2001年03月31日
「Deskstar 60GXP」は、IBMの3.5インチIDE HDDブランド「Deskstar」の最新シリーズ。Deskstarには回転速度の違いで二系統あるが、60GXPシリーズは、先代Deskstar 75GXP(DTLA-3070xx)シリーズの後継となる、回転速度7200rpmの高速タイプである。発表は2000年11月で、発表から実際に市場に登場するまでの期間が4ヶ月以上というのは、発表が先行することが多いHDD業界でもかなり遅い部類に入る。
プラッタ1枚あたりの容量は20GB
製品型番には大きな変化が
60GXPの外観は、表面だけ見ると先代75GXPとほとんど変化がないが、裏面のコントローラ基板に目をやると変化がみられる。基板が小型化しており、表面からはバッファメモリが見あたらない。コントローラASICにDRAMを内蔵してしまったのかとも思ったのだが、実は基板裏側に実装されているようだ。また、型番表記も大きく変わっている。従来まで「DTTA」「DJNA」「DTLA」といったアルファベット4文字の後に容量などを表す数字を組み合わせて「DTLA-307075」などと表記していたのだが、今回から「IC35L040AVER07」という複雑なものに変わっている。内訳は、「IC=IBM Corporation/35=3.5インチ/L=Low Profile=1インチハイト/040=40GB/AV=ATA/ER=60GXPを表すユニークコード/07=7200rpm」とのこと。60GXPが発表されたのは2000年11月。その後発表された製品はすべてこの表記を採用しているが、これだとシリーズのユニークコードが非常にわかりにくい。「60GXP」といったシリーズ名でなく「DJNA」「DTLA」といった型番で呼ぶのが一般的だったIBMのHDDも、今後はシリーズ名で呼ばれるようになるかもしれない。
さて、スペックを見ていこう。回転速度7200rpm、平均シークタイム8.5ms、バッファ2MB。このあたりのスペックは先代75GXPと同じだ。記録密度が向上し、プラッタ1枚あたりの容量は、先代の15GBから20GBになっている。これは、同社の回転速度5400rpmのシリーズ「Deskstar 40GV(DTLA-3050xx)」と同じだ。回転速度7200rpmで20GBプラッタを搭載した製品としては、Quantum(Fireball Plus AS)、Maxtor(DiamondMax Plus 60)、Seagate(Barracuda ATAIII)の製品が2000年末から相次いで登場していたが、IBM製品としては初となる。
最大面記録密度は15.3Gbit/inch2
最大内部転送速度は494Mbpsに
記録密度に関してもう少し細かく見ていこう。WD400ABのレビュー でも書いたように、プラッタあたりの容量というのは一般的でわかりやすくはあるが、記録密度を表す指標としてはあいまいなもの。汎用的な指標としては、1平方インチあたりにどのくらいのデータが記録されているかを表す「最大面記録密度(Max. Areal Density)」が使われている。なぜ「最大(Max.)」なのかと言えば、HDD(プラッタ)には、サイズ一定のセクタ単位でデータを書くという性質上、データを記録できない領域ができてしまう。その領域を含まない1平方インチの密度ということだ。60GXPの最大面記録密度は15.3Gbit/inch2となっており、先代75GXPの11.0Gbit/inch2から39%アップしている。ちなみに、回転速度5400rpmで20GBプラッタを採用しているDeskstar 40GV(DTLA-3050xx)の最大面記録密度は14.5Gbit/inch2である。
また、記録密度に関して転送速度に影響するのが、線記録密度(BPI)。この数値が高くなればなるほど、1回転あたりに読み書きできるデータ量が増大し、すなわち高速となる。最近はBPIの値まで公表しているメーカーは少なくなってしまったが、IBMとSeagateは調べることができる。60GXPのBPIは449Kbpiで、75GXP(391Kbpi)から約15%アップしている。また、プラッタからの読み出し速度である内部転送速度は、最大(最外周)で494Mbpsと、先代75GXP(444Mbps)に比較して約11%の向上となっている。BPIの向上値に比べると4%のロスがあるが、内部転送速度となると、GMRヘッドで読み出した信号を復号するPRMLリードチャネルの問題などさまざまな要素が絡んでくるので、この程度は仕方がないだろう。
| 製品名 |
Deskstar 60GXP |
Deskstar 75GXP |
Barracuda ATA III |
| 型番 |
IC35L040AVER07(40GB) |
DTLA-307075(75GB) |
ST340824A(40GB) |
| メーカー |
IBM |
IBM |
Seagate |
| 回転速度 |
7200rpm |
7200rpm |
7200rpm |
| 平均シークタイム |
8.5ms |
8.5ms |
8.9ms |
| 最大内部転送速度 |
494Mbps |
444Mbps |
500Mbps |
| バッファサイズ |
2MB |
2MB |
2MB |
| 容量 |
10.27/20.57/30.73 /41.17/61.49GB |
15/20/30/45 /60/75GB |
10.2/20.5/30/40GB |
| プラッタ1枚あたりの容量 |
20.5GB |
15GB |
20.5GB |
| 面記録密度 |
15.3Gbit/inch2 |
11.0Gbit/inch2 |
14.9Gbit/inch2 |
| 線記録密度(BPI) |
449K |
391K |
470K |
| スピンアップ時消費電力 |
28W前後 |
28W前後 |
32.3W |
| アイドル時の消費電力 |
6.7W |
6.7W/8.1W(60GB以上) |
8W |
最速最強を決める頂上対決
ベンチマークテスト
さて、先代Deskstar 75GXPは、昨年春に登場以来、半年以上もIDE最速を誇っていたHDD、後継となるこの60GXPのパフォーマンスには当然注目が集まる。ここではASCII Lab.製DiskBenchmarkを使って、シーケンシャルリード/ライト、ランダムリード/ライトの値を掲載した。すでに各社から登場している20GBプラッタ採用の回転速度7200rpmのIDE HDDとの比較を見てみよう。
ASCII Lab. DiskBenchmark -シーケンシャルアクセス-
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リード/ライトともBarracuda ATAIIIとほぼ同等の数値。75GXPからの性能アップは、リードで8%、ライトで6%と、内部転送速度の上昇値11%からすると妥当と言える。 |
ASCII Lab. DiskBenchmark -ランダムアクセス-
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ブロックサイズ32KBの数値をピックアップして掲載。ランダムでは逆に75GXPに劣ってしまった。 |
ASCII Lab. DiskBenchmark -ブロックサイズ別シーケンシャルリード-
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非常に優秀な結果。4KBという小さなブロックサイズの転送でもピークに近い能力が発揮できている。この点ではBarracuda ATAIIIに対してアドバンテージがある。 |
ASCII Lab. DiskBenchmark -ブロックサイズ別シーケンシャルライト-
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リードと同様に優秀。すべてのブロックサイズで75GXPを5%以上上回る数値をマークしている。グラフの形状から見る性能特性は先代75GXPと同じで、キャッシュの使い方も同じなのだろう。 |
結果だが、注目度の高いシーケンシャルアクセスでBarracuda ATAIIIと互角の数値を叩き出しているのをはじめ、オールラウンドに高い性能を発揮している。さすがに最新製品だけに、性能面のバランスは、現在市場にあるHDDの中でもっとも良いと言っていいだろう。先代は気になった発熱面もずいぶんと改善されている。長時間使い続けるともちろん発熱はするが、「熱い」というより「暖かい」という印象だ。これからHDDの購入を考えている方には強力な選択肢となるだろう。
(鈴木雅暢)
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