2002年1月18日
カムコーダの小型軽量化もココまできたか! ――思わずそううならしめるコンパクトモデルがソニーより登場し、注目を集めている。その名は「Network Handycam DCR-IP7」。ビデオフォーマットに「MICROMV」を採用する、ユニークなコンセプトのモデルだ。
コンパクトなボディに豊富な機能を満載
DCR-IP7(以下IP7)は、ソニーオリジナルのデジタルビデオフォーマット「MICROMV」(マイクロエムヴィ)を採用、独自の「MICROMVカセット」に記録することでコンパクトサイズを実現したデジタルカムコーダだ。本体は47(W)×80(D)×103(H)mmと、完全に手の中に収まるサイズながら、テープへの撮影機能のほかに、メモリースティックへの静止画/動画記録、PCとのデータ連携、Bluetoothで携帯電話などを経由してのビデオメール送信、Webブラウジングといった付加価値を盛り込んだ多機能モデルである。
カムコーダとしての基本スペックは、カメラ部が光学10倍ズームレンズに1/6インチCCDの組み合わせで、電子式手ぶれ補正を搭載する。プログラムAEはオートのほか、絞り優先やシャッタースピード優先、夜景撮影などが可能。フォーカスとホワイトバランス調整はオートのほか、マニュアルでの操作できるなど、コンパクトサイズのカムコーダが持つ標準的な機能は一通り装備している。
続いてVTR部だが、本機の特徴であるMICROMVフォーマットは、DV相当の動画品質をより少ない記録情報量で実現することを目指してソニーが開発したもので、フレームサイズとフレームレートはDVと同じ720×480ドット/29.97fpsながら、動画の圧縮/復元アルゴリズム(CODEC)としてDVよりも圧縮率の高いMPEG2(転送レート12Mbps)を採用する。
記録メディアは専用テープカセット「MICROMVカセット」を使用する。カセットは46(W)×8.5(D)×30.2(H)mmと、DVテープよりもさらに小さく、オーディオ用のマイクロカセットに近いサイズだ。なお、残念なことに今のところ60分記録のカセットしか用意されていない。
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右側がMICROMVカセットで、左側は一般的なDV対応のビデオカメラが採用しているminiDVカセット。このように比較すると、いかにMICROMVカセットが小さいかがよくわかる。実際、miniDVカセットに対して容積比はわずか30%。 |
ボディのデザインは縦型のDVカムコーダをそのまま小さくしたようなデザインで、縦長の本体上側にレンズとビューファインダ、左側面にはアングル可変式の液晶モニタを搭載する。ボディ右側面には録画のスタート/ストップ、静止画撮影シャッター、ズームボタンといった撮影に最低限必要な機能ボタンが並ぶ。
液晶画面にメニューを表示させて操作する場合はボディ左側面(液晶パネル側)のカーソルキーを使う。メニューはタブで機能を切り替える方式なので、触ればすぐに理解できるだろう。ただし、カーソルを初めとした操作スイッチ類は本体サイズに合わせて小さく、メニュー操作などはシビアで誤操作しやすい。
撮影中でも、多くの操作をボディ左側面のカーソル(5WAY方式)で行うのだが、三脚で固定しているような場合ともかく、手持ちで撮影している最中にフォーカスや絞りのマニュアル操作をするのは非常に難しい。前述のとおりズームは右側面のスライダを使うのだが、こちらのスライダも非常に小さいうえ、誤動作防止用に押し込んでからスライドさせる構造になっているため、撮影中に片手で行うのは困難だ。手ぶれの問題も考えれば、手持ちでの撮影は設定固定・ズームは広角側で行うなど、割り切った使い方が必要となるだろう。
撮影した動画を見てみると、細部までカッチリとした描写にはなっているが、DVでの画像に比べると若干甘く感じられる。いわゆるMPEG2圧縮が最も苦手とする木の葉が風に揺られるようなシーンでは細部の描写も多少甘くなるが、ビデオエンコーダソフトを使ってMPEG2にしたときのように明確にブロックノイズが目立つことはない。また、発色に関してもDV画像に比べると色に深みがなく、階調表現が浅い印象を受ける。
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MICROMVデータをメモリースティックの映像記録モードでもっとも画質の高い「スーパーファイン」にコンバートした映像のサンプル。MICROMVと比較するとどうしても眠たい印象の画質だが、フレームレートは30fpsなので動きにはギクシャクした感じはない。 |
i.LINKによるデータ転送にも対応
PCとの強力な連携機能
IP7は冒頭で挙げたとおり、メモリースティックへの静止画/動画の記録にも対応する。静止画の記録機能はデジタルスチルカメラの35万画素モデル相当で、撮影した静止画は640×480ドットのJPEGファイルとして記録できる。
