2005年6月9日
ここ最近のパソコンは、TV機能や小型筐体といった、“ユーザーの目につきやすい”機能や特色を盛り込んでいくのがスタンダートな製品スタイルになってきている。こうした付加価値はパソコンの使い道や設置時のインテリア性を高めてくれるが、付加価値を高めた分だけ価格が少々高めになってしまうのも事実で、高付加価値製品では、「とにかく必要な機能だけが搭載されたパソコンが安く手に入れたい」という人のニーズを満たすのは難しいだろう。
こうしたベーシックなパソコンを求める声は意外に高く、機能を絞り、低価格化を最優先したシンプルなパソコンのセールスが成功を収めている例もある。パソコンの基本性能も向上しているので、ベーシックな製品でも、ビジネスアプリやウェブブラウジング、メールなどの一般的な用途にはストレスなくこなせるようになったことも大きいだろう。
こうした市場の声を反映して、NECは基本性能の充実と低価格化を重視したシンプルなパソコンの新ブランド“ValueOne(バリューワン)”シリーズを発表した。Web直販サイト“NEC Direct”モデルとなる「ValueOne G タイプMT」は、最小構成のベーシックモデルが5万円台(価格は3月11日現在)からという意欲的な価格設定になっており、国内トップメーカーの低価格パソコンとして、注目すべき存在となっている。
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「ValueOne G タイプMT」(写真の構成では、オプションで追加できる17インチ液晶ディスプレイをセットにしている) |
マシン内部にも拡張性をたっぷり備える
マイクロタワー筐体の実力
NECのパソコンはデスクトップからノートまで幅広いラインナップを誇るのだが、これらの既存モデルとValueOneシリーズの最大の違いは“シンプルさ”にある。パソコンとして最低限必要な機能をできるだけ低価格で実現し、拡張性も確保しているが、その代わり本体サイズや付加機能においての優位性はないというわけだ。それでは実機のポイントについて解説していこう。
「ValueOne G タイプMT」の筐体はマイクロタワータイプ。ケースカバーはドライバレスで開けられるようになっており、ケース内部はかなりスペースに余裕のある作りだ。本体正面に5インチベイが2つ用意し、標準では上側に光学ドライブを装備、下側は空きとなっている。光学ドライブはセレクションメニューから、CD-ROMドライブ/DVD-ROM&CD-R/RWコンボドライブ/DVD+R DL対応DVDマルチプラスドライブ(DVDスーパーマルチドライブ)の3種類から選択可能だ。空きベイに2台目の光学ドライブを追加してオーダーすることも可能。3.5インチベイはスライド式のカバーに覆われており、フロントのUSB端子もこのカバー内にレイアウトされている。この3.5インチベイには、セレクションメニューから7種類のメディアに対応したメモリーカードスロットを選択することができる。オプション追加料金は2100円(価格は3月11日現在)と手頃な設定となっているので、デジタルカメラやメモリーカード対応の携帯電話を利用しているユーザーはチョイスしておくと、画像を中心としたデータのやり取りに便利だろう。
拡張用のPCIスロットは3本(今回使用したマシンではモデムカードが1本を占有、空きは2本)で、ビデオカード用のAGPスロットは搭載しない。空きドライブベイは5インチ、3.5インチともに1つずつだ。インターフェイス類はUSB2.0が5つ、100BASE-TX/10-BASE-T対応のLANコネクタが1つ、シリアルとパラレルが各1つずつで、セレクションメニューでIEEE1394も追加できる。拡張性に関してはドライブベイ、PCIバススロットともに十分な数で、USB端子も豊富と満足のいく仕様だ。拡張性の面での不満は非常に少ないマシンだが、AGPスロットが未搭載なのは唯一残念な点だ。
マザーボードは一般的なMicroATXタイプのシンプルなもので、CPUは、Celeron D 335(2.80GHz)またはPentium4 2.80AGHzが選択できる。メモリスロットは2つ用意され、PC-2700対応メモリを256/512/1024/2048MB搭載可能だ。コストとパフォーマンスのバランスを考えると、注文時に512MBをチョイスしておくのが最も賢い選択だ。HDD容量は、40/80/160/200GBから選べる。
チップセットは、ビデオ描画機能を内蔵したIntel 845GVチップセットを搭載する。一部の3Dゲームなどでしか利用されないであろう高性能な3D描画能力をすっぱりと省略し、あくまでも“パソコンとして必要十分”なレベルに描画機能に抑えており、この点からも“シンプルさ”を徹底して追求していることが伺える。
マシンのトータルパフォーマンスは、Celeron D/Pentium 4のいずれを選択してもCPUクロックは2.80GHzということもあり、Windowsやアプリケーションの起動や動作も素早く、快適で申し分ないところだ。内部スペースにゆとりがある分、放熱効果も高いようで、CPUファンはかなりの負荷をかけ続けても低速回転のままで動作音は静かで、静音性にも優れていることが確認できた。搭載可能なメモリ容量も十分で、HDDや光学ドライブの追加の余地もあることから、3Dグラフィックス描画性能を問わない用途であればさまざまなことに利用できるマシンと評価できる。
“VALUESTAR G”シリーズとは一線を画する“ValueOne”
こうしてみると“基本性能と拡張性が高く、シンプルな作り”というNECの謳い文句も納得のいくところだ。拡張性はAGPスロットがない点を除けば合格点であり、基本性能もインターネットやビジネスアプリを中心としたパソコンの使い方ならば不満はまずありえない。大多数のメーカー製パソコンによく見られる付加機能はなく、大量のソフトウェアも付属せず、OSをインストールした直後に近いまっさらの状態であり、まさに“シンプル”以外の何者でもない。必要な機能やソフトは、ユーザーが自ら追加すればよく、こういった“必要なものはあとから追加していく”というスタイルでパソコンを使うのであれば、本機のようなシンプルで拡張性も確保されているパソコンは理想的と言えるだろう。低価格な製品=初心者向け、という見方もあるとは思うが、本機の場合は、むしろ中〜上級者にこそオススメの製品といえるかもしれない。
