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【「なつゲー」レビュー Vol.2】いっき 元祖バカゲーの笑いの“味”を噛み締めたい
【「なつゲー」レビュー Vol.2】いっき
サンソフト/NTTコミュニケーションズ

Printable Version 2005年1月28日

いっき

 すでに根付いた感のある“バカゲー”という言葉。“愛嬌のあるバカなセンスを持ったゲーム”といったいい意味も含む“バカゲー”の原点を考えると、誰もが行き着く先はサン電子が1985年に発売した『いっき』ではないかと思う。

シーン1
(C)SUNSOFT

 『いっき』を一度も遊んでない人は、“いっき”と言われると、一気飲みの“いっき”を思い浮かべるかもしれないが、このゲームタイトルが意味するのは、農民が年貢(いわゆる税金)などの不満から大名などに謀反を起こす“農民一揆”のこと。そのため主人公は、もちろん“農夫”だ。ファンタジーやSFの世界観が主流だった当時のゲームに、農民一揆をテーマにしたゲームというだけでも相当な衝撃だったが、『いっき』では、それにバカセンスがプラスされている。『いっき』は当時、いろんな意味でゲーマーたちの間に伝説を生んだ“ファースト・バカゲー・インパクト”とも言えるのである。



シーン2
竹やり
コレが“問題”の竹やりだっ!!

 タイトルの持つ一発ネタ的なインパクト以上に、ゲーム中には伝説的バカゲーとなるべくしてなったいくつかのポイントがある。そのひとつが武器。主人公が標準で使えるのはカマで、ボタンを押すと敵めがけて飛んでいく便利な武器でもある。そのカマの攻撃を補助するべくマップ上に置いてある第二の武器が“竹ヤリ”だ。が、この竹ヤリ、投げる事もできず、ましてや正面方向にしか攻撃できないため、カマに比べて明らかに使いづらい。通常、マップに配置されている武器は、“標準装備より使いやすいモノ”というのが、暗黙のルールであるのに、『いっき』ではそんな常識など眼中にない。この竹ヤリを取ると途端に敵にやられやすくなる。はっきり言ってお助けアイテムなどでなく、むしろトラップ(罠)とも言えるやっかいな存在なのだ。なんともトホホなバカゲーセンス……。



シーン3

 そしてゲームのクリアー条件にも注目したい。一揆とは、農民の抑圧された社会的状況の解放を目的としているはずなのに、このゲーム『いっき』では、“ステージ中の小判を8枚集めればクリアー”。つまり“お金集めだけ”を目的としているのだ。なんとも低い志。また、8枚集まった時の主人公の満面の笑みは、“抑圧された農民の……”なんてみじんもない“目的=金集め”をハッキリと物語っているような憎らしい笑顔を浮かべる。はっきり言ってこの農夫は、金目当ての暴徒であり、単なる便乗犯的凶行とさえ思えてくるのだ。オイオイ。

 ほかにも、農民である主人公が大事な畑にズカズカと押し入っていくとか、農民一揆に対抗して忍者や鉄砲隊が介入するとか、不細工な腰元が代官屋敷を徘徊しながら農民に襲いかかるとか、いっきワールドには、バカなナンセンスが満載されている。


 『いっき』の持つバカなセンスは、“マンガのキャラクターが思わずうんこ踏んだので、思わず笑ってしまう”といった、古典的で稚拙な笑いのように思える。この笑いは、視点を変えると“愛嬌”さえ感じ、ある意味でそのものの“味”にもなる。『いっき』はこの愛嬌と味が、独特で非常にいい塩梅のゲームなのだ。笑いのセンスがいい塩梅であったからこそ、『いっき』はバカゲーの代表として伝説に登り詰めたのかもしれない。『いっき』を未体験の人は、ぜひ「なつゲー」でこの“痛快ファミコン喜劇”を味わってみてほしい。いろんな意味で度肝抜かれます。



(文・内田 幸二/イラスト・戸塚 伎一)



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