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マザーボードのスペックを読む 【春の集中“自作”講座】 自分に必要な機能は何か?
マザーボードのスペックを読む

アスキー PC Explorerアスキー PC Explorer 2003年1月号
2003年3月9日


「AGP 8x」、「DDR400」など、新しいチップセットが登場するたび、聞き慣れない新しい言葉が登場する。本当にこれらの機能でPCの性能は高くなるのだろうか? 実際にはどういう意味を持つものなのか? 自作を始めると必ずぶつかるその疑問に応えよう。

難しく見えるマザー選び
機能で選べば問題なし

「AGP 3.0(AGP 8x)」解説(from 月刊アスキー)。画像をクリックすると当該記事に移動します。

 「i845PE搭載」「DDR400対応」「AGP 8x」など、よく知らない人にとっては、何かの呪文のようにも見えるマザーボードの売り文句。言葉の意味がわからないため、マザーボードは何を基準に選べばいいのか、何を買えばいいのかわからない、という事態に陥ってしまう。実はこれらの用語の意味と、どういうメリットがあるかを一度理解すれば、あとは自分に必要な機能を持つ製品を選ぶだけだ。

 そんなマザーボードの最もベーシックな機能を提供するのが「チップセット」。チップセットは一般に「North Bridge」「South Bridge」という2つのチップから構成されており、前者はCPUとメモリの間に入って、データの流れを調整する役目、後者はIDEやUSBといったインターフェイスのほか、サウンドやEthernetなどI/Oとの接続機能を提供する。

 つまり、マザーボード選びの第一歩として、チップセットをどれにするかを決めてしまえば、CPUの種類、メモリの種類、AGPの対応動作モード、対応するUSBの種類など、非常に多くのことが決まる。

 ただ、ここで注意したいのは、CPUの種類といっても、ただPentium 4かAthlon XPといった単純な違いだけでなく、FSBの違いなど、細かいスペックに違いがある点。そういった詳細については、アスキーPC Explorer 2003年1月号(P.168)に特別付録として「最新チップセット早見表」を付けたので、お持ちの方はそちらで情報を整理していただきたい。なお、この表はあくまでチップセット側のスペックである。SDRAMとDDR SDRAMの両方に対応しているチップセットでも、実際のマザーボードにはDDR SDRAM用のソケットしかない場合もある。よって、マザーボード自体の仕様もしっかり確認することをお忘れなく。

 また、チップセット以外に、コントローラを別途搭載することで実現されている機能も多い。IEEE1394、IDE RAIDなどがそれだ。PCIカードを別途購入して後づけするよりは安価だが、それらの機能が載っていないマザーよりは若干高価になる。必要のない機能が載ったマザーを購入するのもバカバカしいので、よく考えておいてほしい。

●マザーボードの選び方は実は『これ』だけ
1. まずチップセットを選ぶ

Intel純正チップセットか?
安価で高スペックなサードパーティ製か?
チップセットこそ、マザーボードの要。とはいえ、最新のチップセットはほぼ同じような機能を提供しているので、P4ならi845PE/GE、AthlonならKT400など売れ線のものを選んでまず問題ない。

2. この時点でほぼCPUやメモリは決まる
Pentium 4ならどのクロックを選択する?
メモリも、どの規格のものを選ぶか?
1.の選択でサポートするCPU、メモリの種類が決まるので、その範囲の中でCPUのクロックやメモリの速度を選ぶ。逆にすでにCPUやメモリを持っているなら、1.2.の選択順は反対になる。

3. あとはオンボードの機能をチェックする
DV機器も繋げられるIEEE1394
5.1ch対応のサウンド
RAIDが使えるIDEチップ
1.の選択でサポートするCPU、メモリの種類が決まるので、その範囲の中でCPUIEEE1394、サウンド、IDE RAIDなど、自分に必要な機能を搭載したマザーを買えば、あとで追加するよりも大抵安上がりだ。逆に不要な機能もハッキリさせておくこと。



Pentium 4はメモリが性能の命だ!

