アスキー PC Explorer 2002年4月号 2002年3月21日
松下電器産業の「SV-AV10」(愛称:D-snap)は、静止画撮影、動画(MPEG4)撮影、音楽(AAC)再生が可能な超小型デジタルカメラだ。タバコの箱よりも小さなボディには2インチカラー液晶モニタも備える。
DVカムコーダのミニチュアのようなボディ
「D-snap」という愛称を持つ本機は、撮影スペックとしては33万画素CMOSセンサと単焦点パンフォーカスレンズの組み合わせという、いわゆるトイデジカメクラスだが、MPEG4録画機能や音楽再生機能を備える多機能製品だ。
同社のリリースで"折りたたみ式携帯電話サイズ"とうたわれているように、本体サイズは28(W)×87(D)×50(H)mmとタバコの箱よりも一回り小さく、側面にある液晶モニタ部がフリップオープンするのも折りたたみ式携帯電話のようだが、携帯電話と違って液晶モニタ部は横方向に90度までしか開かない。ただし、90度まで開いた液晶モニタは上下270度(上180度/下90度)に回転し、液晶面を表にした状態でも閉じることができるなど、DVカムコーダをそのまま小型化したような形状だ。
スイッチは本体背面に縦に並ぶ3つのスイッチと、上面にあるシャッターボタンの4つのみだ。背面のスイッチは上からMENU/電源スイッチ、モードスイッチ、ダイヤルの「ジョグレバー」(上下とプッシュの3WAY)で、基本的な操作は電源スイッチを押して電源を入れ(長押しで電源OFF)、モードスイッチで撮影/再生を切り替え、ダイヤルスイッチで動画/静止画/音楽(再生時のみ)の切り替えや各種設定、メニュー項目を選択を行う。
記録メディアであるSDカード/MMCは本体の左側面に液晶パネルの下となる部分に装着される。付属する8MBのSDカードであれば、640×480ドット静止画なら高画質モードで約45枚、最高画質のMPEG4動画であれば約2分、ボイスメモ/AAC音楽録音ならば25分の記録が可能だ。
動画記録に関しては、以下の4種類のクオリティが選択できる。画質に関しては、撮った画像をPCで見るならファインモードのほうがきれいだが、D-snapの液晶で見るならばノーマルモードでもそこそこに鑑賞に耐えられるといったところ。
表 D-snapの動画モード
| モード |
記録画素数 |
フレームレート |
ビットレート |
| ファイン |
320×240ドット |
6fps |
360kbps |
| ノーマル |
176×144ドット |
10fps |
220kbps |
| エコノミー1 |
176×144ドット |
10fps |
100kbps |
| エコノミー2 |
176×144ドット |
6fps |
64kbps |
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面白いのは、デジタルカメラとしては珍しくAV出力を持たず、代わりにAV入力を備えている点だ。TV番組を見る時間のない人が出勤前に録画して電車の中などで見るといった用途が想定されているらしい。実際に使ってみると、液晶の画素数が多め(11万画素)のため、ファインモードであればニュースなどのテロップもちゃんと読めるなど、手軽なビデオ録画/再生としては十分使えそうだ(ノーマル以下のモードではテロップの文字がかなり読みにくくなる)。512MBのSDメモリカードならばファインモード(最高画質)で160分、エコノミーで最長680分の録画が可能だ。いわゆるタイマ録画機能はないものの、AV入力端子からの信号入力を検出して録画を開始するように設定できるので、ビデオの録画予約などと組み合わせて留守番録画的な利用も可能だ。
AAC再生機能では、本体下部にあるイヤフォン端子(AV入力端子と兼用)を使用する。液晶画面にはタイトルのアーティスト名(1byte英数カナのみ)も表示される。ただし、SDメモリカードへの音楽データの転送を行うためには別売のSDカードリーダと転送ソフトのセット「SD-Jukebox」(オープンプライス)が必要となる。
不満点も多いがオモシロく使える
電源を入れると最初は必ず動画/静止画を選択するメニューが表示され、まずメニューから静止画/動画/録音のいずれかを選択しなくてはならない。スナップ用途で使うことを考えれば、取り出して電源を入れてから撮影までに1動作入るのは少々もどかしい。最後に選択した動作モードで起動してくれたほうが使いやすかっただろう。
また、液晶パネルを回転させても、メニューから上下反転を選ばないと液晶表示の上下が切り替わらない。低価格化のため液晶の回転を検出するスイッチを省略したためだが、DVカムコーダなどでは当たり前のように装備している機能なだけに、これがないことに最初は戸惑ってしまう。このほか、液晶表示面を表にして閉じることで液晶TVのように使えるが、その状態でのロック機構がなく、液晶モニタが本体に密着しないのが気になったほか、三脚孔や外部マイク端子がないのも少々不満だ。三脚にセットできればちょっとしたスナップでも安定して撮影できるし、より感度の高い外部マイクを利用できればボイスメモとしての使い勝手も向上しただろう。
静止画像を見てみると、100万画素クラスの入門用デジタルカメラには及ばず、メモ用途にはそれなりに使えるといったところで、解像感も乏しく階調表現もあまりよくない。
実際に使ってみると、携帯しやすいことから普段持ち歩いてもほとんど邪魔にならず、普段はメモリオーディオプレーヤとして利用し、ちょっとしたメモ程度に使うのがよいだろう。
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撮影サンプル1。元画像(640×480ドット)のまま掲載。レンズがパンフォーカスであるため解像感のないのはともかく、周辺部のぼけと減光が目立つ。 |
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撮影サンプル2。元画像をそのまま掲載。ハイライトは白とびしやすいほか、エッジ部にはブルーミングが生じる。 |
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同種のメモリオーディオプレーヤ兼用デジタルカメラとしては、コダックの「Kodak mc3」、富士写真フイルムの「FinePix 30i」などがあるが、D-snapはほかの製品よりも一回りコンパクトであるほかMPEG4動画を撮影でき(30iの動画はAVI)、液晶モニタもmc3の反射型TFTや、6万画素の30iに比べて見やすいのも好印象だ。
問題は価格だが、D-snapはオープンプライスながら実売で4万円台半ばと想定されている。量販店などを見てみると、30iは4万円を切り、mc3は1万円前後まで値下がりしている現状ではD-snapは少々割高に感じてしまう。とはいえスチルとムービーの撮影機能と音楽再生がこれほどコンパクトにまとまった製品はほかにはなく、新世代の携帯情報デバイスを予感させてくれる製品だ。
| SV-AV10の主なスペック |
| 撮像素子 |
1/4インチ有効33万(総35万画素)CMOS
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| レンズ |
単焦点パンフォーカス、f=4.16mm、F3.6、
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| 最短撮影距離 |
50cm
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| 記録媒体 |
SDメモリカード(8MB付属)、マルチメディアカード
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| 記録画素数 |
640×480ドット
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| 動画記録 |
320×240/176×144ドット、MPEG4
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| 液晶モニタ |
2インチTFT(11万画素)
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| インターフェイス |
USB、AV入力、ヘッドフォン出力
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| 電源 |
専用リチウムイオン充電池
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| サイズ |
28(W)×87(D)×50(H)mm
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| 重量 |
約98g(本体のみ)/約125g(装備重量)
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(アスキーPC Explorer編集部・行正 和義)
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