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ハイエンド・パソコンに必ずつきまとう問題として、高い処理能力のCPUなどから生じる“熱”の問題がある。内部の熱を外部へ出すには、ファンで吸気と排気をし続けるのが一般的な方法だが、最近のCPUをフルパワーで利用すると、かなりの風量で空気を循環させなければ排熱が追いつかなくなってしまう。こうなるとファンの回転数を上げなければならず、ファンの風切り音や回転音により、どうしても“速いけれどうるさいパソコン”となってしまう。このような騒音を回避するため、NECでは、大手パソコンベンダーとして初めて“水冷システム”に着手し、ノウハウを培ってハイパフォーマンスと静音性とを両立してきた。この「VALUESTAR G タイプTX」は、この水冷システムを搭載する最新モデルで、NEC Directのフラッグシップモデルとなるタワー型パソコンである。
光沢のあるピアノ調ブラックのフロントフェイスは、フラッグシップモデルにふさわしい高級感溢れる仕上がりだ。電源を投入すると、フロントの中央部が青色LEDでぼんやりと光り輝くのも視覚的に美しい。このLEDの下には開閉式のカバーがあり、中には、USB 2.0ポート×2を標準装備するほか、NEC Directならではのカスタマイズ、“セレクションメニュー”によりIEEE 1394ポート、PCカードスロット、トリプルメモリースロット(SD/xD/メモリースティックPro対応)を追加することが可能だ。 基本プラットフォームはインテルのチップセット、Intel 915Gが基盤となる。DDR2 533メモリ、シリアルATA接続のHDD、拡張用インターフェイスとしてはPCIのほかに、PCI Express x16およびx1を各1本ずつ備え、高速かつ将来性のある最新規格に対応する。 主要パーツの構成は、CPUはCeleron D 340J(2.93GHz)からPentium4 660(3.6GHz)まで4種類、メモリは最小256MBから最大2GB、HDDは160GBから400GB(拡張HDDの追加も可能で、最大で800GBものHDDを内蔵できる)など豊富な選択肢が用意される。また、ビデオ機能はチップセット内蔵機能の他に、PCI Express接続のATI RADEON X600 PRO搭載カードが用意され、これをチョイスすれば最新の3Dゲームも快適でスムーズな動作が可能だ。ホビーユースを想定しているユーザーには、これは見逃せないポイントとなるだろう。
水冷+エアフローによる
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本体カバーを開け、側面から見たところ。水冷システム搭載マシンだが、内部はすっきりしており、一見してそれとわかるものは本体背面に出っ張っているラジエータ程度か |
水冷システムはCPUを冷却水で冷やすための“水冷ジャケット”、冷却水を循環させる“ポンプ”、冷却水の熱を逃がす“ラジエータ”の3つで構成されている。これだけ聞くとかなり大がかりな装置と感じるかもしれないが、TXでは、ラジエータこそ背面に突きだしてはいるが、それを除けば非常にコンパクトな構造にまとまっており、パソコン内部はとてもスッキリとしている。水冷だからといって、本体サイズが巨大、内部もキツキツ、といった心配は一切ない。
搭載されているファンは、CPUを冷やす水冷ジャケット上と、背面の電源ユニット部分に覆い被さるように設置されているラジエータ部分の2つ。前者がダクトを通して本体側面より内部へ冷えた空気を取り入れ、後者が電源ユニットと冷却水をラジエータで冷やして外部へ排出する仕組みだ。後部ファンは一般的な8cmサイズのファンではなく12cmの大口径ファンを搭載し、動作音の少ない低速回転でも十分な風量確保する。吸気ファンは8cmタイプだが、本体内の温度に応じて回転数を変化するタイプを採用し、発生する騒音を必要最小限に止めている。
数値ではなかなか動作音は把握しにくいため、CPUを100%利用する処理を数十分ほど連続で行ない、実際に耳でどれくらいのノイズレベルなのか確かめてみた。電源投入直後は、かすかに「サー」っというファン回転が聞こえる程度で、本体に近づかないとこの音も聞こえないレベルだ。この音が気になるようなことはまずないと言えるだろう。ここから負荷をかけて様子を見たが、10分以上経過してもファンの動作音が大きくなる気配はなく、ほとんど電源投入直後と変わらないレベルだ。このまま1時間ほど続けてもノイズは増える気配を見せず、本機の水冷システムの排熱効率の高さとノイズレベルの低さが実感できた。ハイパフォーマンスと静かさを両立させた素晴らしいシステムであると言えるだろう。
デジタル放送対応チューナ選択時に付属するICカードリーダ。デジタル放送の受信/視聴に必要なB-CASカードの読み取りに使用する |
CPUやメモリなどのスペックを選択できるセレクションメニューだが、本機では、基本スペックに加えて、充実したTV関連の機能の追加も可能となっている。用意される機能は、地上波アナログ放送タイプ(ゴーストリデューサ、3次元Y/C分離などの高画質化機能装備)、地上波アナログ放送ダブルチューナ搭載タイプ(2チャンネル同時録画対応)、そして地上/BS/110度CSデジタル放送および地上波アナログ放送両対応タイプの3種類。最も機能豊富なデジタル放送対応は2枚のPCIカードで構成されている。視聴/録画ソフトは、地上波アナログ用に「SmartVision TV」、地上デジタル用に「SmartVision DG」、BS/CSデジタル用に「SmartVision BS」とそれぞれ異なるソフトを利用するが、インターフェイスは統一されているため、ソフトごとに基本的な使い勝手がまったく違うといった心配はない。ただし、放送のタイプにより、利用できる機能に若干違い(録画した番組のDVD化、ネットワーク再生など)があるので、その点は注意が必要だ。ちなみに、TV機能が必要なければ“TV機能なし”という選択もできる。
