2001年6月21日
書き込み速度の高速化競争が激しいCD-RWドライブ市場だが、同ジャンルでは老舗メーカーであるヤマハから20倍速書き込みに到達した新ドライブが登場した。今回の製品では速度アップに加えて、書き込み失敗を防止する機能が新たに追加されている。
20倍速の高速書き込みと
安全性を高める「SafeBurn」
ヤマハとしては約半年ぶりの新CD-RWドライブとなる「CRW2200」シリーズは、リコーや三洋電機(OEM出荷のみ、24倍速書き込み機も出荷中)に続いて、書き込み20倍速を実現したCD-RWドライブだ。製品ラインナップは、
- ATAPI内蔵タイプ「CRW2200E-VK」
- ATAPIドライブにSCSI変換アダプタが取り付けられているSCSI(UltraSCSI対応)/ATAPI両対応内蔵タイプ「CRW2200S-VK」
- UltraSCSI外付けタイプ「CRW2200SX-VK」
- IEEE1394外付けタイプ「CRW2200IX-VK」
- USB 1.1/2.0両対応外付けタイプ「CRW2200UX-VK」
の全5製品(価格はいずれもオープンプライス)。今回は、この中から、シリーズの基本モデルであるATAPI内蔵型「CRW2200E-VK」をご紹介する。
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本体背面。オーディオ出力端子はアナログおよびデジタル(S/PDIF)。インターフェイスはATAPI(UltraATA/33対応)。 |
CD-Rの書き込み速度は、前モデル「CRW2100」 シリーズの16倍速よりもワンランクアップの20倍速。CRW2100と同じく、CD-Rへの16倍速および20倍速書き込みの際は、まず最内周から12倍速で記録を開始し、書き込みが進むにつれて徐々に記録速度を上げ(メディアの回転速度は一定)、書き込み速度が最高に達した時点から先は一定の速度で記録し続ける(メディア回転速度は外周に向かうに従って落ちていく)「パーシャルCAV」方式を採用する。
リコーやサンヨーの20倍速書き込みのドライブは、内周部を16倍速CLV方式(記録速度は常に一定、そのためメディア回転数が内周では最高速、外周に移るに従って徐々に回転数が落ちていく)、特定のポイントから最外周までは20倍速CLV方式、という「ゾーンCLV方式」が利用されている(三洋の24倍速ドライブでは、内周16倍速、中周20倍速、外周24倍速という3ゾーン方式)。ヤマハによると、ゾーンCLV方式の場合は、記録速度が一気に切り替わる(=メディア回転速度もこれに合わせて一気に上がる)ため、速度の切り替わるポイントにわずかな「つなぎ目」が発生してしまうが、パーシャルCAV方式では記録速度が最高速になるまでメディア回転速度は一定なため、つなぎ目のない綺麗な記録が可能なのだという。
CD-RW書き換えはCRW2100と同様10倍速。CRW2100では4倍速以上のCD-RW書き換えが4〜10倍速のCAV方式のみだったが、今回はこれに加えて、4/8/10倍速のCLV方式にも対応した。CAV方式は、常にメディア回転数が一定なのでメディア回転数を細かく制御する必要がなく、ランダムライトに威力を発揮するが(書き込む場所に合わせて回転制御する必要がないため、タイムロスが発生しにくい)、大量のデータをシーケンシャルに書き込んでいく場合には常に最高(一定)速度で記録できるCLV方式のほうが優れている。CD-RWメディアでパケットライトをよく使い、かつ1枚のメディアの上でファイルを頻繁に消したり追記する作業をしている、という人にはCAV方式が良い選択だが、データをまとめてCD-RWに貯めておき、必要なくなったらフォーマットして再利用、という使い方ならCLV方式のほうがお勧めだ。
現状ではCAV方式とCLV方式のどちらを利用するかはユーザー自身が設定しなければならないが、将来的には、書き込み方(ディスクアットワンス/トラックアットワンスで書くか、パケットライトか)、メディア上のデータ配列(空き領域の断片化が多くランダムライトが多く発生しそう、など)といった諸条件を「自己判断」して、CAVとCLVを自動的に使い分けるようになってくれる様に進化するのではないだろうか。
