![]() |
| |
ノートPCでもPDAでも、これまでは液晶の広さ(表示領域)と携帯性はトレードオフの関係にあり、広い領域を表示できるディスプレイを搭載すると携帯性が犠牲になるというのが常だった……と、過去形で書いたのはシャープから登場した新しいLinuxザウルス「SL-C700」がこれを覆してくれたからだ。 このザウルスは3.7型という小ささで640×480ドット(6万5536色)のVGA表示を可能にする「システム液晶」を搭載、120×83×18.6(W×D×H)mmというコンパクトなボディから考えると驚異的な高解像度を実現している。 システム液晶の中核技術となっているのは、小さなパネルでも高解像度表示を可能にする「連続粒界結晶シリコン(Continuous Grain Silicon)」というもの。これは液晶ドライバICや液晶制御回路、電源回路、入出力インターフェイス回路などといった周辺回路を液晶と同一のガラス基盤上に成形できる技術だ。これにより、液晶ディスプレイ部分の小型化や軽量化も推し進められている。ちなみに2002年10月に発表されて大きな話題になった、ガラス基盤上に形成されたZ80も、連続粒界結晶シリコンによるものだ。
SL-C700の液晶を実際に見てまず驚くのは、何と言っても表示の精細さだ。パネルの大きさと比べてかなり小さな文字でも、細部まで崩れることなく再現されている。とにかく線が細やかで、画数の多い文字を10ポイントで表示させても、線と線がくっついてしまうといったことはない。 この表示領域はさまざまなところで威力を発揮する。例えば付属するワープロソフト「HancomMobileWord」では、横50文字×25行の文字を表示できる(フォント:Lcfont、サイズ:12)。特に25行の文字を表示できることで見渡せる範囲が広くなり、前後の文章を確認するたびにスクロールさせなければならないといったことはなく、文章を効率的に入力できる。また、ワープロと同様、なくてはならない表計算ソフト「HancomMobileSheet」でも、セルの高さ・幅は標準の状態のまま、ズームを切り替えることにより最大17列×27行の表示が可能だ。一般的な帳票であれば、ほぼ困ることはないだろう。またこれだけ縮小表示した状態にしても、1つ1つの文字がしっかり認識できるところがスゴい。 メールやWebブラウザといった、インターネット関連のアプリケーションでもシステム液晶の恩恵を実感できる。特に付属するWebブラウザ「NetFront v3.0」でWebサイトを見たとき、十分文字を識別できる「フォントサイズ:中」でも約20行ほど表示可能なため、スクロールさせずに見られる範囲が非常に広い。これなら外出先でWebサイトを見る必要があるときでも、そのためだけにノートPCを持ち歩く必要はなくなるだろう。 文字と同時にインパクトが大きいのが画像を表示させたとき。画面の解像度は約217dpiにもなるため、写真を表示すると印刷物のように細部まではっきりと認識できる。例えば失敗できない1枚を撮影するときは、デジタルカメラの背面の液晶ではなくSL-C700でチェックする、といった使い方が考えられる。
利用シーンに合わせて
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
なおここまでの記述は、すべて手前にキーボード、その奥に液晶があるノートPCライク(というよりも電子辞典の方が感覚的には近い)の「インプットスタイル」と呼ばれる方法で使っている場合の話だ。この状態から液晶を回転させて閉じれば、従来のザウルスと同じように片手で本体を持ち、もう一方の手でスタイラスを握る「ビュースタイル」になる。インプットスタイルからビュースタイルに変更すると、表示が自動的に90度回転し、縦長の画面に切り替わる。スタイラスを使って気楽にメモを取りたい場合、あるいは文章を読みたい場面ではこのビュースタイルの方が使いやすい。
インプットスタイルの際に利用するキーボードは、ボディのサイズから考えればかなり使いやすい。配列はいわゆるQWERTYだが、記号キーを「Fn」キーと同時押し、あるいは特殊な位置に配置して記号キーを極力省くことで、英数字キーに10.75mmとPDAとしては十分なキーピッチが確保されている。「<」と「>」がそれぞれ「N」と「M」キーの下にあるなど、記号の入力には若干慣れが必要だが、英数字の入力ではとまどうことはなかった。