用意されるディスプレイはすべてスピーカ内蔵の液晶ディスプレイで、17インチ/17インチ(SoundVu対応、サブウーファ内蔵)/19インチのほかに、TVチューナ内蔵/表示解像度1280×768ドットの23インチワイド液晶ディスプレイ(製品型番:F23W11(A))も用意される。この23インチ液晶ディスプレイをチョイスすれば、パソコン側がシングルTVチューナであっても裏番組録画(ディスプレイでリアルタイムの放送を見て、パソコン側では別チャンネルを録画)が可能となる。また、ゴーストリデューサや3次元Y/C分離といった高画質化機能を搭載するため、テレビ自体の表示クオリティも極めて高い。さらに、前面パネルを振動することで音を出す“SoundVu”を搭載し、スタンド部分にはサブウーファも装備するなど音響面でも優れているため、高画質を大画面で、そして高品質サウンドで楽しむことができる。入力端子はDVI-D、D4入力、Sビデオ入力×2、コンポジット入力×2など豊富なインターフェイスを揃え、パソコンの画面とTVを同時に表示する子画面表示機能も備えているのも嬉しいポイントだ。液晶ディスプレイ、とは書いたものの、使い心地や機能の充実振りを考えると、パソコン用ディスプレイというよりも、パソコン用入力もある液晶テレビ、と言ってもいいだろう。
23インチワイド液晶ディスプレイ「F23W11(A)」の背面インターフェイス部分と台座側面。パソコン用のデジタル入力端子のほか、D4/S-VIDEO/VIDEO入力端子を持つ。また、アクセスしやすい台座側面部分にも1系統の映像/音声入力端子が用意されている。台座後方の“穴”はサブウーファ | |||
基本スペックはもとより、TVなどの付加機能、追加インターフェイス、無線LANといった周辺機器は、そのほとんどがセレクションメニューにて選択が可能だ。そのため、水冷システムのみを求めてシンプルな構成にしたり、デジタル放送対応のAVマシンに仕立てたり、HDDなど後から追加できるものは必要最低限にしてコストを抑えたりと、ユーザーの思いのままのスペックにカスタマイズできる。NEC Directでは16種類のベースモデルが用意されているので、それを元に欲しい機器を調整していくのがよいだろう。
ポイントを挙げると、どんな用途でもWindows XPを使う以上メモリは最低512MB、できれば1GBが欲しいところ。メモリソケットは2つしかないので、やはり1GBを基本としたい。必要なCPUパワーは用途にもよるとはいえ、せっかくIntel 915GチップセットとDDR2メモリを利用するからには、Celeron Dではちょっともったいない。従ってPentium4 630(3.0GHz)を最低ラインとしたい。
これに加え、充実したTV機能追加し快適に大量の録画を行なうためには、HDDはなるべく大容量をチョイスしておきたいところ。録画はオマケ程度なら160GBで十分だが、バリバリと録り貯めるなら250GBはほしいところ。2台目のHDDも追加オーダーできるので、400GBを2台で内蔵HDD800GBといったことも可能なので、とにかく録画しまくるといった人は十分検討する価値はあるだろう。録画したものを編集してオリジナルDVDを作成するには、光学ドライブはDVD+R DL記録に対応するDVDマルチプラスドライブ(DVDスーパーマルチドライブ)が必須となる。録った動画をよく編集するならばCPUパワーはいくらあっても足りないくらいなので、CPUは迷わずにPentium4 660(3.6GHz)をチョイスしておきたいところだ。
ビデオ描画は3Dゲームをしない人ならチップセット内蔵で困ることはない。PCI Express x16スロットが1本用意されているので、あとから追加することも可能だ。だが、セレクションメニューからオーダーできるRADEON X600 PRO搭載カードは、ファン回転音が抑えられた低騒音モデル。最高峰のハイエンドカードと比較すると一歩譲るところはあるが、静音性を保ったまま3Dゲームをプレイしたい人は、選択する価値は十分あるオプションである。
高品質の水冷クーリングシステムにより、最高クラスのCPUを無音に近い状態で利用できるメリットは計り知れないものがある。それほど現在のハイエンドCPUと空冷システムが出す騒音は強烈なのだ。充実したAV機能をノイズレスで楽しめる快適さ、そして編集作業もすばやくこなすパワフルなCPUが“静か”という要素とともに共存している様は、実際に使ってみて初めてわかる素晴らしさなのだ。
| レビュワー・宇野貴教のオススメ構成
構成のポイントせっかくの静音・水冷だから、CPUは発熱を気にせずに一番上のものを。デジタル放送は住居の都合上受信できないため(苦笑)、チューナカードは地上波アナログ。受信できるという人なら、もちろんトリプルデジタルチューナをチョイスしてほしい。お気軽パソコン録画は大容量HDDが必須なので、容量は当然400GBだ。 |
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(宇野 貴教)
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