ROMドライブ「KXL-CB10AN」と同様のシェルトップローディング方式(上蓋を開けてメディアをセットする方式)が採用されている。デザイン的にはKXL-RW30ANを踏襲しているが、ラインナップとしてはKXL-RW21ANの後継機種という位置付けで、本機の登場を受けてKXL-RW21ANは生産終了となる。
 |

前モデルはトレー式ローディングだったが、今回は松下のほかのポータブルドライブと同じシェルトップローディング方式が採用されている。 |
書き込み速度と書き換え速度はUSB 1.1インターフェイスのCD-RWドライブとしては最高クラスの8倍速で、バッファアンダーラン防止機能にリコーの「JustLink」を採用。バッファメモリは2MBと大きくないが、JustLinkの効果により、8倍速で安定した書き込みが可能となっている。読み出し速度は6倍速で前モデルから変更がないが、松下電器によると、これはUSBの転送能力を考えると安定して8倍速読み出しを行うのが難しく、前モデルのスペックを引き継ぐにとどめたとのことだ。
 |

本体背面。USBコネクタは専用のミニタイプで、USBケーブルも付属の専用ケーブルを利用する。 |
また、従来の同社製USB CD-RWドライブと同様に、DOS用ドライバがパッケージに同梱されている。USBタイプのCD-ROM/R/RWドライブでは、DOS上で動作しない、つまりWindowsの再インストールに利用できない製品が多いが、本機ではPCカード接続タイプのCD-ROM/R/RWドライブと同様にWindowsの再インストールにも利用できる。そのため、再インストールのために別途CD-ROMドライブを準備するなどという余計な出費をする必要はない。なお、本機で簡単に再インストールするための「起動ディスク作成ツール」も付属しているので、DOSの知識のまったくない人でも取り扱いは難しくないだろう。
本体サイズ/重量は130(W)×157(D)×17.5(H)mm/310gで、メルコのBURN-Proof搭載機、CRWU-PB88に比べると厚さは20.5mm小さく、重量も250g軽量とぐっとコンパクトな仕上がりだ。サイズではバッファアンダーラン防止機能を持たない8倍速書き込み機、ソニー「CRX76A/U」(重量200g)にこそ及ばないが、非常に携帯性に優れたデザインとなっている。残念ながらUSBバスパワードでの駆動はできず、使用時にはACアダプタが必須となるが、書き込み時に高いレーザーパワーが必要となるCD-RWドライブではこれは仕方のないところだ。
JustLinkが動作する分タイムロスはあるが
バッファアンダーランによる書き込み失敗は皆無
読み出し速度の上限を6倍速と低めの設定にしていることからもわかるように、8倍速での書き込みはインターフェイス(USB 1.1)のスペック的に非常に厳しい作業で、実際の書き込みではJustLinkの使用は必須だ(付属ライティングソフトのデフォルト設定でも、JustLinkはオンになっている)。
JustLinkによるバッファアンダーラン防止の仕組みは、ドライブへのデータ転送が遅れ、バッファメモリが空になる(=書き込むべきデータがなくなる、つまりバッファアンダーランが発生する状態になる)恐れが出た場合、エラーが発生する前に書き込み作業を一時中断してデータがバッファメモリに貯まるのを待ち、バッファ内に十分なデータが確保されたら書き込みを再開する、というものだ(BURN-Proofも基本的な動作原理はほぼ同じ)。書き込みを一時中止してから再び再開する、という作業が行われるため、一時中止地点〜再開地点にはごくわずかながら「継ぎ目」ができてしまうのだが、この継ぎ目は「データの読み出し上障害にならない程度の微小なゴミ」レベルのごくごく小さなもので、データを読み出す際に不具合が出るようなものではない。JustLinkがたびたび機能すると若干不安を覚える人もいるかもしれないが、データを書き終えたCD-R/RWメディアは安心して使える。
編集部で実施したベンチマークテストでは、本機を8倍速に設定した場合の書き込みにかかった時間は、ATAPI内蔵タイプのドライブでの8倍速書き込みよりも約94秒ほど長くなった。この差の原因のほとんどはJustLinkが動作したことによる「一時停止」の累積によるものだ(JustLinkは79回動作した)。ただ、それでも6倍速での書き込みよりは1分以上高速な結果となっている。なお、オンザフライ書き込みで実施したこのベンチマークテストでは、JustLinkを無効にした状態ではバッファアンダーランが発生してしまい、正常に書き込みを終了させることができなかった。
 |

KXL-RW31ANの8倍速書き込み(JustLink有効)および6倍速書き込み(JustLink無効)、リコー「MP7200A」の8倍速書き込み(JustLink無効)の各条件で、500MBのデータファイルをオンザフライ書き込みでCD-Rメディアに記録したときの所要時間(ディスクアットワンスで書き込んだため、セッションを閉じる作業の時間まで含む)。なお、KXL-RW31ANでの8倍速書き込みはJustLink無効では正常に動作を完了できなかった(バッファアンダーランが原因)。 |
KXL-RW31ANの価格はオープンプライスで、実売価格は前モデルと同程度の3万円台前半になると予想される。2万円を切るボックスタイプのUSB CD-RWドライブもある現在の市場動向から見ると、やや高めの価格だが、USBドライブとしては最速の8倍速書き込みとJustLinkによる書き込みの圧倒的な確実性、そして本体重量310gという携帯性の高さは、ポータブルタイプのCD-RWドライブとしては非常に高いレベルのものだ。とにかく高速な製品を求めるのであればPCカード接続のドライブを、ということになるが、ケーブル1本で手軽に接続できる取り回しの気楽さは本機の大きな魅力だ。
| 書き込み |
8倍速(CLV) |
| 書き換え |
8倍速(CLV) |
| 読み出し |
6倍速 |
| 読み出し(CD-RW) |
6倍速 |
| バッファメモリ |
2MB |
| アクセスタイム |
150ms |
| インターフェイス |
USB 1.1(専用ケーブル付属) |
| 付属ソフト |
B's Recorder GOLD、B's CLiP |
| 価格 |
オープンプライス |
|
(内田)
|