画面1 無線LANカードを差し込むと、自動的にアクセスポイントを探しに行き、可能であれば自動で接続してくれる。 |
入力スタイルは、立って使うときは両手の親指を使ってということになる。インプットスタイルでも横幅はそれほどないため、よほど手が小さくない限り左右の親指ですべてのキーにアクセスできると思われる。机の上に置いて使う場合だが、筆者の細くない指では左右それぞれの手の4本の指を使って入力することはさすがに難しかったが、3本指でならタッチタイプが可能だった。立って使うときと、机の上に置いてタイプする場合の両方で過不足なく使える、絶妙なバランスに仕上がっている。もちろんこのあたりは個人差が激しい部分のため、店頭などで実機に触れて確かめてほしい。
ビュースタイル時には、左手で本体を握ったときの親指の位置に電源のOn/Offのための「Power」、「OK」と「Cancel」、そしてシャトルキーがある。シャトルキーはシーソー型のスイッチで、アプリケーションによっては画面のスクロールなどで利用できる。文字の入力はスタイラスで文字認識やソフトウェアキーボードで行う。日本語の識字率の高さはさすが歴史を積み重ねてきた製品だけあって相変わらず高く、書き順が少々間違っていても何事もなく目的の文字を表示する。
|
|
各種ポート類だが、インプットスタイル時の本体右側にCFカードスロットとヘッドフォンジャックがあり、背面には赤外線通信用の送受信口とSDカードスロット(セイコーインスツルメンツのSDタイプPHS「AH-S101S」を使えるものの、SDIO準拠ではない)、ACアダプタのコネクタがある。PCとUSBで接続する場合は、左側面の専用ポートを利用する。CFには無線LANアダプタやPHSを挿入することが可能で、これによりネットワーク/インターネットに接続できる。便利なのが、PHSや無線LANなど挿入されたカードを自動的に判別し、登録されている接続先を選択する「スマート接続」機能だ。カードを差し替えるだけでその時々の通信環境に接続条件が切り替わるため、煩わしさがない。
バッテリにはリチウムイオン充電池が採用されており、取り外し可能になっているのでSL-C700とともに予備バッテリを持ち歩き、必要に応じて交換する、といった使い方ができる。フル充電での連続表示は約4時間50分としているが、これはバックライトの輝度が最小時の場合で、なおかつ同一アプリケーション(カレンダー)を連続的に表示させた場合となっており、実際の使用ではもう少し短くなることが予想される。予備のバッテリは必須だと考えたほうがいいかもしれない。
| |||
続いてソフトウェアを見ていこう。まずOSには、「SL-A300」と同様にLinuxが採用されている。その上で動作するアプリケーションは、「カレンダー」「アドレス帳」「ToDo」などといった基本的なものから、先述した「HancomMobileWord」や「HancomMobileSheet」といったビジネスアプリケーション、そしてインターネット関連ツールに「メール」とWebブラウザである「NetFront v3.0」、そのほか「電卓」や「世界時計」など17種類があらかじめインストールされている。PDAとして基本になるカレンダーやアドレス帳は、さすがにソツなくまとめられているという印象で、まったくマニュアルやヘルプを見なくても使い始められる。またシステム液晶のおかげで、カレンダーの月間表示の使いやすさやアドレス帳の閲覧性が高くなっている点は特筆しておきたい。
|
|
ビジネスアプリケーションのHancomMobileWordは、書式設定なども行えるワープロソフト。さすがにPC上で動作するワープロソフトと比べると機能面で見劣りするが、PC上のワープロを使う前に、電車の中で文書の骨子を作っておく、あるいはちょっとしたメモを記述するといった用途であれば何ら問題はない。HancomMobileSheetは、180種類以上の関数が用意されているので「表計算を行うための機能」という部分では不足なし。ただ装飾関連の機能などはないため、そのあたりは割り切って使う必要がある。
