月刊アスキー 2002年12月号 2003年2月17日
POINT
- ファミリーネットワークカードでネットワークを容易に構築
- ファミリーネットワークウェアによる簡単ホームサーバ
- ハードウェアMPEG-2エンコーダでクリアな画像を録画
夏モデルではラインナップから姿を消していた富士通の一体型モデルだが、2002年冬の新製品で復活することとなった。「省スペースを実現するスタイリッシュな一体型」という外見に加え、「家庭の中心に存在するパソコン」というコンセプトを与えられて登場した「FMV-DESKPOWER L」シリーズは、そのスタイルはもちろん、いま旬であるホームネットワークやTV録画などの豊富な機能で非常に魅力的なモデルである。
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編集部注:現在、本レビューの後継モデルが発売されている。詳細はこちらの ニュース記事を参照いただきたい。
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「FMV-DESKPOWER L」シリーズは、17インチワイド液晶(1280×768ドット)の背面に本体機能が格納され、座面に光学ドライブが配置されるスタイリッシュな一体型モデルである。「L18B/F」と「L18B」の2モデルで構成され、L18B/FがCPUにPentium 4-1.80A GHz、HDD120GBとDVDマルチドライブを搭載し、L18BがCPUにCeleron-1.80GHz、HDD80GBとDVD/CD-RWコンボドライブを搭載する。それらの基本スペックの大きな差に加え、両モデルには決定的な違いがある。それが、L18B/Fに搭載されたブロードバンドルータ機能+無線LANアクセスポイント機能の、「ホームネットワーク機能」だ。
簡易サーバ機能も備えた
ホームネットワーク機能
L18B/Fは、本体に「ファミリーネットワークカード」を内蔵している。L18B/FをADSLモデムなどに直接接続すれば、L18B/Fがブロードバンドルータとなり、複数台のパソコンを接続することが可能になる。2台以上のパソコンを有線接続する場合はハブが必要になるが、ファミリーネットワークカードは無線ルータ機能も備えているので、接続するパソコンに無線LAN機能が搭載されていれば気軽に家庭内ネットワークが構築できる。もっとも、「気軽に」とは述べたが、実際にL18B/Fに付属するマニュアルに従って設定してみたところ、有線の場合はハブの設定、無線LANの場合はWEPキーの指定やMACアドレスの登録など、ある程度のパソコンネットワークスキルが必要なようだ。全くの初心者にとってはちょっと敷居が高い印象を受けた。なお、ルータ・無線LANアクセスポイント機能はL18B/Fが起動していない状態でも単体で動作する。
また、ホームネットワーク機能によって接続した各パソコンに「ファミリーネットワークウェア」をインストールしてユーザーアカウントを作成することで(L18B/Fにはインストール済み)、L18B/Fをファイルサーバとして使用することが可能になる。「共有ドキュメント」フォルダ以下に画像や動画、音楽、その他の共有フォルダが作成される。デジタルカメラや編集したDVの動画などを共有フォルダに保存しておけば、ホームネットワークに接続されたパソコンから直接アクセスすることが可能だ。もちろん、プリンタを接続すればプリントサーバとしても利用できる。
ファイルに直接アクセスできるだけでなく、デスクトップの「ファミリーネットワークウェア」ショートカットからL18B/Fにアクセスすれば、Webブラウザからアルバム機能、カレンダー機能、伝言板機能などが利用でき、いわば家族のポータルサイト的な使い方も可能になる。一般的なWebサイトにアクセスしたことがあるユーザーであれば簡単に扱えるツール類だが、実際に使用してみると非常に便利なものだ。
また、ファミリーネットワークウェアは、ホームネットワーク外部のパソコンや携帯電話などからのアクセスも可能である。家族が出先から伝言板に書き込みを行ってコミュニケーションを図れるし、付属するUSBカメラを接続すれば、それが定期的に撮影した部屋内の写真をサーバにアップして外出先からチェックする、といった使い方もできる。
さらに、ファミリーネットワークを経由してL18B/FでTV録画予約を行い、録画した映像をTVチューナを搭載していないホームネットワーク内のほかのパソコンで再生して見ることも可能だ。
ハードウェアMPEG-2エンコーダ搭載のTVチューナ
