2003年6月11日
ソニーの「バイオノートTR」は、10.6インチのワイド液晶を搭載する小柄なボディが特徴的なノートPCである。バイオノートのラインナップの中では、据え置きメインの“バイオ505シリーズ”と、モバイルメインのミニノート“バイオUシリーズ”の間に位置し、どちらの場面でも活躍できる機能を有する“万能選手”的な製品で、“バイオSRシリーズ”の後継機とも言えるだろう。しかし、内部スペックはバイオSRシリーズから大幅に進化しており、1280×768ドット表示のワイド液晶、DVD-ROM&CD-R/RWコンボドライブ、IEEE802.11a/bのデュアルバンド対応の無線LAN機能を搭載しつつ、重量はわずか約1.39kgに収まっており、2スピンドルサブノートという現在のトレンドを採用しながら、個性ある魅力的な製品に仕上がっている。
小型軽量ながらコンボドライブを搭載
バッテリ駆動時間も優秀
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本体前面。 |
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本体背面。 |
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CPUは超低電圧版Pentium M-900MHzで、メモリは標準でDDR SDRAMを256MB搭載する。チップセットはIntel 855GMを採用し、グラフィックスアクセラレータは855GMの内蔵機能を使っている。HDD容量は30GBとやや少なめだ。内蔵の光メディアドライブはDVD-ROMの読み出しとCD-R/RWの書き込みが可能なコンボドライブ。固定式となっているため、モバイル時に本体から外して重量を軽減することはできない。
チップセット内蔵グラフィックス機能など、マシンパワーはA4〜B5クラスのパワフルノートPCに及ばないものの、その分モバイル性能はかなり高くなっている。コンボドライブ搭載で約1.39kgという重量もさることながら、標準バッテリが4300mAh/11.1Vのためメーカー公称のバッテリ駆動時間は約4.5〜7時間とかなりタフな仕様である。さらに、オプションのバッテリーパック(L)を付ければ約7〜10時間(予定)のロングランが可能なので、ACアダプタは自宅に置きっぱなしで、職場はバッテリ駆動のみといったことも実現できるレベルである。
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本体右側面。 |
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本体左側面。 |
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省電力設定は付属ソフトの「PowerPanel」で行い、バッテリ駆動時に後述のMOTION EYEや内蔵コンボドライブ、メモリースティック、モデムなどの電源もオフにすることができる。バッテリ駆動時間の値にかなりの幅があるのは、このように給電設定が細かく行えるためだ。
液晶は10.6インチのクリアブラックワイドパネル
家庭用液晶TV並の高画質を楽しめる
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本体右側面。 |
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本体左側面。 |
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バイオノートTRの魅力のひとつに、ソニーが“クリアブラック液晶”と呼ぶ輝度・コントラストを向上したワイド液晶を搭載していることが挙げられる。DVD鑑賞時に大きな威力を発揮する高輝度液晶はすでに多くのノートPCが搭載してセールスポイントにしているが、本機の液晶はそれに加えて表面に低反射コーティングと広視野角フィルター処理を施すことで、外光の映り込みが少なく、多少視線(角度)がずれても鮮やかな表示を得られるとしている。実際にこの液晶でDVDを見てみると、一般的な液晶のような網目状のザラザラ感が無くツルツルに見えるため、画質がよりピュアになった印象を受ける。この手のパネルにありがちな蛍光灯の映り込みもほとんど感じない。例えるなら印画紙にプリントした写真を眺めているかのようだ。この高輝度とツルツルに見える表面は、主にDVDや写真画像の鑑賞時に威力を発揮し、表示品質はノートPCの中でも群を抜いていると言えるだろう。また、サウンドスピーカが液晶パネルの上にあるため、オーディオが自然な感じで再生されるのもポイントが高い。
液晶の表示解像度は1280×768ドットのワイドタイプとなっている。パネルサイズが10.6インチのため、デフォルト設定ではアイコンや文字のサイズはかなり小さく、人によっては見えにくく感じるかもしれない。そのため、液晶パネル右に表示解像度を1024×600ドットへワンタッチで切り替える拡大ボタンが用意されている。液晶パネルと表示解像度が1:1で対応しないため多少にじんでしまうが、これにより文字の小ささを改善することが可能だ。
37万画素のライブカメラを装備