HacomMobileWordとHancomMobileSheetは、それぞれMicrosoft Word 97/98/2000/2002(.doc)形式とMicrosoft Excel 95/97/2000/2002(.xls)形式のファイルとの互換性もあり、読み込みおよび編集を可能にしている。気になるのは互換性だが、文字列に対しての装飾(ボールド、イタリックなど)や文字の大きさといった書式情報はすべてHancomMobileWord/Sheetでも反映されるが、Word/Excel上におけるフォントの指定は無効になる、Excelのグラフは表示できないなどといった部分もあるが、まずまず互換性は高いと言えるのではないだろうか。いずれにしてもdocやxlsファイルを変換作業などを経ずに読み込めるメリットは大きく、これにより、会社に忘れたdoc形式の資料をメールで送ってもらい、それを受信して内容を確認するといった使い方がザウルス単体で行える。ビジネスユースでの利用時に大きな意味を持ってくるだろう。
|
| ||||
画面5、6 Microsoft Word 2000とHancomMobileWordで、まったく同じドキュメントを表示したところ。罫線もしっかり表示されている。 | |||||
インターネット関連ツールであるメールとNetFront v3.0は、どちらもモバイル環境として使うものとして考えると必要にして十分な機能を備える。まずメールは、画面左側にアカウントとフォルダが並び、そのいずれかを選択すると右側にメール一覧が表示される、という画面構成で、メールの内容を参照する場合はメールのリストから読みたいメールをタップする。SL-C700自身でPOP3もしくはIMAP4での受信とSMTPでの送信が行えるほか、PCとの間でシンクロしたメールもここで参照する。受信したメールはフォルダを使って振り分けられ、このときは条件として送信者と宛先、サブジェクト、本文の内容が指定できる。そのほかファイルを添付したメールの作成が可能なため、HancomMobileWordやHancomMobileSheetで作成したファイルをメールで送るといった作業もSL-C700だけで完結する。
|
| ||||
画面8、9 こちらはMicrosoft Excel 2000とHancomMobileSheetの比較。セルの背景色などは反映されているが、残念ながらグラフは表示されない。 | |||||
NetFront v3.0は組み込み型ブラウザの開発元として定評のあるアクセス製のもので、HTML 4.01およびXHTML 1.0に準拠している。またCSSやJavaScript 1.5(サブセット仕様)、フレームやアニメーションGIF、そして暗号化通信のプロトコルであるSSLにも対応しているため、ほとんどのページを問題なく閲覧できる。ブラウザとしての機能を見ると、ブックマーク機能はもちろん、表示しているページ/画像の保存やページ内検索など、基本的な機能はしっかり抑えられている。便利なのが「オートクルーズ」と呼ばれている機能で、これはあらかじめ設定されたWebサイトを自動的に巡回して保存してくれるというもの。外出する前にオートクルーズ機能を使ってWebサイトを保存しておき、電車の中でゆっくりと読むといったことが可能になる。640×480ドットの高精細液晶のおかげでWebサイトが非常に見やすいことと相まって、非常に利用価値の高い機能だ。
もうひとつ、ザウルスに添付されているアプリケーションで注目したいのが「MediaPlayer」だ。これはMP3とWAVE、そしてMPEG-1形式のファイルを再生できる。特に注目したいのがMPEG-1形式に対応しているという部分で、例えばパソコン上で録画したTV番組を、MPEG-1に変換してザウルス上で見るといった使い方が考えられる。こうした使い方をするには映像ソースを取り込み、MPEG-1形式に変換するハードウェアやソフトウェアが必要なため敷居が多少高くなるが、少なくともザウルスの活用方法が広がる機能であるのは間違いない。