メモリ選択
CPUに釣り合ったメモリが必要

 CPUのクロックとともに、システムの基礎体力に大きな影響を与えるのがメモリ性能だ。

 その中でも、メモリ性能の影響を受けやすいのがPentium 4ベースのシステム。FSB 533MHzのP4で4.2GB/秒という非常に高速なシステムバス帯域を持つ。ここにデータを送り出すメモリはというと、RDRAMを用いたPC800で3.2GB/秒、最新のPC1066で4.2GB/秒の帯域を確保できるため、ちょうどつりあう。しかし、現在主流となっているDDR SDRAMは、DDR266MHzで動作するPC2100モジュールで2.1GB/秒しか帯域がない。そこでi845PE/GE、SiS648では、より高速なDDR333MHzで動作するPC2700モジュールに対応することで2.7GB/秒まで確保した。さらに、サードパーティ製チップセットではDDR400MHzで動作するPC3200モジュールを用いたり、Intel「E7205」のようにDDR DIMMを2枚単位で装着することで、通常の倍の128bit幅でのアクセスで、2倍の帯域を確保するチップセットも現われた。

【DDR400】 PC2100、PC2700の延長線上にあるDDR400動作のメモリモジュール。Samsung製メモリチップを使った製品など、PCショップの店頭で見る機会も増えてきたが、DDR400の本領を発揮するチップセットはいまだ登場していない。
【PC1066】 i850Eチップセットでサポートされた高速RDRAMのPC1066。DDR SDRAMより歴史が長く信頼性でも上回るが、PC1066 256MBで実売約2万程度と割高。しかもi850Eとの組み合わせでは2枚単位の装着が必須だ。
●まだまだ高価な高速メモリ

 さて、そのメモリの違いによる性能の違いを見ると、メモリが高速化するに従って、確実にスコアが向上する。ただ、SiS648搭載ボードの場合、PC3200はPC2700よりスコアが落ちてしまった。PC3200は登場したばかりで、その性能を活かしきれていないようだ。また、価格も高価で入手しにくい。一方、PC2100とPC2700では価格差が随分小さくなった。それでいて性能差があるのだから、P4システムにはPC2700がお勧めだろう。

 一方、Athlonの場合はPC2700以上にしても性能アップが小さい。これは、今回テストに用いたFSB266MHz版のAthlonでは、システム帯域が2.1GB/秒と同じ、それゆえPC2700を使っても、帯域が余ってしまうのだ。

 もっともAthlon XPは今後FSB333MHz化が進み、この場合はPC2700の帯域を有効利用できる。将来性を見越してPC2700を購入しておくのがベターな選択だ。

Pentium 4なら高速メモリに効果あり Athlonでは目立った効果なし
ベンチマークテスト
メモリ関連のベンチマークテスト結果
ベンチ環境

CPU:Pentium 4-2.8GHz、Athlon XP-1800+/メモリ:256MB/OS:Windows XP Professional英語版+SP1



AGP 8xは2003年の標準スペックになる!

「AGP 3.0(AGP 8x)」解説(from 月刊アスキー)。画像をクリックすると当該記事に移動します。

 ビデオカード専用のスロットとして装備しないマザーボードのほうが珍しくなったAGPスロット。このAGPにおける最新かつ最速の動作モードがAGP 8xだ。VIA「Apollo KT400」をはじめ、「SiS648」「nForce2」などサードパーティ製チップセットがまず先に対応を進めている。一方、Intelは主力の「i845PE/GE」ではまだ未対応だが、ワークステーション用の「E7205」(開発コードネーム:Granite Bay)で対応した。AGP 4x対応が今のビデオカード/マザーボードの常識になっているように、2003年にはAGP 8xが当たり前になるだろう。

 では、AGP 8xになると何がすごくなるかというと、単純にデータ最大転送速度が大きくなるのだ。AGPはバス幅が32bitでベースクロックは66MHzで動作しているが、クロック1回あたり1度のデータ転送を行うAGP 1x(266MB/秒)からスタートし、その2倍速のAGP 2x、4倍速のAGP 4xと進化し、8度速のAGP 8xでは2.1GB/秒の帯域を持つにいたった。3Dゲームなどでは大量のテクスチャデータをメインメモリから転送する必要があるが、その際に有利になる。



