2005年7月28日
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写真1 パーソナルモバイルツール「SL-C3100」。写真は超小型ノートパソコンのような外見のインプットスタイル。液晶を180度回転させて液晶パネル面をたたむと、一般的なPDAと同じ感覚で使用できるようになる。 |
「モバイル」という言葉から、どのようなツールを連想するだろうか? モバイルツールと一口に言っても小型ノートパソコンから携帯電話、PDA(個人情報端末)までさまざまあるが、モバイルのキーポイントはなんといっても“持ち運びのしやすさ”“外出先で素早く使用できる機動力”に集約される。12インチ程度(あるいはそれ以下)の液晶パネルを採用した軽量コンパクトなノートパソコン(サブノート)は、ほかのパソコンで作成したデータをそのまま使用できるため、取引先でのプレゼンテーションや複雑な処理の実行には大変便利だが、軽量コンパクトと言っても大きさはA4サイズの雑誌と同等、重量は約1kgかそれ以上になる。さらに、使用できる場所も限定されてしまい、路上や電車の中での使用は難しい。
一方、移動中に素早く使用できる点に重点をおくなら、すぐに思いつくのが携帯電話だ。機種によってはパソコンで作成したファイルを表示できるものもあるが、数十ページにわたる文書では小さな画面で確認する気にならないし、ビューアは基本的に見るだけで、データの修正・編集はできない。また、メールの返信でもパソコンのキーボード入力に慣れた人には苦痛が伴うものだ。結局、アドレス帳やスケジュール管理には使えるが、より複雑な仕事には向いていないと言わざるを得ない。
機能と機動力のバランスに優れるPDA
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画面1 SL-C3100のメインメニュー。タブとアイコンによるわかりやすい表示で、希望するアプリケーションやコンテンツに即アクセスできるようになっている。 |
ここまでのモバイルツールには一長一短あり、選ぶ際には必要な機能と機動力のバランスをどう取るかが重要になる。そこでお勧めしたいのがPDAの代表格、ザウルスだ。OSにLinuxを採用した“SLシリーズ”の最新ザウルスは、個人情報管理ツールや携帯通信端末としてはもちろん、文書ファイルや表計算ファイルの表示・編集も可能。また、ビデオ・オーディオを再生するメディアプレーヤーや、パソコンのデータを蓄積・運搬するストレージとしても使用できる。
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前面背面。 |
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左右側面。 |
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写真2〜3 SL-C3100の前面背面および左右側面。 |
ここで紹介するシャープの「SL-C3100」は、そんな多目的・多機能の“パーソナルモバイルツール”として進化した最新型ザウルスだ。位置付けとしては2004年10月に発表された「SL-C3000」のマイナーチェンジモデルで、VGA表示の液晶パネルやキーボード、4GBのHDDを搭載する基本スペックはそのままに、内蔵フラッシュメモリを16MBから128MBに増加し、同時にバンドルするコンテンツの充実を図ることで“購入した直後から使える・楽しめる構成”としている。
扱いやすいキーボードに4GBのHDDを搭載
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写真4 キーボードはアルファベット部分がパソコンのレイアウトと同じなので、少しでもパソコンのキーボードに触れたことのある人であればスムーズに入力できる。 |
モバイルツールとしてのSL-C3100のポイントは、SL-C3000のレビュー記事でも数多く挙げられ、重複する部分も多いのだが、中でも注目したいのは“キーボードの搭載”と“HDDの内蔵”の2点だ。
キーボードは、キートップのサイズが小さくキーピッチも10.75mmと狭いため、店頭やニュース記事などで一見しただけでは「キーボードを持ってると言っても、本当に使えるの?」と首をかしげる方もいるかもしれない。私自身、ザウルスのキーボードは初めて使ってみたのだが、本体を両手で持ちながら親指でタイプすると予想以上にスムーズに入力できる。記号部分のレイアウトがパソコンのキーボード配列とは異なるため、そこには若干違和感があるものの、続けて使っていればすぐに慣れてしまえる。多くのPDAが採用するペン入力では“厳しい”、打ち合わせなどでのメモ書きや長文メールの作成もラクに行える(ザウルスでも、キーボードだけでなくペンによる手書きが可能)。これはうれしいポイントといえる。
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写真5 底面・バッテリー。 |
HDDについては、SL-C3000同様に4GBのマイクロドライブを内蔵。初期状態で2.4GBの空き領域があり、音楽データや動画、デジタルカメラで撮影した静止画などのマルチメディアコンテンツの保存・再生も余裕で対応可能だ。パソコンとのデータ転送はUSBケーブル1本で、接続するとSL-C3100がパソコンからストレージデバイスとして認識される。ドライバの組み込みなどは必要ないので、例えば出先のパソコンでデータを受け渡ししたい場合などにも便利だ。
買ったらすぐに楽しめる充実したコンテンツ
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画面2 Hancom Mobile Officeの表計算ソフト「Hancom Mobile Sheet」。Excelのスプレッドシートを扱える。 |