読み出し速度は前モデルに引き続き最大40倍速(CAV方式)。スペック表には特に記載がないが、CD-RWメディアの読み出し速度の高速化も図られている(詳しくは次ページのベンチマークテスト を参照していただきたい)。
これまで、CD-R/RW記録時に発生する可能性のあるエラーを防止する特殊な機能を装備していなかったヤマハ製ドライブだが、本機では、独自のエラー防止機能である「SafeBurn」が新たに搭載された。
SafeBurnは、
- 8MBの大容量バッファ
- BURN-ProofやJustLinkと似た構造の「バッファアンダーラン防止機能」
- 使用するメディアに最適な書き込み速度とレーザーパワーを自動設定する「おまかせレコーディング」
といった3つの機能から構成される。
最近ではバッファアンダーラン防止機能の装備により、バッファメモリは2MB程度にとどまるドライブが圧倒的に多くなっている。しかし、本機では8MBのバッファメモリを搭載することで、バッファアンダーラン防止機能が動作する可能性は2MBバッファのドライブよりも低い。さらに、バッファアンダーラン防止機能が頻繁に発生する状態のとき、たとえばネットワークで接続された別のマシンのデータを直接CD-Rに書き込む場合や、複数のアプリを利用している裏でCD-Rにデータを記録する場合でも、バッファアンダーラン防止機能が動作する回数を減らすことが可能だ。バッファアンダーラン防止機能が働くと、一旦書き込み作業が一時停止されるため、同じ20倍速書き込みであってもその分だけタイムロスになる。本機では、大容量のバッファメモリを搭載することで、このタイムロスを低減できるわけだ。
実際にベンチマークテスト用マシン(※1)を編集部のネットワークに接続し(ネットワークインターフェイスは高負荷になるようにUSBタイプの物を使用)、別のマシンに置いてある500MBのデータを本機およびリコー「MP7200A 」(20倍速)でそれぞれCD-Rメディアに直接書き込んでみたが、CRW2200E-VKではバッファアンダーラン防止機能の動作回数はMP7200A の1/4、記録時間は1分以上短くなった。
※1 ベンチマークテスト環境 ハードウェア構成は、CPUがPentiumIII-600MHz、マザーボードのチップセットはi815EP、メモリ128MB、HDD20GB(UltraATA/100)、など。
3番目の「おまかせレコーディング」は、リコーの「MP7200A 」と「MP9200A 」に搭載されている「JustSpeed」や、プレクスター「PX-W1610TA 」の「PowerRec」と似た機能で、データの記録に使用するCD-R/RWメディアを、製品名やメーカー名などの情報が記録された「ATIP情報」や試し書き用エリア「OPCエリア」での試し書きの結果などから“各メディア固有の特性”を判別し、そのメディアが耐えられる書き込み速度の最高値やレーザーパワーを全自動で設定していく。たとえば、12倍速までしかサポートしていないメディアを使った場合でも、ユーザーはライティングソフトの設定をいじらなくてもドライブが自動的に書き込み速度を12倍速に設定して記録を行ってくれるため、ユーザーの手間が少ない。ユーザーは、ライティングソフトの書き込み速度設定の初期値を常に最高速の20倍速に設定しておくだけでよく、以降の速度設定は完全にドライブ任せでOKだ。
書き込み所要時間の伸びは鈍化傾向
CD-RWメディアの読み出しは大幅に高速化
それでは、注目のベンチマークテスト結果をご紹介しよう。
テスト内容は、
- 500MBのデータファイルを、B's Recorder GOLDを利用してオンザフライ書き込みでCD-Rメディアに記録したときの所要時間(ディスクアットワンスで書き込んだため、セッションを閉じる作業の時間まで含む)
- 10〜200MBの大容量ファイル4個(計500MB)、および数K〜10MB前後の小容量ファイル1428個(計500MB)を「B's CLiP」を使ってパケットライトでCD-RWメディア(HighSpeed CD-RW対応メディア)に書き込んだときの所要時間
- B's CLiPを使用し、HighSpeed CD-RW対応メディアを「完全フォーマット」したときの論理フォーマットにかかった所要時間