今の効果は大きくないが
AGP 8xがあって損はない

WinFast A280LETD MyVIVO
新たにAGP 8xに対応したNvidia「GeForce4 Ti4200-8X」を搭載する「WinFast A280LETD MyVIVO」。元々はAGP 4xまで対応のビデオチップなので、AGP 8xの効果はさほど大きくない。

 AGP 8xに対応したビデオチップは、ATIのRADEON 9700などブランニューの製品以外に、Nvidiaの「GeForce4 Ti4200」や「GeForce4 MX440」にAGP 8x対応バージョンが存在する。ただ、現状のビデオチップとベンチマークプログラムでは、AGP 4xとAGP 8xでの差がハッキリ生じていない。AGP 8xの性能を生かすには、Nvidiaの次世代ビデオチップ「GeForce FX」(NV30)をはじめとする、より強力な3D性能を持つビデオチップが必要となりそうだ。その準備として、今からAGP 8x対応のマザーボードを購入しておくことは決して損ではない。



AGP 8x vs. AGP 4x
●わずかながらAGP 8xの効果が出た!
AGPの互換性に注意!
●AGP規格の詳細
サポート倍率動作電圧最大転送速度制定日時
AGP 1.01x、2x3.3V533MB/秒1996年8月
AGP 2.01x、2x、4x1.5V1GB/秒1998年5月
AGP 3.04x、8x0.8V2.1GB/秒2002年9月
 AGPというと4x、8xといった動作モードばかりが注目されるが、それとは別に、制定された順に1.0/2.0/3.0と3つのバージョンが存在する。1.0では1x/2x、2.0では1x〜4x、3.0では4x/8xの動作モードをサポートするが、バージョン間での大きな違いが信号電圧。AGP 1.0では動作信号を3.3Vの電位差で伝えていたが、より小さい電位差のほうが高速時に安定して利用できるため、2.0では1.5V、3.0では0.8Vと低くなった。i845/i850といったIntel製チップセットではAGP 4xモードのビデオカードしか利用できないなどと言われるが、正確にはAGP 2.0、1.5V動作のみサポートしているため、AGP 1.0対応のビデオカードは利用できないのである。
【AGP 1.0/2.0対応スロット】 スロットに切れ込みがないのがAGP 1.0/2.0の両カードに対応したスロット。
【AGP 2.0対応スロット】 こちらは、AGP 2.0以上にのみ対応したものだ。
●AGPスロットをよく見ると違いあり
 そこで、間違えた組み合わせで差さないよう、AGP 1.0と2.0では違う部分に切り込みが用意されている。ただ、AGP 3.0ではもう切り込みを入れる場所がないためか、AGP 2.0と同じ切り込みが用いられた。現在のAGP 3.0対応のビデオカード/マザーボードはほとんどが、AGP 2.0/3.0の両バージョンをサポートしているので大きな問題となっていないが、今後の動き次第で互換性の問題が出てくる可能性もある。
【AGP 1.0世代のAGPビデオカード】 1.0世代の製品。左に切れ込みがない。
【AGP 2.0世代のAGPビデオカード】 こちらはごく最近のビデオカード。両側に切れ込みがあり、ほぼすべてのAGPスロットで差し込み可能。
●ビデオカードは基本的に広く対応



高速な外付け周辺機器の接続に必須
USB 2.0/IEEE1394

【SiS963】 USB 2.0機能を内蔵したSiS製South Bridge「SiS963」。チップセットへの内蔵で、安価にUSB 2.0が搭載可能になった。。
【VT6307】 IEEE1394はまだ別チップを必要とするケースがほとんど(写真はVIAの「VT6307」)。それでもIEEE1394ならではのメリットも確実にある。
●USB 2.0はチップセット内蔵化が進んでいる

 周辺機器の接続に便利なUSB 2.0やIEEE1394。普及が遅れていたUSB 2.0も主要チップセットに内蔵され、OS側もXP+SP1で標準サポートされことで、一気に普及が進んでいる。一方、自作向けマザーではいまひとつ人気が低かったIEEE1394。IEEE1394は主要チップセットに機能が内蔵されておらず、別途チップ追加が必要でコストアップに繋がることがその原因だが、最近急に搭載例が増えている。

