月刊アスキー 2003年7月号 2003年10月28日
本記事は月刊アスキー2003年7月号の当該記事を転載したものです。現在は両機種ともCPUなどを強化した後継モデルが発売されています。
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低消費電力が売りのCPU Pentium Mを使い、光ドライブを内蔵しながら重量1.5kgを切るサブノートが登場した。最強のサブノートはどっちだ!?
超低電圧版Pentium Mが発表されたとき、「これを搭載した斬新なサブノートが登場してこないか」と期待したものだ。その期待を裏切らない製品が登場した。中でもパナソニックの「Let'snote LIGHT W2 CF-W2AW1AXR」(以下W2)と、ソニーの「バイオノートTR PCG-TR1/B」(以下TR)は、重量1.5kgを切りながら、光学ドライブ内蔵と長時間バッテリ駆動を可能にした、夢の2スピンドルサブノートである。
軽いだけじゃない 実用性も高い
Let's note LIGHT W2
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写真1 一見すると光ドライブ内蔵には見えない「Let'snote LIGHT W2」。ドライブ内蔵でも1.3kg未満の軽さは驚きだ。 |
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写真2 C1の特徴であった横長液晶&内蔵カメラを受け継いだ「バイオノートTR」。丸みを帯びたボディデザインはソフトなイメージ。 |
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そもそもLet's note LIGHTシリーズは、重量1kg前後で長時間のバッテリ駆動を実現し、キーボードや液晶パネルも実用的なサイズを備えるという、非常に実用性の高いサブノートシリーズであった。
新しいW2は従来のT2シリーズとほぼ同じフットプリントでありながら、本体内部にPentium M CPUとCD-RW/DVDコンボドライブを内蔵してしまった。しかも一見するとドライブらしきトレイの口は、ボディのどこにも見あたらない。W2はパームレスト左側がそのままドライブの蓋になっていて、パームレスト内にオープントップ型のドライブユニットが完全に内蔵されているのだ! 本体側面に開口部の必要なトレイ型に比べて、本体強度を増す面でもオープントップ型ドライブは貢献しているそうだ。
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写真4 W2のキーボードとパッド部。キーピッチ19mmのキーボードは打ちやすく、タッチも良好。丸いパッドは形こそ変わっているが、使いにくくはない。スクロール機能もあり。 |
パームレスト部がドライブの蓋になっていると聞いていたので、実機に触れる前は「強度の面は大丈夫なのだろうか?」と懸念していた。しかし実際に触ってみると、ドライブ側のパームレストもしっかりとしていて、触れてもたわんだり、がたついたりしない。回転の振動が気になることもなかった。
またトレイ式と異なるささやかな利点として、ディスクを入れ替えるときにトレイのように場所をとらないので、電車や飛行機の座席のような狭い空間でも気軽に扱える点を明記しておきたい。
内蔵バッテリのみで7時間超を実現
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写真5 W2の右側面。左からPCカードスロット(上)、SDカードスロット(下)、10/100BASE-TX、モデム。 |
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写真6 W2の左側面。左から外部ディスプレイ出力、USB 2.0×2、マイク、ヘッドホン、ドライブの開閉スイッチ。 |
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W2では従来機種よりも大容量化したバッテリを標準搭載することで、バッテリ駆動時間を7.5時間まで伸ばすことを可能にした。
さすがに液晶パネルの輝度を最大にして、DVD再生を連続にするような高負荷状態では、7時間ものバッテリ駆動は不可能だ。しかしエディタやOfficeアプリケーション、Webブラウザ程度の使い方なら、丸1日出先で仕事をしていても、途中でバッテリがなくなる心配はなさそうだ。
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Let'snote LIGHT W2のフットプリント |
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バイオノートTRのフットプリント |