の3パターン。(1)(2)が書き込み性能を見るテスト、(3)は論理フォーマット時に行われるCD-RWメディアの不良セクタ検索を利用して“CD-RWメディアの読み出し性能”を見るものだ(フォーマット時には、不良セクタを検索する際にCD-RWメディア全域を1度読み出すため)。
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図1 500MBのデータをCD-Rに一括書き込みしたときの所要時間(単位:秒) |
20倍速に達したCD-R書き込みだが、上の図1のとおり、前モデルのCRW2100Eよりも約50秒ほど所要時間は短縮されている。同じ「20倍速」でも、ゾーンCLV方式を採用しているリコーのMP7200A に比べ24秒ほど時間がかかっている。これは、内周部の書き込み方が、16倍速CLV方式か12〜20倍速CAV方式か、という違いによるものだ。
また、全周16倍速書き込みのPX-W1610TA との差は14秒とあまり大きな差がついていない。もっとも、このテストでは500MB分しかデータを書き込んでいないが(CD-R以外のリムーバブルメディアとの比較をしやすくするために容量をやや抑えている)、目一杯データを書き込んだ場合にはこれよりも結果に差がつくと思われるが、全周16倍速書き込みのドライブから本機への乗り換えはあまり「お得」とは言えないないだろう。12倍速以下のCD-RWドライブからの乗り換えになると、短縮される時間は1分半近くとなるので、速度の違いがはっきりと感じられるはずだ。
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図2 CD-RWメディアに大容量ファイル計500MB(45〜230MBのファイル×4)および小容量ファイル計500MB(数KB〜10MB前後×1428)をパケットライトで書き込んだときの所要時間(単位:秒)。CRW2200E-VKについては10倍速CLV設定時と4〜10倍速CAV設定時の両方を計測した。 |
CD-RWへのパケットライトを使用したデータ記録のテストだが、本ベンチマークテストはメディアの最内周からシーケンシャルにデータを記録していく単純なものなので、なんといっても10倍速CLV方式に対応したことによって、前モデルから一気に高速化が進んでいる。ちなみに、4〜10倍速のCAV方式でもテストを行ったが、こちらの結果は前モデルからそれほど大きな差が出ていない。
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図3 CD-RWメディアの論理フォーマットにかかった時間(単位:秒)。 |
CD-RWメディアの読み出し性能ベンチマークは、MP7200A と肩を並べる最高峰の成績を叩き出した。スペック表に記載はないが、MP7200A と同じく40倍速読み出しを実現しているようだ。前モデルではCD-RWメディアの読み出しが他社製品に比べて遅かった点が気になるポイントだったが、この弱点は一気に解決されている。
パッケージにはライティングソフト「B's Recorder GOLD」とパケットライトソフト「B's CLiP」が付属し、価格はオープンプライス、実売価格は2万円台半ば程度。
2倍速が4倍速に、4倍速が8倍速にと倍々ゲームで高速化した時代に比べると、速度アップの恩恵は小さくなってきている。さらに、全周16倍速書き込みのドライブが実売価格2万円前後とかなりお買い得になり、エラー防止機能の充実ぶりの面でも、20倍速ドライブの本機とMP7200A 、16倍速のPX-W1610TA は非常に近いものがあるなど、製品選びは非常に難しい。いずれを選んでも損のない選択なので、フトコロ具合や使用頻度などを材料に判断しよう。
CRW2200E-VKのスペック
| 書き込み |
最大20倍速(パーシャルCAV) |
| 書き換え |
10倍速(CLV)/4〜10倍速(CAV) |
| 読み出し |
40倍速(CAV) |
| バッファメモリ |
8MB |
| アクセスタイム |
150ms |
| インターフェイス |
ATAPI(UltraATA/33) |
| 付属ソフト |
B's Recorder GOLD、B's CLiP |
| 価格 |
オープンプライス |
(内田)
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