NEC Directのラインナップには、他にもシンプルで拡張性に優れる「VALUESTAR G タイプC」やコストパフォーマンスに優れる「VALUESTAR G タイプL」といった製品もあるが、こちらはHDD増設ベイが0または1つであるなど、スリム筐体のため筐体内部の増設用スペースには限りがある。そして価格もベーシックモデル同士での比較で1万7000円〜3万4000円(価格は3月11日現在)ほど高値になる。CPUスピードやTV機能、設置スペースの小ささといった優位性はあるが、これらは必要としないユーザーの場合、「ValueOne G タイプMT」のほうが圧倒的にコストパフォーマンスの面に置いて優れているだろう。パソコンでTVをデジタル録画したい、コンパクトで邪魔にならないパソコンがほしいなら「VALUESTAR G タイプC」や「VALUESTAR G タイプL」、とにかく価格最重視でかつ性能と拡張性が十分確保されているパソコンが欲しいなら「ValueOne G タイプMT」というように、ユーザーの選択肢が増えたと言える。
また、本機はセカンドマシンとしての導入にも向いている。メインマシンでTV録画や動画エンコードを行ない、その間にウェブを見たりほかのアプリケーションを使ったりするためのマシン、メインマシンとは別にファイル/プリントサーバーやウェブ/FTPサーバーとして稼働させるためのマシンといった用途にも、拡張ベイが豊富で導入費用が安い本機は魅力的な選択肢となるだろう。
TV録画機能を筆頭に、パソコンとしての基本性能以外の付加機能をセールスポイントに掲げる個人向け国内メーカー製パソコン市場において、その対極にあるシンプルさとコストダウンによる低価格を前面に押し出した本機は、国内トップシェアを誇るNECとしては勇気を出して投入した画期的なモデルと言えるだろう。本機のセールス次第では、こういったシンプルなベーシックパソコンが国内メーカー製パソコンの主力ラインナップになりうる可能性も十分に考えられ、ビジネスの面から見ても実に興味深い製品が登場したと考えられる。“ValueOne”ブランドの最初の製品ではあるが、トータルコストパフォーマンスは高く、スペックとのバランスから考えても完成度は高い。シンプルな構成のパソコンを求めるユーザーに本機をお勧めすると同時に、今後の“ValueOne”シリーズがどういった進化を遂げていくか注目してみたいところだ。
| ValueOne G タイプMTの主なスペック |
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製品名
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ValueOne G タイプMT
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CPU
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Celeron D 335(2.80GHz)/Pentium4 2.80AGHz (セレクションメニュー)
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チップセット
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Intel 845GV
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メモリ
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256/512/1024/2048MB (セレクションメニュー)
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グラフィックスチップ
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チップセット内蔵
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HDD
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40/80/160/200GB (セレクションメニュー)
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光ドライブ
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CD-ROMドライブ/DVD-ROM&CD-R/RWコンボドライブ/DVD+R DL対応DVDマルチプラスドライブ(セレクションメニュー)
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通信
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Ethernet(10BASE-T/100BASE-TX)、V.90準拠56kbpsモデム(オプション)
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インターフェイス
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PCI×3、USB 2.0×5、IEEE 1394(オプション)、7メディア対応カードスロット(オプション)
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ディスプレイ
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なし/17インチ高解像度アナログTFT液晶/15インチアナログTFT液晶(セレクションメニュー)
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サイズ
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幅180×奥行き398×高さ386mm(スタビライザ設置時)
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重量
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約14kg
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OS
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Windows XP Home Edition SP2/Windows XP Professional SP2 (セレクションメニュー)
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(宇野 貴教)
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