2005年4月8日
“VAIO type S”は、2スピンドルモバイルノートに分類されるノートパソコンだ。軽量・薄型・強固と三拍子揃った筐体に、13.3インチワイド液晶パネル(1280×800ドット)を搭載し、薄型光学ドライブが内蔵する。底面積(229.4×312.5mm)は、幅がA4(210×297mm)よりもわずかに大きい程度で、机の上であまり場所をとらない。
![VAIO type S [High Spec] VGN-S92S/S](/db/review/pc/a4note/2005/04/08/thumbnail/thumb320x240-images770152.jpg) |
「VAIO type S [High Spec] VGN-S92S/S」 |
VAIO type Sのラインナップの中でも、“VAIO type S [High Spec]”のカテゴリー(※1)に属しているモデル『VGN-S92S/S』が、この春の注目だ。VGN-S92S/Sは、CPUやHDD、メモリの搭載量などいくつかのパーツに関してユーザーの選択が可能で、組み合わせによっては非常に優秀なパフォーマンスを持つモバイルノートパソコンに仕上げることができる。また、“新Centrino”こと“Sonoma”が採用され、CPU・ビデオ周りのパフォーマンスアップ、バッテリー駆動時の長時間駆動、無線LAN(802.11b/g対応)内蔵など、モバイルノートとしての基本性能が向上している点も見逃せない。
※1
ソニースタイルでは、type Sのラインナップの中でも、Sonomaプラットフォームを標準搭載するモデルを[High Spec]、そうでないモデルを[Standard]と区分けしている
なお、VGN-S92S/Sは、ソニースタイル専売モデル。つまり一般的な店頭では手に入らないモデルである。ここでは、そのVGN-S92S/Sを最強カスタマイズしたモデルを使い、その実力を探るレビューを展開していこう。
デスクトップに匹敵するパフォーマンス
では、VGN-S92S/Sの実力はどうだろうか。基本スペックだけを見ても、VGN-S92S/Sがビジネスや一般的な使用においてはなんの不足もない仕様だということがわかるが、いくつかのベンチマークテストで計測してみよう。
まずは、ACアダプターを使用したデスクトップ機としてのパフォーマンス。比較対象にしたのは、筆者の仕事場にあるテストマシン。2年ほど前に自作し、それなりに実力はあると思っていたのだが。
両者の基本スペックは以下のとおり。なお参考まで、2シーズン前(2004年夏)に発売されたtype S『VGN-S90PS』のテストを併せて行なっているので、そのスペックも紹介する。
| 製品名 |
VGN-S92PS |
筆者デスクトップ(自作) |
VGN-S90PS(type Sの旧モデル) |
| OS |
WindowsXP Professional |
WindowsXP Professional |
WindowsXP Professional |
| ディスプレー |
13.3型ワイドWXGA対応クリアブラック液晶 |
- |
113.3型ワイドWXGA対応クリアブラック液晶 |
| CPU |
Pentium M 770-2.13GHz |
Pentium 4-2.4CGHz |
Pentium M 745-1.80GHz |
| メモリー |
512MB(DDR2 SDRAM DDR2 400) |
1GB(DDR2 SDRAM PC2100) |
512MB(DDR SDRAM) |
| HDD |
100GB(5400rpm、シリアルATA/150) |
120GB(7200rpm、シリアルATA/150) |
60GB(4200rpm、UATA/100) |
| ビデオカード |
NVIDIA GeForce Go 6200 with TurboCache(VRAM 128MB) |
NVIDIA GeForce4 Ti4200(VRAM 128MB) |
ATI MOBILITY RADEON 9700(VRAM 64MB) |
| ドライブ |
DVDスーパーマルチドライブ(DVD-R書き込み最大2倍速) |
DVD±RWドライブ(DVD-R書き込み最大8倍速) |
DVD-RWドライブ(DVD-R書き込み最大2倍速) |
|
筆者の環境はすでに“枯れて”いる、つまりは一世代前のスペック。特にビデオカードが貧弱だ。対するVGN-S92S/Sは、搭載メモリ量こそ512MBではあるが、Sonoma対応による全体のスペックの底上げが期待できるはずだ。
それでは実際にベンチマークテストを実施する。
まず、グラフィックを含めた全体のスペックを計るべく、定番ベンチマークテスト『FINAL FANTASY XI Official Benchmark Vana'diel Bench3』(以下FFベンチ3)を実行し、そのスコアを比較してみる。
ベンチの結果は以下のとおり。ベンチ結果は5回計測の平均値。
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FFベンチ3を使用したデスクトップパフォーマンスのチェック(AC電源使用時) |
実際にこの自作マシンで『ファイナルファンタジーXI(FFXI)』をプレイしていたこともあり、ほとんどストレスは感じていなかったのだが、この結果を見るとVGN-S92S/Sが大幅に上回る。