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写真7、8 W2(左)とTR(右)のフットプリントを本誌と比較。W2のサイズはほぼ本誌と同じだが、TRは奥行きが少し小さい。TRは側面が斜めになっているので、実際より小さく感じる。 |
ツルツル液晶&コンボドライブ
バイオノートTR
一方のバイオノートTRは、まったく新しいフォームファクタを取る2スピンドルサブノートだ。フットプリントはA4サイズより一回り小さい。
まず目につく外見上の特色は、横長サイズとツルツルした表面を持つ液晶パネルだ。解像度は1280×768ドットと、W2のXGA液晶より若干広めの画面になっている。ただしTRの液晶パネルの縦サイズは14.1cm程度で、18.5cm程度あるW2よりもピクセルのサイズは小さい。
「クリアブラック液晶」と名付けられたTRの液晶パネルは、DVDやビデオ再生用途を考慮して輝度とコントラストを高める工夫がこらされている。サブノートといえどDVDドライブを内蔵したからには、奇麗な絵を見たいと思うもの。液晶パネルの輝度を上げるには、バックライトを強力なものにするのが第一の方法だが、消費電力の制約の大きいサブノートでは難しい。TRでは液晶パネル内部の導光板やプリズムシートなどを改善し、従来機種(バイオノートSR)と比べて倍の輝度を実現しているという。
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写真10 TRのキーボードとパッド部。キーピッチはW2より小さめの17mmだが、打ちやすさは十分。軽めのキータッチは好みが分かれそう。パッドの使い心地はごく普通。 |
またツルツルした表面は低反射グレア偏光板によるものだ。通常CRTや液晶パネルの表面は照明の映り込みを避けるために、表面にザラザラした加工(アンチグレア)を加えた偏光パネルを貼り付けている。しかしこうしたパネルは映り込み低減には有効だが、パネルの輝度やコントラストを下げる傾向もあるので、映像表現には不向き。そこでTRではツルツル表面の偏光パネルを採用し、映像表示の見栄えを改善している。その効果はなかなかのもので、映画を表示しても黒の締まった見栄えのいい画面を表示できる。
11a/b両対応、ビデオチャット用カメラ内蔵
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写真11 TRの右側面。左からヘッドホン、マイク、USB 2.0、PCカードスロット、10/100BASE-TX、モデム。 |
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写真12 TRの左側面。左から外部ディスプレイ出力、放熱口、USB 2.0、Magic Gate&メモリースティックPRO対応メモリースティックスロット、i.LINK(外部電源端子付き)。 |
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写真13 C1の血筋の証「MOTION EYE」。画素数は37万画素といまや携帯電話にも見劣りするが、ビデオチャットや簡単なビデオ録画には十分。 |
TRは豊富な無線LAN機能を備える点も特徴だ。IEEE802.11a/bの両機能に対応しているほか、Bluetooth 1.1の通信機能も備えている。携帯ノートに内蔵の11b無線LANはもはや必須の機能と言えるが、高画質ビデオデータ転送に役立つ11aも内蔵したのは、AV用途を重視する製品ならではの特徴と言えようか。
TRシリーズは“バイオC1”の後継ともなる製品である。その証が液晶パネル上端部についたビデオカメラ「MOTION EYE」だ。TRではブロードバンド時代に合わせてビデオチャット用のカメラに位置づけられた。内蔵カメラは付属のビデオチャットソフト「With You Call」でのビデオチャットのほか、Windows Messengerでのビデオチャットにも利用できる。内蔵カメラと付属ソフト「Network Smart Capture」を使ったビデオ撮影も可能だ。
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写真14 W2でのビデオ画像表示。液晶輝度を最大にすると、写真では分かりにくいが画面下側が明るすぎて白飛びしている。コントラストもTRに比べて劣る。 |
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写真15 TRでのビデオ画像表示。液晶輝度を最大にしても、Media Playerのバー部分の色は正常。コントラストもサブノートとしては良好。 |
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バッテリの保ちは?
使い心地は?