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画面3 メールのメッセージ作成ウィンドウ。キーボードの存在により、長文でもスイスイ入力できる。もちろんペンでの入力も可能だ。 |
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PDAの使いやすさを大きく左右する付属ソフトは、Microsoft WordやMicorosoft Excelで作成したファイルの表示や編集に対応するオフィスソフト「Hancom Mobile Office」や電子辞書「広辞苑」、「ジーニアス英和・和英辞典」をはじめ、MP3やWindows Media Audioの再生に対応する「Music Player」、MPEG-1/MPEG-4の再生に対応する「Movie Player」、デジタルフォトを管理できる「フォトストレージ」、電子文庫を閲覧する「ブンコビューア」など、SL-C3000に搭載していたソフトを継承。ビジネスから趣味(ホビー)まで、さまざまな用途に対応する。
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画面4 MPEG-1/-4の映像を再生できるMovie Player。TVチューナカードで録画した番組をMPEG-4化してSL-C3100にコピーすれば、外出先で映像を楽しむこともできる。 |
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画面5 移動手段に電車を用いる人にはなくてはならない「乗り換え案内」。駅前で接続に迷ったときなどにさっと取り出して即座に使用できるので重宝する。 |
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また、SL-C3100で新たに追加されたコンテンツとしては、国際的な英語コミュニケーション能力検定“TOEIC(トーイック)”(※1)対策のトレーニングやプロゴルファー江連 忠(えづれ ただし)氏による映像を交えたゴルフのドリル、『プロジェクトX』20冊分などで、前述の広辞苑や英和・和英辞典を含めて合計19種類を収録。内容を確認すると、英語ならびにビジネス英語の学習に関するコンテンツの比率が高く、次いでビジネスやビジネス関連の読み物、ゴルフなどとなる。おそらくユーザーを30〜40代以上男性ビジネスマンと想定してのコンテンツ選定と思われるが、中にはゲーム感覚で脳力アップに挑戦できるお楽しみコンテンツなどもあり、多くの人が購入した直後から追加投資なしに楽しめるよう工夫している点は評価できる。なお、収録しているコンテンツについてはe-Zaurusに一覧表が掲載されている。
※1 TOEIC is registered trademark of Educational Testing Service(ETS).This (publication/product/website) is not endorsed or approved by ETS.
本体サイズは幅124×奥行き87×高さ25mmで、シャツのポケットにすっぽり、というにはやや苦しいが(スーツやジャケットなど、上着の内ポケットならバッチリだが)、VGAサイズ(640×480ドット)の見やすい液晶パネルに4GBのHDDを搭載し、必要に応じて素早く取り出せる。しかも入力については、ペンによる手書きとキーボードを使い分けることが可能だ。
モバイル用途で気になるバッテリー駆動時間については、MPEG-4のデータを連続再生したテストでは約3時間半使用できた。CPUに高い負荷をかけるMPEG-4データの再生でそれだけ使えるのであれば、実用上は十分といえよう。また、細かいことではあるが、発熱の穏やかさもポイントだ。ノートパソコンは処理速度の向上に合わせて生じる熱(熱気)を排出するのだが、使用しているうちにどうしても底部やキーボードなどに熱を持つようになる。机の上に置いて使うノートパソコンならこれでも問題ないが、手に持って使うPDAでは底面が熱くなるのは困りもの。発熱が穏やかという点は、スペック表などでは読み取れないが、モバイル機器として大きな魅力だ。
SL-C3100はビジネスから趣味まで贅沢に欲張りたい人にオススメしたいモバイルツールといえる。
| ザウルス SL-C3100の主なスペック |
| 製品名 |
ザウルス SL-C3100 |
| OS |
Lineo uLinux |
| CPU |
Intel XScale PXA270-416MHz |
| 本体メモリ |
SDRAM 64MB(ワークエリア)+フラッシュメモリ 128MB |
| HDD |
4GB(出荷時空き容量 約2.4GB) |
| モニタ |
3.7型 バックライト付き透過型システム液晶(感圧式タッチパネル) |
| 解像度 |
640×480ドット/6万5536色(30万7200画素) |
| カードスロット |
SDカードスロット×1、CFカードスロット(TypeII)×1 |
| I/O |
USB 1.1相当×1、ステレオヘッドホン×1、IrDA(115kbps) |
| 電源 |
DC3.7V、リチウムイオン充電地(EA-BL11、取り外し/交換可能) |
| 消費電力 |
3.2W |
| サイズ(W×D×H) |
124×87×25mm |
| 重量 |
約298g(タッチペン、保護カード、I/Oポートカバー、充電地含む) |
| Office |
Microsoft Officeとファイル互換のあるHancom製品搭載 |
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(伊藤 裕也)
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