FFベンチの結果診断によれば、5613(低解像度)の評価は“とてとて”(8段階評価で上位から2番目)に、3199(高解像度)の評価は“とてつよ”(同3番目)にあたり、解像度を問わずストレスなくFFXIをプレイできるスペック。ビデオカードに採用されたNVIDIA GeForce Go 6200 with TurboCacheと、PentiumM 770-2.13GHz、デュアルチャネルに対応したメモリの威力が存分に発揮されているようだ。
VGN-S92S/Sがデスクトップに匹敵するようなパフォーマンスを持っていることはわかったが、肝心のモバイルノートとしての実力はどうだろうか?再びベンチマークテストを行なって、その実力を計りたい。
バッテリーは、バッテリーパックSを使用した。バッテリー駆動時パフォーマンスのチェックとしては同じくFFベンチ3を、また、バッテリーベンチには海人氏のフリーソフト『BBench』を使った。BBenchは、キー入力エミュレートを行ないつつ、定期的なWebページ巡回しながらバッテリーの低減具合を確認できるツールだ。テストでは、キー入力を10秒間隔で行ない、Webサイトを60秒間隔で巡回する設定にした。インターネット接続は筆者宅の無線LAN(802.11g)を使用。メーカーがスペック表で公表しているのはJEITAバッテリー動作測定法(Ver.1.0)だが、ここでは、“街中のホットスポットでWebを見る”というような、モバイル環境(バッテリー駆動)でVGN-S92S/Sを使っているシチュエーションに近い状態をイメージした。
モバイル時、つまり電池駆動時の電源設定は、通知領域(タスクトレイ)のバッテリーアイコンをクリックして切り替えられる画面1。モバイル時の選択肢としては、“VAIOスタミナ設定”と“VAIOスーパースタミナ設定”がある。それぞれの設定を選択すると、“電源オプションのプロパティ”にの電源項目がある“電源設定”タブのバッテリー使用時の設定項目が変更され画面2→3:標準→スタミナ、“VAIO省電力設定”タブにある、画面の明るさやCPUの制御方法などより詳細な項目が変更される画面4→5:標準→スタミナ。スタミナ設定とスーパースタミナ設定では、内蔵ドライブの電源オン/オフの設定が異なる画面6と7。
また、バッテリー駆動時に“VAIO標準設定”を選択すると、すべてのパラメーターがAC電源駆動と同じ設定となる。「モバイル時もパフォーマンスを落としたくないよ!」というユーザーがいることを想定し、この設定でのベンチも計測することとした。
ベンチの結果は以下のとおり。ベンチ結果は3回計測の平均値。
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FFベンチ3を使用したモバイルパフォーマンスのチェック(バッテリー駆動時) |
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BBenchを使用したバッテリースタミナチェック |
パフォーマンスについては、“VAIO標準”設定が、AC電源接続とほぼ変わらない状態。当然といえば当然なのだが、そのぶんバッテリーの消耗は激しくなっている。
一方で“VAIOスタミナ”と“VAIOスーパースタミナ”のパフォーマンスに明らかに差が出ている。電源管理の設定から見ると、内蔵ドライブのオン/オフだけが異なるように見えるが、実際のところはCPUとビデオチップに関してもクロック数などの設定値が異なっていることが推測できる。
満充電状態からバッテリーが0になる(正確には最後のログが記録されたとき)までの時間は、当然ながらVAIOスーパースタミナ設定が格段に長い駆動時間である。
ここでの結果から、ユーザーがモバイル時にどのようにVGN-S92S/Sを使うかによって、バッテリー管理設定の選択肢が導かれるだろう。
使用する状況により、
-
パフォーマンス重視→VAIO標準
-
バッテリー重視→VAIOスーパースタミナ
-
バランス重視→VAIOスタミナ
といったところだろうか。
同じバッテリー駆動でも、例えば新幹線による東京−新大阪間の移動時間(約3時間)を使って報告書を書き上げるなら“VAIOスーパースタミナ”設定、数十分程度の部内ミーティングなら“VAIO標準”設定と、使い分けができるのだ。
“持ち歩き”を考慮した仕様、堅牢性
今回のベンチを計測するにあたり、VGN-S92S/Sを操作していくつか感じたところがある。
外観が全体的にシルバーで、液晶を開けると画面/キーボード周りはツヤ消しのブラック。全体的に落ち着いた印象があり、ビジネスシーンでもまったく違和感なく使える。
また、ソニースタイルでVGN-S92S/Sを購入すると、専用の『プライバシーフィルター』がもれなく付属する。実際に試したところ、このフィルターによって、視野範囲を液晶面の左右およそ30度程度までに制限し、横からの覗き見を防いでくれる。営業中に立ち寄ったカフェなど、場所を選ばずに使いたいモバイルノートだからこそ、他人の目線を遮るプライバシーフィルターが付属するのはうれしい。
サイズはいわゆるA4サイズをわずかに上回るが、2kg弱の重量と、約30mm(最厚部35.4mm)の薄さがあまり大きさを感じさせない。A4サイズノートを収納できるカバンならラクラク持ち運びできるだろう。