 どうして今でもIEEE1394の人気があるかといえば、IEEE1394にはUSB 2.0にはないメリットがあるためだ。それは、

  1. デジタル機器との接続
  2. 対応OSの幅広さ
  3. CPU負荷率の小ささ

だろう。(1)はDVカメラとの接続などでおなじみの部分、(2)はIEEE1394は98SE以降でOS標準のドライバが利用可能だ。

 (3)は案外知られていない部分かもしれない。チップセット内蔵タイプのUSB 2.0機能では、高速な外付けHDDを接続した場合で30MB/秒以上の高速転送が可能になるなど、後れを取っていた速度面でもIEEE1394に追いついてきた。しかし、この時のCPU負荷率は30%以上。一方、IEEE1394では数%程度。データのバックアップ時には問題がないが、ビデオ編集や動画圧縮をしながら、アクセスする場合は差は大きい。

 以上から、手軽さで勝るUSB 2.0の普及が進んでも、IEEE1394を完全に取って代わるとは考えにくく、確実にIEEE1394は存在し続けるだろう。

●USB 2.0のCPU負荷はかなり大きい!
IEEE1394 vs. USB 2.0
ベンチ環境
使用HDD:アイ・オー・データ機器 HDA-iU80(+1394-iCN2)

次世代HDD用インターフェイス
UltraATA/133/シリアルATA――未来はともかく今は必要ない!?

シリアルATAケーブル
【コンパクトになるケーブル&コネクタ】 ケーブルは細く、コネクタ部は小さくなった。なお、コネクタ1つにあたり機器1つの接続となる。

 HDDは大容量化とともに、高速化も常に進んでいる。インターフェイス側もUltraATAがUltraATA/66、UltraATA/100と進化し、133MB/秒の「UltraATA/133」まで達した。しかし、実際には各社ともUltraATA/133にあまり積極的ではない。対応HDDはMaxtorのみで、チップセット側は肝心のIntelが対応しないという状況。現在最速クラスのIDE HDDにおける最大内部転送速度が約700Mbps(約88MB/秒)程度とUltraATA/100に収まるので、あまり必要がないのである。

 また、シリアルATAが今後のHDD用インターフェイスとして本命視されているのも大きい。シリアルATAはその名のとおり、USBなどと同じシリアル伝送を行っているのが特徴。信号線の本数が大幅に少なくなり(80芯→7芯)、ケーブル長の制限も緩くなった(457mm→1000mm)。

 最近では、将来性を見込んで、シリアルATAのコネクタを用意するマザーボードも増えてきたが、対応ドライブはというと、まだ市場には登場していない。本格普及はIntel製チップセットが対応する2003年半ばくらいと予想され、すぐ今のHDDが買えなくなるとも思えない。将来性重視のユーザー以外、シリアルATA機能の有無にこだわる必要はない。



今やPCに必須の存在
LAN/Gigabit LAN――これから普及が進むか? Gigabit Ethernet

GbEチップ
【GbEチップも一般的に】 1000BASE-T対応のEthernetコントローラ(写真はBraodcom製)。もちろん、10BASE-T/100BASE-TX機器との接続も可能。

 家庭内LANでPC同士接続する場合はもちろん、ブロードバンド回線へのアクセスにも必要なEthernet機能。今やあらゆるPCに不可欠の存在とも言っていい。

 このEthernetのうち、もっとも普及している規格が100BASE-TX。この100BASE-TXのEthernetは十分枯れた技術と言えるが、非常に雑多なメーカーがEthernetカードやハブなどをリリースしていることもあり、相性問題が生じて、十分な速度が出ないケースも皆無ではない。そんなこともから、Ethernet機能を提供するチップそのものにこだわる製品も出てきた。中でも、Intel製チップはEthernet製品においても、評判が高い。

 最近では100BASE-Tのさらに10倍の速度を持つ、1000BASE-T対応のEthernet機能を装備するマザーが増えてきた。しかし、1000BASE-T対応ハブが高価(8ポートで3万円程度)なほか、1000BASE-Tの理論値はHDDの性能を大きく上回るもので、HDD同士のコピーでは実測で100BASE-Tの2倍程度しか向上しない。1000BASE-T対応のEthernet機能は一般に10BASE-T/100BASE-TXとの下位互換性があるのであって困るものでもないが、その性能を活用するのは現状では難しいだろう。



(沢渡 円)




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