一方、動画の記録機能は、一部のデジタルスチルカメラに搭載されている“動画撮影機能”と同等のもので、記録フォーマットはMPEG1、記録モードはVideoCD相当の品質となる「スーパーファイン」からビデオメールの送信に最適な「ライトモード」まで、合計4つのモードがある(詳しくは下表を参照)。
記録メディア別の映像記録品質設定一覧
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メモリースティックに記録 |
MICROMVカセットに記録 |
| 記録モード |
スーパーファイン |
ファイン |
スタンダード |
ライトモード |
―― |
| フレームサイズ |
352×240ドット |
144×96ドット |
720×480ドット |
| フレームレート |
30fps |
10fps |
29.97fps |
| オーディオサンプリングレート |
32kHz |
48kHz |
| オーディオダイナミックレンジ |
16bit |
| オーディオチャンネル |
モノラル1ch |
ステレオ2ch |
| データレート |
1200kbps |
750kbps |
400kbps |
200kbps |
12Mbps |
| 1回の撮影におけるメモリースティックへの最大記録時間 |
45秒 |
1分10秒 |
2分20秒 |
4分40秒 |
―― |
| メモリースティックに記録できる時間の目安(64MB) |
約6分 |
約10分 |
約20分 |
約41分 |
―― |
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動画の品質はMICROMVに及ばず、1回の撮影で記録できる時間も限られるが、この機能によって記録した動画はWindows MeやXPに標準搭載されるWindows Media Playerで再生可能だ。PCユーザーへの配布を前提とした動画撮影には、大変便利な機能と言えよう。
なお、IP7では、MICROMVで記録した動画をメモリースティックにダビングする機能も搭載している。ここでいうダビングとは、MICROMVデータをメモリースティック記録用の記録モードでコンバートし、その結果をメモリースティックに書き込む処理のこと。メモリースティックへの単純なファイルコピーには対応していない。MICROMVデータのデジタルコピーを行うには、もう1台のMICROMV対応ビデオ機器――つまりIP7か、IEEE1394ポートを搭載したPCが必要だ。
PCとのデータ連携は、ボディ側面に搭載するi.LINK(IEEE1394)/USBポートを介して行う。この2つのポートはそれぞれ役割が異なり、i.LINKはMICROMVデータの入出力に、USBはメモリースティックに記録した静止画と動画のコピー用となっている。ここから先は、特にi.LINKによる動画入出力に触れることにしよう。
i.LINK経由によるデータの転送は品質の劣化がないデジタルコピーで、デッキコントロールに関してもPCからのリモートコントロールをサポート。ソフトウェアさえ対応していれば、DV対応のビデオ機器を扱う感覚でMICROMVデータを扱える。――となると、気になってくるのは対応ソフトだ。
IP7ではオプションの「アクセサリキット」(2万7500円)に、MICROMVデバイスを認識させるためのドライバとエンターテインメント色の強いビデオ編集ソフト「Movie Shaker 3.1 for MICROMV」(以下Movie Shaker、対応OS:Windows Me/2000/XP)を収録している。Movie Shakerはボタンひとつで複数ビデオクリップのミキシングが行えるビデオ編集ソフトで、名称に“for MICROMV”とあるように本バージョンではMICROMVカセットからの動画の入出力はもちろん、PCからIP7のリモートコントロールにも対応する。MICROMVデータのキャプチャはユーザーが指定したシーンを単純にキャプチャしていくベーシックな方法のほか、データの不連続点を元に自動作成されたシーンの一覧からキャプチャしたいシーンを選択、まとめて取り込む「バッチキャプチャ」、MICROMVカセットに記録したシーンを個々のファイルとして全部コピーする「ダビング」を用意。データ転送は最小限の手間で実行できるようになっている。
ビデオ編集ソフトとしてのMovie Shakerは、ビデオのトリミング、複数ビデオの連結といった基本的な機能に加え、テキストの追加や動画素材に重ね合わることができるビデオエフェクト(「爆発」や「泡」といったおもしろい動きのあるアニメーションとの合成)、クロスフェード/ワイプなどのトランジションエフェクトの適用をサポート。ビデオトラックがひとつしかないため複数ビデオの重ね合わせはできないが、MICROMVで記録した動画をわかりやすくまとめる程度の編集処理であれば十分に使える。作成した動画は、MICROMVカセットに出力できるほか、QuickTime、MPEG1、DV CODECのAVIビデオクリップ、RealVideo形式で出力可能だ(MPEG1はメール添付用として最大60秒)。