パソコンとの連携は、製品に添付される専用のUSBケーブルで行う。USBは残念ながら2.0には対応していないが、それほど大きなデータを頻繁にやり取りする機会が多くないとを考えると、USB 1.1でも十分だろう。またインストール時に従来と同様の「TCP/IP」と、今回から追加された「USB-シリアル接続」のどちらかを選択する。シャープではUSB-シリアル接続を追加した理由として、ファイアウォールなどの設定によってザウルスドライブが使えないことがあり、そのための措置としている。後述するが、特にザウルスドライブの利用時に、USB-シリアル接続では使えない機能がある。利用できるのであれば「TCP/IP」を選択したい。
パソコンと連携することにより、SL-C700内蔵メモリのバックアップやリストアのほか、「Intellisync for Zaurus」を使ってMicrosoft Outlook 97/98/2000/2002(Microsoft Outlook Expressは不可)との間で、スケジュールやアドレス帳、ToDo、メモ、メールのデータのシンクロナイズが行える。そして従来機である「SL-A300」から、「ザウルスショット」と「ザウルスドライブ」の機能も引き継がれている。
ザウルスショットはパソコン側で表示された画面をキャプチャし、自動的にSL-C700に転送するという機能。従来から進化したのが、画面イメージだけでなく印刷イメージとして取り込むことも可能になったこと。これにより、例えばワープロソフトや表計算ソフトで作成した資料を、A4のイメージとしてザウルス側で取り込むことができる。またテキストとしてキャプチャすることも可能で、この場合はテキストデータがザウルス側に転送される。パソコン上で表示されている文字列を、ザウルス上の別のアプリケーションで再利用したいといったときに利用できるだろう。
パソコンにザウルス用のソフトウェアをインストールすると、初期設定ではWindowsの起動と同時にザウルスショットが立ち上がる。あとは画面や印刷イメージ、テキストを取り込みたいウィンドウをアクティブにした状態で、タスクトレイから「印刷イメージ取り込み(ドキュメント全体)」といったメニューを選ぶか、あるいはF10キーなどのショートカットキーを押す。印刷イメージの取り込みならプリンタダイアログが表示されるので「OK」をクリックすると、取り込みからSL-C700の転送まで自動的に行われる。なおザウルスショットでは、画面キャプチャならファイル形式(JPEG/BMP)や圧縮率を、印刷イメージなら解像度を選択して画質を設定する。実際に印刷イメージとしてWebサイトを取り込んでみると、小さな文字でもハッキリと見えるクオリティが得られた。解像度は72dpiだったが、Webサイトやプレゼンテーションソフトのシートを取り込むのであれば、この解像度でも十分実用になる。
|
| ||||
画面12、13 ザウルスドライブの利用画面。左がシリアル接続、右はTCP/IP接続。 | |||||
ザウルスドライブは、SL-C700をドライブの1つとしてパソコンから操作することができるというもの。これを使うことで、パソコンとザウルスの間でのデータのやり取りを非常に簡単に行える。TCP/IPでの接続時には、Linuxなどでファイル共有のために利用される「Samba」というソフトウェアが使われており、これであればザウルスドライブのフル機能を利用できる。これに対してUSB-シリアル通信では、フォルダ単位での移動が行えないなどの制限が存在する。
ケーブルさえ接続すればパソコンとザウルスの間でファイルをやり取りできるザウルスドライブはかなり便利で、これに一度慣れてしまうとCF経由でのデータのやり取りが面倒に感じてしまう。
スケジュールおよびアドレスの管理、HancomMobileWord/Sheetを使っての外出先でのドキュメント閲覧・作成、メールとNetFrontでのインターネットへの接続、さらにはザウルスショットを使ったデータビューアとしてなど、さまざまな使い方ができ、さらにいずれも使い勝手がいいのがSL-C700だ。携帯性も抜群で、PDAとしての完成度は非常に高い。価格も実売で6万円を切るあたりと手頃感もあり、今一番おすすめのPDAだ。
| ザウルスの開発環境
