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■製品レビュー
(PC本体)
A4ノート


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【絵で分かるキーワード】燃料電池(ねんりょうでんち) 水素やエタノールの化学反応を利用して電力を発生させる近未来技術
【絵で分かるキーワード】燃料電池(ねんりょうでんち)

Printable Version 月刊アスキー月刊アスキー 2002年8月号
2003年4月21日


関連キーワード
バッテリ、モバイル、要素技術

燃料電池の仕組み
●【燃料電池の仕組み】

 ノートPCやPDA、携帯電話などのモバイル機器向け燃料電池の実用化が視野に入ってきた。これらモバイル機器は高性能プロセッサの採用や動画、無線デバイスへの対応などその機能は増えるばかりなのに、その進化のスピードにリチウムイオン電池を始めとするバッテリの性能アップが追い付いていないのが現状(それでも初期の製品に比べたらどの電池も大幅によくなっているのだが)。現在燃料電池が脚光を浴びるのは、こうしたモバイル機器の機能強化や長時間駆動を実現する次世代バッテリへの期待があるからだ。

 燃料電池は水素と酸素の化学反応を利用した発電システムの総称。「電池」とはいえ実際には「発電機」のようなものだ。最近は自動車の次世代エネルギー源として注目されているが、古くはアポロ宇宙船に搭載されているし、工場や家庭用の発電機としても製品化されており目新しいものではない。ただしこれまでは比較的大きなシステム向けだったが、ここにきて小型化軽量化に向けた研究が進み、モバイル機器が新たな応用分野として浮上したわけだ。

 その理由は燃料電池が持つ容量の大きさにある。電池の性能を計る指標のひとつに単位重量あたりの電池容量を示す「重量エネルギー密度」があるが、これを比べた場合、理論上では携帯機器向けの燃料電池はリチウムイオン電池の10倍にもなる(あくまで理論上であり、現時点で実現されてはいないがそれだけのポテンシャルはあるということ)。つまり同じ重さで揃えたなら、燃料電池のほうが10倍の駆動時間を実現できるし、駆動時間を抑えるならより小型のバッテリができるわけだ。現行4時間駆動のノートPCが40時間使えるとなれば、大きなアドバンテージになるのは言うまでもない。

 また、燃料電池は使い切った場合、燃料となる水素燃料を補充するので「充電」という概念がない。例えば40時間使った後も、すぐに40時間使えるようになる。大きなACアダプタに比べて水素燃料は非常にコンパクトになる可能性もあり、使い勝手は大きく変わるだろう。製造コスト、ランニングコストともに安いとも言われている。

ダイレクトメタノール方式で小型化

次世代自動車向け燃料電池
●【自動車に使われる燃料電池】 次世代自動車で開発が進められている燃料電池には、水素の供給方式に2通りある。どちらも大がかりなシステムになり携帯用には向かない。カシオの開発したDMFCはサイズの問題を解決している。

 自動車用では水素を直接供給したり、メタノールなど水素を含む燃料から水素を取り出す改質器と呼ばれるデバイスを搭載するなど複数の方式があるが、いずれも大がかりなシステムになるため携帯機器向けには適さない。そのため携帯機器向け燃料電池では、メタノールを直接使う「DMFC(Direct Methanol Fuel Cell、直接メタノール)方式」が採用されている。燃料として使うのはメタノール。これを燃料側(アノード)へ水と一緒に注入すると、白金などの触媒によって水素イオンと電子、二酸化炭素に分解される。二酸化炭素は排出され、水素イオンは中央の電解膜を通って空気側(カソード)へ移動、空気中の酸素と反応して水になる。水は燃料側へ送られて再利用される。電子は端子を通って外部に電力として供給される――これがDMFCの仕組みだ。つまり燃料は水とメタノールであり、排出されるのは二酸化炭素と水というわけだ。

 これまで試作品を発表したのはNECや東芝など。NECは昨年夏、携帯電話用を想定した名刺大で厚さ10mmのシート状電池を試作、10gのメタノールを使って待ち受け300時間、連続通話2時間を実現している(3年以内にそれぞれ3000時間、200時間を目指している)。東芝はPDAのGENIO用電池を試作。それなりに大きさはあるもののリチウムイオン電池の5倍の駆動時間を実現している(こちらもサイズ・容量とも改良中)。

さらなる効率化を目指して改良中

燃料電池駆動のFIVA
●【燃料電池を応用したPC用バッテリの試作機】 カシオがイメージモデルとして試作した燃料電池駆動のノートPC「FIVA」。20時間駆動できるという。従来のバッテリのように「充電」ではなく、燃料のメタノールカートリッジを交換することになる。

 もちろん現時点ではその性能は十分ではないが、メーカーは2〜3年以内の製品化を狙っており、今なお開発が続けられている。ポイントは容量。現時点ではメタノールが持つ本来のエネルギーの1割程度しか得られていない。理論値に近づくための課題は膜素材や温度管理などの技術だ。燃料側と空気側を隔てる現行の電解膜は水素イオンだけでなく分解前のメタノール自身も透過させてしまう。メタノールが空気側に移動すると起電力が低下する反応が起きるため、電池の性能が低下する。そのために水素イオンだけを確実に通す膜の開発が求められている。またメタノールの濃度を上げると電池の性能を上げられるが、これも膜の性能次第(現在の試作品はいずれも低濃度のメタノールが使われている)。また燃料電池は温度が高いと反応が進むため性能が上がるが、そのための温度管理もモバイル機器向けとしては重要なポイントになるだろう。

 燃料側にたくさんの水素を供給することが電池の性能向上につながるが、カシオは自動車でも使われている水素抽出機である改質器を半導体製造技術で小型化することに成功(数百個の部品で構成されている)、改質型PEFCという燃料電池の試作に成功している。ノートPC用バッテリと同じ体積ながら重さは約半分、それでいてすでに4倍の駆動時間を実現している。

マイクロリアクター(小型改質器)
●【燃料電池を高効率化するための重要部品】 マイクロリアクター(小型改質器)の裏と表。メタノールから水素を効率よく取り出すフィルタ。シリコンウェハー上に微少で複雑な機構を作り上げている。

 このほか液体や気体を循環させるためのポンプの小型化やポンプを使わないシステムの開発、低温状態で凍ってしまう水の取り扱い、循環させない場合に排出される水の問題、マネジメント技術などバッテリシステムとして完成させるには多くの問題が山積している。燃料電池自体の技術開発以外にも、燃料として供給するメタノールカートリッジの形状や互換性、安全性、供給体制などのインフラ整備も早急に取り組む必要がある。

月アスのヨミ
 次世代バッテリとしてのポテンシャルは十二分。しかし今後どこまで効率を高められるか、ユーザーが安定して使えるようカートリッジ供給などのインフラが整うかどうかがポイント。最初は機器ごとの専用バッテリとして発売されるだろうが、すぐに標準化の動きが出るハズ。最初の製品は2〜3年後。まずはACアダプタフリーのノートPC用として登場すると予想される。

(浅野 純也)



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