液晶パネルの上部には「MOTION EYE」と呼ばれるビデオカメラが用意されている。“バイオC1シリーズ”に採用されていたものと同じように手前から後ろまで180度回転可能で、自分を映してビデオチャットを行ったり、前方の風景をキャプチャして静止画や動画で保存することができる。
このカメラの画素数は総37万画素(有効31万画素)のプログレッシブ方式で、付属ソフトの「Network Smart Capture」により静止画は最大640×480ドット、動画は最大160×112ドット(最大10fps、MPEG-1フォーマット)のキャプチャが可能だ。動画のキャプチャ解像度からもわかるように、機能的にはさほど高性能ではなく、Webカメラと同等のことができる思ってよいだろう。カメラを利用するには、液晶パネル右のキャプチャボタンを押すことで「Network Smart Capture」が自動起動し、あとは動画か静止画を選択するだけだ。標準搭載のデバイスだけに、実に簡単に撮影できる仕組みとなっている。
無線通信は3つの規格から自由に選べる
もちろんEthernetポートも搭載
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写真8 内蔵のコンボドライブは前面にあるため、ドライブは手前に向かってオープンする。固定式のため、本体から取り外すことはできない。 |
インターフェイスは、背面にバッテリパックを追加できる仕様のため、端子類は左右側面に集中している。左側面にはマジックゲートおよび“PRO対応”のメモリースティックスロット、USB 2.0ポート、アナログRGB、DC出力端子付きi-Linkが用意されている。右側面にはUSB 2.0がもう1つとPCカードスロット、Ethernet、モデムというレイアウトだ。無線LAN機能も搭載しており、IEEE802.11a/b対応のデュアルバンドに加え、Bluetooth V1.1にも対応するなど、現時点で最強レベルの無線通信環境を誇っている。電波は本体前面左のスライドスイッチでオン/オフの切り替えが可能なので、病院などの電波を出すのが好ましくない場所ではハードウェアレベルですぐさま電波を切ることが可能だ。
キーボードはメインキー5段にファンクションキー1段の標準的な6段構成。キーピッチは約17mmとやや小ぶりだが実用に問題はないだろう。キーストロークは2mmとやや浅く感触もソフトなため、力を込めることなくタイプができる。逆にガッチリとした固いキーボードが好みの人にはちょっと物足りないと感じるかもしれない。ポインティングデバイスは、タッチパッドと左右クリックの2ボタンというシンプルな構成だ。
なお、ソニースタイルではオリジナルモデル「PCG-TR1/P」(23万9800円)も販売している。OSにWindows XP Professional、メモリを512MB(512MB×1)を搭載し、「Office XP Personal」は非搭載となっている。また、ひらがな表記のない、すっきりしたデザインの「英字配列仕様キーボード」(写真9)も選択できる。
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写真9 キートップは丸みを帯びた独特の形状をしている。アプリケーションキーといった追加のボタンは装備されていない。各種LEDはパッドの下に装備。 |
仕事も家庭もこれ1台ですませたい人にお勧め
CPUがPentium M-900MHz、HDDが30GBと、これ1台でバリバリフル活用するにはややパワー不足を感じるものの、それ以外の点では不満はなく、ビジネスとモバイルで大いに活用できる。また、コンボドライブ標準搭載と美麗な液晶による高いムービー再生品質により、ホーム/パーソナルユースでも高い利用価値がある。本機はモバイル、オフィス、ホームをすべてこれ1台でこなせる柔軟性に富んだPCと言えるだろう。
| PCG-TR1/Bの主なスペック |
| 製品名 |
PCG-TR1/B |
| CPU |
Pentium M-900MHz(FSB400MHz) |
| チップセット |
Intel 855GM |
| メモリ(最大) |
PC2100対応DDR SDRAM 256MB(1GB) |
| グラフィックス |
チップセット内蔵 |
| 液晶 |
10.6インチTFT液晶/1280×768ドット(1677万色) |
| HDD |
約30GB |
| FDD |
なし |
| 光メディアドライブ |
CD-R/RW&DVD-ROM対応コンボドライブ(CD-R8倍速/CD-RW4倍速/CD-ROM24倍速/DVD-ROM8倍速) |
| スロット |
PCカードTypeII×1 |
| 通信 |
IEEE802.11a/b、Bluetooth V1.1、Ehternet(10/100BASE-TX対応)、56kbpsモデム(V.90対応) |
| I/O |
USB 2.0×2/i-Link/アナログRGB出力/メモリースティック/ヘッドフォン出力/マイク入力 |
| バッテリ駆動時間 |
約4.5〜7時間 |
| サイズ |
270.4(W)×188.4(D)×34.7〜36.5(H)mm |
| 重量 |
約1.39kg |
| OS |
Windows XP Home Edition SP1 |
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(宇野 貴教)
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