開発元、あるいはサードパーティによって作成されたソフトウェアはもちろんだが、特にPDAの世界ではユーザーの手によって開発され、フリーソフトやシェアウェアとして発表されるソフトウェアが販売台数を左右することさえある。こうした面から、充実した開発環境を提供できるかどうかは非常に重要だと言える。また端末として企業などで一括導入する際に、専用のアプリケーションが容易に開発できるかどうかは、そのまま導入コストにも繋がるため大きなファクターとなりうる。 ザウルスの開発環境を見ると、Linux上で開発が行える「Qtopia」と、従来のMIシリーズのザウルス用開発環境で新たにSLシリーズに対応した「ル・クローン Mobile Developer」が利用でき、ソフトウェアメーカーやインテグレータ、あるいはユーザーが自由に開発できる環境は整っている。またPersonalJavaにも対応し、実行環境としてInsignia Solutions社の「Jeode」を搭載している。これにより、Javaを言語として使いザウルス上で動作するソフトウェアを開発することも可能だ。 これらのツール類の情報やライブラリのリファレンスなどは、「ザウルス宝箱Pro(http://more.sbc.co.jp/)」というホームページで公開されている。シャープも情報公開に積極的で、こうした開発に関するドキュメントの整備が行われているのは、開発者にとって大きな助けとなるだろう。 |
| ||||||||||||||||||||||||||||||
(及川 晴生)
技術協力:株式会社アックス
文:編集部
|
|
SL-C700を快適に使うための方法としてメジャーなのが、スワップ領域の作成だ。データ破損などの危険度は高いものの、メモリ不足に悩まされることがなくなるだろう。便利と危険、あなたならどちらを取る?
スワップ領域を作るには、大きく分けて2つの方法がある。ひとつは容量を固定したファイルをスワップ領域として動作させる方法、もうひとつはSDやCFといったデバイスをフォーマットして、パーティション全体をスワップ領域とする方法だ。
作業を行う前にはターミナル内で“ルート”になっておこう。ルートとは管理者権限を持ったユーザーで、WindowsでいうところのAdministratorと同じ存在だ。ルートになるには、ターミナルで「su」と入力すればよい。シークレット設定で暗証番号を設定している人はパスワードを聞かれるので、暗証番号を入力しよう。
まずは、スワップ領域を作成するデバイスの位置を確かめる必要がある。これは、デバイスのマウントを実行するコマンドで確認可能だ。Linuxでは、各デバイスは空のディレクトリ(マウントポイント)にマウントされ、以降ユーザーからはディレクトリとして見えるようになる。この作業を行うのが、「mount」コマンドだ。ターミナルを起動して「mount」と入力しよう。SDを差した状態でmountを実行すると、最下段にSDカードの項目が見える。SDカード「/dev/mmcda1」が「/usr/mnt.rom/card」というディレクトリ(マウントポイント)にマウントされている状態を示しているのがわかるはずだ。
C700にスワップを作る方法のうち、もっとも手頃なのがSDの中にスワップファイルを作る方法だ。作業の流れとしては、SDの中に容量を固定した空のファイルを作成し、スワップファイルとして指定、スワップ機能をオンにする。従来Linuxのスワップは専用のパーティション内に作成されるため、パフォーマンスの心配もあるが、そもそも全体的なボトルネックは他にある。それほど心配することはない。むしろ、スワップを作成して得られるメリットを考えれば、手軽さからいってもこの方法がもっともオススメだ。
| (1)空のファイルを作成する
“dd”というコマンドで空のファイルを作成する。 dd if=/dev/zero of=/usr/mnt.rom/card/zaurus.swap bs=512 count=65536 |