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写真3〜6 17インチワイド液晶の背面に本体機能がコンパクトにまとめられ、台座部分にドライブと電源が搭載されている。本体左側のカバー下にはTVチューナ、ファミリーネットワークカードが内蔵される。本体右側にはUSB、IEE1394、PCカードスロットなど、比較的抜き差しの頻度の高いコネクタ/スロットが配置されている。キーボード、マウスはワイヤレス。 |
そのTV録画機能だが、L18B/Fは、ハードウェアMPEG-2リアルタイムエンコーダを搭載したTVチューナを内蔵している。
タイムシフトやADAMS-EPG対応の番組表など一般的な機能は他のTVチューナ搭載パソコンと比較しても大差ない。画像が多少ざらついた感じがするが、それほど気になるものでもない。TVの操作は付属のリモコンからも行える。
ただ、「TVfunSTUDIO」による録画機能は、画像サイズが固定され(352×240ドット)、ビットレートを2Mbps、4Mbps、6Mbpsの3種類に切り替えるのみでしか詳細設定が行えないのが少し物足りない。CBR/VBRの選択やビットレートの調整機能も欲しいところではあるが、家族みんなが気軽にパソコンでTVを録画するという使い方であれば、この程度の設定で適当だろう。
録画機能で少し気になったのは、TV放送を録画しようとするときやタイムシフト録画を開始しようとした際に、元画像がいったん完全に消えて見えなくなってしまうところ。時間にすれば2〜3秒というところだし、あとで確認してみれば録画自体は正確に開始されているのだが、やはり元画像が見えなくなってしまうのはちょっと気になる。もっとも、試用したL18B/Fが試作機だったので、製品版で改善されることを期待したい。
またL18B/Fは、DVD-RAM/DVD-R/DVD-RW/CD-R/CD-RWそれぞれの書き込み(書き換え)に対応したDVDマルチドライブを内蔵している。ドライブは本体右底部に内蔵されている。TV録画ファイルをDVD-Rなどへバックアップする場合は、「TVfunSTUDIO」のランチャーから「MyDVD」や「Drag'n Drop CD」を起動して書き込み作業を行う。
コンセプトの異なる 「L18/F」
L18B/Fのコンセプトは「ホームネットワークの中心を担うパソコン」だ。スタイリッシュな外見は、家電的で家庭になじむという点では重要だが、要素としてはむしろ機能のほうが重要だ。すでにパソコンを数台持っていて、TV録画やDVD作成などに加えてホームネットワーク構築に興味のあるユーザーであれば、サーバ機能だけでも十分に購入検討対象に値するだろう。
一方、下位モデルの「L18B」は、L18B/Fからホームネットワーク機能とハードウェアMPEG-2エンコード機能を除いた製品である。ホームネットワーク機能がないため、L18B/Fとは同じシリーズ、ほぼ同じ外見ではあるものの、純粋に「スタイリッシュなディスプレイ一体型モデル」というコンセプトの製品となっている。液晶ディスプレイ一体型、TVチューナ内蔵、ソフトウェアエンコードによる録画機能という機能を見れば、バイオWシリーズの対抗馬といえる。しかも、バイオWよりも大きい17インチワイド液晶が搭載され、Office XPがプリインストールされているにも関わらずさほど価格差がないことを考えれば、購入時の比較対象となるのは間違いないだろう。
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画面2 ファミリーネットワークウェアの掲示板の書き込み画面。一般的な掲示板とほぼ同じ作り。外部からも、Webブラウザさえあればアクセスできる。 |
店頭での予想実売価格はL18B/Fが33万円前後、L18Bが22万円前後。それぞれのモデルのコンセプトを理解した上で購入を検討していただきたい。
「一番は、何といっても繋げること!」 ―ホームネットワークで買い替え・買い増し層を
富士通 パーソナル販売推進統括部
第二販売推進部長兼企画担当課長
小林義法氏
第一販売推進部(FMV-DESKPOWER担当)
永田泰三氏
買い替え・買い増しのカギは繋げること
富士通は冬モデルで、ディスプレイ一体型の筐体にルータ機能・無線LANアクセスポイント機能も搭載した「FMV-DESKPOWER L」、ホームサーバ「ファミリーネットワークステーション」を、新たにラインナップに加えた。