一方、USBポートによるデータのコピーは、オプションの「パソコン接続キット」(9800円)に付属するデバイスドライバ(対応OS:Windows 98/Me/XP/2000、Mac OS 8.5.1/8.6/9.0/9.1/X)をPCにインストールすることで行う。USB経由で接続したIP7は、PCからはリムーバブルディスクとして見えるので、データのコピーはエクスプローラ上から簡単に行える。
TV CMなどでおなじみのビデオメールの送信は、Bluetooth対応の携帯電話やモデムアダプタを介することで実行が可能だ。実際にはビデオメールを含めたメールの送受信に加え、Webサイトの閲覧をサポートする。メールの送受信機能はSMTP/POP3プロトコル対応で、全角にして256文字までのテキスト(本文)とメモリースティックに記録した3MBまでのMPEG1もしくはJPEGファイルを送信できる(MICROMVの高解像度動画をメールできるわけではない)。メールを受信は全角で最大2000文字まで受け取ることができ、最大50通までメモリースティックに保存できる。機能としては簡素だが、静止画や動画の送信には必要十分といえる。
Webサイトの閲覧機能はHTML3.2とHTML4.0の表示に対応、フレームはもちろんJavaScriptやSSLもサポートする。液晶表示は21万画素なので、表示はVGAよりも小さくなってしまうが、ブラウザは縮小機能も装備しているためページの大まかな状態も確認できる。
価格はオープンプライスで、撮影に必要なアクセサリキットも含めた店頭での実売は18万円前後。画質や操作性といった面でDV対応の一般的なハンディスタイルのDVカムコーダと比較するとイマイチ分が悪いが、手の中に納まるボディサイズとPCとの連携機能には特筆すべきものがある。撮りたいときに素早く取り出し、即座に撮影を開始できる機動力は数多くあるカムコーダの中でもバツグンだ。持ち歩くことを特に重視する人にオススメしたい。
| Network Handycam DCR-IP7の主な仕様 |
| 撮像素子 |
1/6インチ有効34万(総68万)画素CCD
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| 手ぶれ補正 |
電子式
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| レンズ |
光学10倍ズーム、f2.3〜23mm(35mmフィルムカメラ換算:44〜440mm)、F1.7〜2.3
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| 記録方式 |
MICROMV、MPEG1、JPEG
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| 記録画素数 |
MICROMV:720×480ドット/MPEG1:352×240、144×96ドット/JPEG:640×480ドット
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| 記録媒体 |
MICROMVカセット、メモリースティック
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| 液晶モニタ |
2.5インチ21万画素TFT
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| 電源 |
インフォリチウムFバッテリ
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| インターフェイス |
USB、IEEE1394、Bluetooth、AV入出力(コンポジット、S-Video)
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| 本体サイズ |
47(W)×80(D)×103(H)mm
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| 重量 |
約310g(本体のみ)/約370g(装備重量※NP-FF50使用時)
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(伊藤 裕也)
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