持ち運びで気になったのはACアダプターの大きさ。VGN-S92S/Sに付属するACアダプターは、type Aやtype Fに付属するものと同じものだが、同じtype Sの[Standard]モデルに付属するACアダプターは、旧typeSシリーズやtype TR、type 505 EXTREMEなどに付属するACアダプターと同じもので、後者のほうがアダプター部分が薄く、小さい。ACアダプターのサイズは、VGN-S92S/S付属のものが幅63×奥行き140×高さ30mm/約420g、旧モデル付属のものが幅58.4×奥行き150×高さ17.7mm/約290gで、並べると大きさの違いがよくわかる。また、ケーブルも後者のほうが柔らかくとりまとめやすい。カバンに入れる際の持ち運びにやや影響あるだろう。
一方で、ネットワーク/モデムコネクター、USBコネクターが軟質プラスチックのカバーに覆われている点は持ち運びの点からも安心できる。しかし、最近一般化してきたUSBフラッシュメモリを頻繁に抜き差しして使う場合などは、コネクターを使用しているときのコネクタカバーの存在が邪魔に感じるかもしれない。また、USBマウスなどを使う場合も、コネクタの位置が本体の右側手前なので、接続部とマウスを操作する右手が干渉して使いにくさを感じることもあるだろう。
無線LAN機能を、スライドスイッチでオン/オフできる点も気に入った。明らかに無線を使わないモバイル環境ではスイッチをオフにしておくことで、バッテリーを節約できる。
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左はtype S(新機種)の底面、右はtype S(旧機種)の底面。新機種の向かって左側(設置した場合には本体右側奥)には、旧機種にはない、大きな排熱口が設けられている |
キータッチは良好。キーピッチは約18mmで、変則配置もないのでタッチタイプも可能だ。キーストロークは約2mmと若干浅いものの、タイプしてもキーボード全体がたわむ感じがなく、カッチリと快適にタイプできる。
持ち歩けるメインマシンを探しているなら
高い性能と良好な使い勝手を誇るVGN-S92S/Sだが、基本的にモバイルノートPCである以上、さすがに現行のハイスペックデスクトップPCに太刀打ちするのは難しい。それほどのハイスペックを必要とするなら、素直にデスクトップを買えばいいし、TVチューナーを内蔵するようなA4サイズの据え置き型ノートPCだって選択肢になる。
では、VGN-S92S/Sはどのようなユーザーにおススメできるのか?
まずVGN-S92S/Sをターゲットにしてほしいのは、“オフィスの机の上や自宅で主に使い、必要なときには出先に持ち出す”という使い方ができるメインマシンが欲しいと思っているユーザーだ。この春から社会人や大学生になり、そういったようなPCを探しているのであれば、机上で十分使えるハイスペックで、モバイル時にスタミナ優秀なVGN-S92S/Sが選択肢の候補となるだろう。
また、2〜3年前に購入したパソコンを使っていて、そろそろ買い換えを検討しているユーザーにもおススメしたい。過剰なほどのハイスペックは必要ではないけれど、いま使っているパソコンのスペック面やサイズに不満があって、そろそろ新パソコンを……と思っているなら速攻選んでもいい。
前述のとおり、VGN-S92S/Sはソニースタイルモデルとなり、量販店では手に入らない。購入時に機能的に必要な部分とそうでない部分を取捨選択することだってできるから、自分の身の丈にあったパソコンを、Webで見積もりを取った上、ずばりと購入できるだろう。
この春、デスクでもモバイルでも使えるノートパソコンを探しているなら、ソニースタイルのみで購入できるVGN-S92S/Sの選択を考えてみてはいかがだろうか。
| VGN-S92PSのスペック |
| 製品名 |
VGN-S92PS
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| ディスプレー |
13.3インチワイドWXGA対応クリアブラック液晶パネル(1280×800ドット)(そのほか13.3インチワイドWXGA対応液晶パネルも選択可能) |
| CPU |
Pentium M 770-2.13GHz(そのほかPentium M 740-1.73GHz、730-1.60GHz、Celeron M 360-1.40GHzから選択可能) |
| メモリー |
512MB(そのほか、2GB、1GBから選択可能)
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| HDD |
100GB(5400rpm、シリアルATA/150)(そのほか40、60、80GBから選択可能) |
| ビデオカード |
NVIDIA GeForce Go 6200 with TurboCache(VRAM 128MB)
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| ドライブ |
DVDスーパーマルチドライブ(そのほかCD-RW/DVD-ROMドライブも選択可能) |
| キーボード |
英字/日本語から選択可能
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| 電源 |
ACアダプターまたはリチウムイオンバッテリー
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| サイズ |
幅312.5×奥行き224.8(ヒンジ込み229.4)×高さ29.9(最厚部35.4)mm/約1.95kg
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(二瓶 朗)
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