今回こういった商品を出した理由だが、両氏によると、まずマーケット環境が大きく変化し、新規の購入層が減少して買い替え・買い増しが中心になってきた。家の中に2台、3台のパソコンがあることが珍しくない。そして、複数台のパソコンを持っている人の7割はそれらを繋げたいと思い、さらにそのうちの半数以上は無線で繋げたいと考えている。だが、多くの人が実際には繋げていない。その理由の多くは「難しそうだから」。そこで、富士通は家の中の複数台のマシンを簡単に繋げられる機器として、またホームネットワークの中心として、DESKPOWER Lおよびファミリーネットワークステーションを発売し、買い替え・買い増し層を狙う。この種の製品は富士通としては初めてで、コンセプトとして「一番は、何といっても繋げること(小林氏)」。
そのDESKPOWER Lは、出先からでもデータにアクセスできるというのがウリだ。ブラウザさえあれば携帯電話でもPDAでも、データにアクセスすることができる。また、ほかの同様の製品とは違う点として、同機の搭載するルータおよび無線LANアクセスポイント機能は、本体の電源をオフにした状態でも動作するようになっている。永田氏はWebサーバを立てる際、通常は24時間マシンの電源を入れ続けなければならないが、これは日本人の感覚に合わないとしている。そこで、DESKPOWER Lでは、ルータ部分のみ24時間稼動し、Windowsの機能を使いたい場合はルータから本体を起動できるようにした。必要なときだけマシンを起動するという利用法がなければ、サーバを使ってもらうのは難しいからだという。
パソコンは誰にでも使いやすく
製品ラインナップについてだが、富士通の考えでは「パソコンは、ある程度何でもできるもの」であり、特定のユーザー層・用途に絞った製品には否定的だ。「パソコンは誰にでも使いやすくなければならない」。もっとも、特定の層に特化した機能でニーズがあれば、そういったラインを作ることも検討するが、現在のところは「もう少し見極めてから」だという。
とはいえ、富士通はモバイルユーザー向けにミニノート「FMV-BIBLO LOOX」をラインナップしている。B5ノート以下のミニノート市場は厳しいが、「この市場がシュリンクすることはない」。複数のマシンがあるとき、データの共有をどうするかといった問題に必ず直面するが、今回のDESKPOWER Lで、データはサーバで管理すべきという形をある程度は示せた。そして、リビングではDESKPOWER L、外からはLOOXでアクセスするのが便利だといった提案もできるとしている。
小林氏らは、企業ユースと個人ユースといった境界線が、今後希薄になっていくと考えている。。会社のパソコンも家庭のパソコンも、個人から見れば同じネットワークで繋がっている。富士通の強みは企業向けと個人向け、両方ともやっていることであり、その双方のニーズをつかんだ製品を投入していくという。その第一弾が今回の製品であり、今後はホームネットワークを充実させる商品を提供していく。
「この冬モデルでは、新しいホームネットワークということを切り口に、ユビキタス社会へ向けての方向性を示せたと思う(小林氏)」。
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| FMV-DESKPOWER L18B/Fの主なスペック |
| 製品名 |
FMV-DESKPOWER L18B/F |
| CPU |
Pentium 4-1.80AGHz |
| チップセット |
SiS650 |
| メモリ(最大) |
PC2100対応DDR SDRAM 256MB(1GB) |
| ディスプレイ |
17インチワイド スーパーファイン液晶(1280×768ドット) |
| ビデオ |
チップセット内蔵(メインメモリのうち32MBを共有) |
| HDD |
120GB |
| FDD |
オプション |
| 光メディアドライブ |
DVDマルチ(DVD-RAM2倍速/DVD-R2倍速/DVD-RW等速/CD-R12倍速/CD-RW8倍速/CD32倍速/DVD10倍速) |
| スロット |
PCカード×2(CardBus対応) |
| ドライブベイ |
5インチ×1、3.5インチ×1 |
| I/O |
USB 2.0×4、IEEE1394×2、TVアンテナ端子、ビデオ入力(コンポジット/S端子) |
| 通信 |
10/100BASE-TX、無線LANアクセスポイント(IEEE802.11b)、56kbpsモデム(V.90) |
| サイズ(W×D×H) |
492×235×364mm |
| 重量 |
14.5kg |
| OS |
Windows XP Home Edition |
| アプリケーション |
Office XP Personal、ファミリーネットワークウェア、MotionDV STUDIOほか |
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(二瓶 朗)
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