ddはファイル(の中身)を取り出して別のファイルとして出力するコマンドだ。ifで指定しているのははddで中身を取り込むファイル。この例では「/dev/zero」を指定しているが、これは特殊なファイルで、中身が何もない=0を出力する。そしてofは出力先のファイルだ。SDに、「zaurus.swap」というファイル名で/dev/zeroの中身を出力するように指定したわけだ。さらに、bsでブロックサイズ(bytes単位)を、countでブロック数を指定している。512bytes×65536で、「zaurus.swap」という32MBの空のファイルを作成したことになる。
| (2)zaurus.swapをスワップファイルに指定する
スワップ領域を指定する“mkswap”を使う。 mkswap /usr/mnt.rom/card/zaurus.swap |
これで単なる空のファイルであったzaurusu.swapが、スワップ領域として動き出す準備が整う。
| (3)実際にスワップをオンにする
“swapon”コマンドで、zaurus.swapを動作させる。 swapon /usr/mnt.rom/zaurus.swap |
| (4)スワップの動作を確かめる
“free”コマンドにて、メモリの動作状態を確かめる。 free |
ターミナルからC700の「アプリケーション」画面に戻り、いくつかのアプリケーションを起動し、再度ターミナルに戻って“free”コマンドを実行してみよう。「Swap」と書かれた項目の「used」欄にスワップされたメモリが存在しているはずだ。
| (5)スワップ動作をオフにする
SDを抜く際などに、“swapoff”にてスワップ動作を終了する。 swapoff /usr/mnt.rom/zaurus.swap |
スワップをオンにしたままSDを抜くと、システムが不安定になるのはご想像の通りだ。だから、SDカードを外す際はswapoffコマンドをzaurus.swapに適用するのを忘れないようにしたい。
| はみ出しコラム SL-C700のバッテリは、実際どの程度持つのか?
SL-C700は、モバイルとして完璧なスペックを誇っているように見えるが、バッテリの駆動時間は果たしてどうなのだろうか? 最近はホットスポットも増えてきたことだし、無線LANカードを挿入した状態でのバッテリ駆動時間を計測してみた。ホットスポットでインターネットを参照している状態に近づけるため、無線LANを繋ぎっぱなしで、8箇所のWebページを時間を置いてぽつぽつと閲覧する形をとった。途中、3回ほどスクリーンセーバが起動するまでC700に触れないようにした。使用した無線LANカードは、メルコの「WLI-CF-S11G」。C700ではサポートされていないのだが、筆者のC700では問題なく認識・動作した。 実際の計測は、フル充電にしたC700のバッテリを交換し、WLI〜を本体に挿入して電源をオンにした時間から開始した。即ネットワーク接続状態にして、液晶の明るさは2番目に暗い状態に(蛍光灯の下では一番暗くすると少し辛い)、アプリケーションはNetFront v3.0(Webブラウザ)を使う。スワップは稼働させていない。 結果は、約1時間30分の稼働時間となった。最短時間のカタログスペック(液晶が最も明るい状態で、無線LANによる連続したWeb閲覧を行った場合、約1時間)と照らし合わせると、液晶のライトを落としたこと+αにて30分の接続時間を稼いだとも言えるだろう。常識通り、液晶の消費電力には気を配ったほうがよさそうである。 |
メディアの中にファイルを作成してスワップ領域とする方法よりも本格的なのが、PC上のLinuxと同じくメディアをフォーマットしてスワップ領域を作成してしまう方法だ。作業の流れは、Linux用のfdiskによってメディアをフォーマットし、Linuxネイティブのファイルシステムによるスワップ領域を作成するというもの。今回はSDを対象にした。
| (1)必要なツールをそろえる |
パーティションを操作するfdiskは、C700には用意されていない。そこで、Linuxザウルスで使われているインストール用パッケージ形式「ipk」で配布されているfdiskが存在しているので入手しよう。上記URLに行けば、原稿執筆段階では「fdisk_2.11g-4_2_arm.ipk」という名前でfdiskが配布されている。
| (2)ターミナルからfdiskを起動
対象とするデバイスを指定してfdiskを起動する。 fdisk /dev/mmcda1 |