それぞれの機種のハードウェア面での特徴は以上のとおりだ。では両機種を比較した場合、どちらにどんな利点があるのだろうか。CPUやチップセットといった基本要素は同じなので、違いはそれ以外にある。
やはりまず気になるのはバッテリ駆動時間だろう。2種類のテストを行って計測してみた(なお両機種とも製品出荷前の評価機であり、製品実機とは異なる場合がある)。
1つめはDVD連続再生時のバッテリ駆動時間を計測した。DVD再生中のCPU負荷は30〜40%とそれほど高くはないが、液晶輝度最大でDVDドライブが回転し続ける高負荷なテストである。結果はグラフ1のとおり。両機種とも4時間は保たなかった。最大輝度の液晶とドライブのバッテリ消費はかなりのもののようだ。
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写真16 W2のバッテリ部と本体裏面。6セルで7.4V/6600mAhの大容量バッテリが長時間駆動の秘密。ファンレスのボディは裏面全体を使って放熱している。 |
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写真17 TRのバッテリ部と本体裏面。バッテリは11.1V/4300mAh。バッテリ容量自体はW2とそう変わりがない。それでいてバッテリ駆動時間が違うのは、システム全体の平均消費電力の差が大きいからか。 |
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11b無線LANで接続したまま、液晶輝度を落として2分ごとにWebアクセスするテストでは、TRは5時間弱、W2はなんと7.5時間もの動作時間を記録した。TRの5時間弱という成績は、外出先での長時間使用という点では少々物足りなく感じる。一方のW2のバッテリ駆動時間は文句なしだ。
次に動画再生時の液晶パネルの表現力を見てみた。写真16はW2、写真17はTRでの画面であるが、輝度を最大にした場合、W2はパネル下側が明るすぎて、コントラストのない白飛び気味の絵になる傾向があった。その点ではTRの液晶はコントラストもほどほどで、一部だけ明るすぎるということもない。映画を見ていても画質の悪さを感じることはなかった。
ベンチマークテストの結果
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グラフ W2とTRのバッテリ駆動時間テスト。「DVD再生」は液晶輝度最大でDVDビデオを連続再生し、バッテリが切れるまでの時間を計測。「無線LAN」は液晶輝度は最低レベル+2、内蔵IEEE802.11b無線LAN経由でインターネットに接続し、2分に1回Webアクセスを行ってバッテリが切れるまでの時間を計測。いずれもHDD停止タイマーは5分間、サスペンド等は使用せず。TRはi.LINKやメモリースティック等もオフにして計測。 |
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実用性に優れたモバイルPCのW2
最後に熱と音についても触れたい。W2はLet's note LIGHTシリーズの伝統である「ファンレス」を守っており、Pentium Mノートでは珍しいファンレスを実現している。熱はキーボード面と裏面全体を使って放熱するのだが、動作中に裏面を触ってもそれほど熱くはなかったのは少々驚いた。
一方のTRは、側面に放熱用のファンがついている。ファンの動作音やドライブの回転音は静かで、動作中の音が気になることはなかった。ただ動作中は本体裏面がかなり熱くなるのは気になった。膝の上ではあまり使いたくない。
ではW2とTRのどちらがお買い得なのか。モバイルPCとしての実用性に絞れば、W2はほとんどあらゆる点でTRより優れている。足りないのはIEEE1394くらいのもので、バッテリ駆動時間の長さはすばらしい。実売価格がTRより1万円ほど安いのも魅力。ビジネスコンシューマならW2を選んで正解だ。一方のTRだが、バッテリ駆動時間以外ではW2とさほど遜色はないので、ビジネス的な使い方だけでなく、趣味的な用途、DVDやビデオ再生を重視したり、キュートな見た目に惹かれるという人は、こちらを選ぶのもよいだろう。
| CF-W2AW1AXRとPCG-TR1/Bの主なスペック |
| 製品名 |
CF-W2AW1AXR |
PCG-TR1/B |
| CPU |
超低電圧版Pentium M-900MHz |
超低電圧版Pentium M-900MHz |
| チップセット |
Intel 855GM |
Intel 855GM |
| メモリ(最大) |
DDR266 256MB(512MB) |
DDR266 256MB(1GB) |
| 液晶/解像度 |
12.1型/1024×768ドット |
10.6型ワイド/1280×768ドット |
| ビデオ |
チップセット内蔵 |
チップセット内蔵 |
| HDD |
40GB |
30GB |
| 光メディアドライブ |
CD-RW/DVDコンボ |
CD-RW/DVDコンボ |
| 通信 |
10/100BASE-TX、IEEE802.11b、56kbps |
10/100BASE-TX、IEEE802.11a/b、Bluetooth 1.1、56kbps |
| カードスロット |
PCカードTypeII×1、SDカードスロット×1 |
PCカードTypeII×1、メモリースティックスロット×1 |
| I/O |
USB 2.0×2、外部ディスプレイ端子 |
USB 2.0×2、i.LINK、外部ディスプレイ端子 |
| バッテリ駆動 |
約7.5時間 |
約4.5〜7時間 |
| サイズ(W×D×H) |
268×209.2×27.5〜41.5mm |
270.4×188.4×34.7〜36.5mm |
| 重量 |
1.29kg |
1.39kg |
| OS |
Windows XP Professional |
Windows XP Home Edition |
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(月刊アスキー編集部・小西)
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