fdiskを起動すると、コマンドを求められる画面に切り替わる。MS-DOSのfdiskとは違い、コマンドが多数あるのだが、今回使用するのはディスク内の情報を確認する「p」、パーティションを削除する「d」、パーティションを作成する「n」の3つである。また、「m」コマンドを使えば、コマンドの簡単な説明が出てくる。テキストベースで表示されているfdiskのインターフェイスにこれらの文字を打ち込み、エンターキーを押せばコマンドが実行される。
| (3)既存のパーティションを削除する
「d」で4つのパーティションを削除する。 Command (m for help): d |
上記のように「d」コマンドを使うと、削除するパーティションの番号を聞かれるので、順々に削除していく。
| (4)パーティションを作成する
「n」で領域の容量を指定し、パーティションを作成 Command (m for help): n |
「n」コマンドでは、まず始めにパーティションの種類を指定し、そのあとに開始位置、終了位置を指定するという作業内容になる。終了位置はシリンダー単位で問われるが、「+xxM」といった形でファイルサイズでも指定可能だ。パーティションの種類を「p primary partition」にして「Partition number」を1に、領域の開始位置を「1」に、終了位置をシリンダの終端にして、ディスク全域を指定する。作業が終了したら、「w」コマンドで領域情報を書き込んで終了する。「w」を実行するまでは、実際に書き込まれないので注意していただきたい。
| (5)作成したパーティションにスワップ領域を作成する
mkswap /dev/mmcda1
|
「n」コマンドでは、まず始めにパーティションの種類を指定し、そのあとに開始位置、終了位置を指定するという作業内容になる。終了位置はシリンダー単位で問われるが、「+xxM」といった形でファイルサイズでも指定可能だ。パーティションの種類を「p primary partition」にして「Partition number」を1に、領域の開始位置を「1」に、終了位置をシリンダの終端にして、ディスク全域を指定する。作業が終了したら、「w」コマンドで領域情報を書き込んで終了する。「w」を実行するまでは、実際に書き込まれないので注意していただきたい。
(6)以降はファイルによるスワップ領域作成と同手順
スワップ領域の作成に関しては以上だ。ちなみに、こうしたカスタマイズによってシステムが不安定になり、リセットを実行するなどしても元に戻らない場合は、究極の選択として「完全消去」が使える。これはC700のハードウェアを初期状態に戻すもので、電源交換スイッチのオフ・オンを行ったあと、OKボタンを押しながら電源ボタンを押すと出現するメニューを選択すると実行される。当然のことながらユーザーの設定や作成したデータは消去されるので、バックアップが取れる状態であれば、バックアップしてから作業を行いたい。
確かにスワップ領域を作るのは危険な行為だ。たとえC700本体に物理的なダメージを与えなくても、読み書きが頻発するスワップ領域を、書き換え可能回数10万回のSDに作ること自体、危険な行為だ。それでも敢えて本稿でカスタマイズ方法を紹介するのは、SL-C700がLinuxを搭載し、ユーザーが自由に遊ぶことのできる懐の深いマシンだからである。単にPDAとして使うだけではなく、いじくり回す知的なオモチャとしてSL-C700を捉えてみるのも一興だろう。これを機にLinux入門を果たしてみるのも楽しいはずだ。
| 株式会社アックスとは?
Linuxザウルスの登場以前から、PDAなどへ搭載するLinuxの開発を行っている企業。2000年にはすでに、当時人気の高かった「パワーザウルス MI-C1」に同社が開発したzxLinuxをインストールして動作させていた。また、同社の携帯Linuxマシン向けGUI環境「式神」は、Qtopiaとは違いX Window Systemを使っているため、よりPC上のLinuxと近いユーザー環境を実現することができる。同社は今後、シャープと共同で式神をザウルスに搭載していく。 同社Webサイト:http://www.axe-inc.co.jp/ |
|