|  |
【まとめてチェック!!】世界標準802.11aスタート、WiMAXも着々
“今”と“これから”を総まとめする無線LAN特集
|
2005年8月17日
本記事は、ASCII24 Newsにて7月23日に掲載した【今週の特集】をASCII24 Review向けに編集・再掲したものです。
|
|
多数のノートパソコンに標準で無線LAN機能が内蔵され、町を歩いていると公衆無線LANサービスのスポットが目に付くようになってきた昨今。この後紹介するアンケートから見てもわかるように、現在では“家庭内ネットワーク=無線LAN”とも言えるほど、家庭を中心に広く普及してきている。そこでここでは、搭載製品の広がりや新規格の登場など、今後も進化と普及が続いていく無線LANについて、2005年前半の動きと今後の展開についてまとめていこう。
アンケート結果発表!!
 |
現在無線LAN機能をお使いですか? |
|
 |
公衆無線LANサービスを利用したことがありますか? |
|
まず始めに、先週実施した“第233回 無線LANについて”のアンケート結果を見ていこう。回答者のうち、自宅で無線LANを利用しているユーザーは66.2%、会社や学校で使っている人は22.6%。家庭を中心に無線LANが広く普及しているが、今年2月に実施した無線LANのアンケートと比較すると、企業/学校での利用が伸び悩んでいる状況が窺える。一方、公衆無線LANサービスを利用しているユーザーは、2月のアンケートと同様に10%に満たず、別の設問でこれまでに公衆無線LANサービスを使ったことがあるかどうかという質問に“はい”と答えたユーザーも15.4%にとどまっており、普及はまだまだこれからという印象だ。
 |

公衆無線LANサービスを利用したことがありますか? |
無線LANユーザーが実際に使っている無線LAN規格は、6割近くがIEEE 802.11b。しかし、次に普及が始まったIEEE 802.11gも5割に迫っており、5GHz帯の無線LANユーザーが圧倒的多数という情勢。一方、5GHz帯のIEEE 802.11aのユーザーは17.6%となっている。
IEEE 802.11aは従来、日本国内独自の周波数帯/チャネル割り当てに基づく規格となっていたが、5月16日に総務省が公布/施行した“電波法施行規則の一部を改正する省令”により、“世界無線通信会議”により分配された国際標準の周波数帯/チャネルにも対応した新規格(改正規格)へと生まれ変わっている。とはいっても、すでに世の中に出回っているIEEE 802.11a対応機器が今すぐに使えなくなるというわけではなく、現在使われている製品については旧規格のまま継続して使用することが可能だ(“IEEE 802.11a対応機器”として総務省から免許を取得している製品については、規格の新旧に係わらずその利用に関して制限はない)。新IEEE 802.11aに関しては、次ページで改めて詳しく解説する。
 |

IEEE 802.11aの規格変更がご自身のパソコン環境に何か影響を与えましたか? または、今後影響があると思いますか? |
このあたりの状況を踏まえて、IEEE 802.11aの規格変更が自身のパソコン環境に何か影響を与えると思うかどうかを聞いてみたところ、39.0%のユーザーは“特に影響はなく、今後もないと思う”と答えている。
 |

IEEE 802.11aの規格変更がご自身のパソコン環境に何か影響を与えましたか? または、今後影響があると思いますか? |
現在無線LANを使用している機器についての設問では、ノートパソコンを無線LANでネットワーク接続しているという回答が68.9%と圧倒的だが、デスクトップパソコンで無線LANをしているユーザーも33.7%となっている。また、数字的には5%弱だが、TVやビデオレコーダー、家庭用ゲーム機で無線LANを使用しているという人もおり、ここまでの回答と総合すると、家庭内のワイヤレス化は順調に広がってきていると見ていいだろう。
 |

公衆無線LANサービスを利用したいと思う“場所”があれば教えてください |
最後に、公衆無線LANサービスを利用したいと思う“場所”について訊ねた設問では、“交通機関の車内(移動中)”(42.3%)と“屋外全般”(41.3%)が上位を占めている。現時点では普及途上にある公衆無線LANサービスだが、現在の“点”の展開(限定的なスポットでの提供)から、屋外や交通機関車内といった“面”“線”の展開が始まっていけば、爆発的な普及が始まるのではないだろうか。
IEEE 802.11b/g規格の浸透、障害物に強く高速な転送が行なえる“MIMO(Multiple Input Multiple Output)”や高速化技術“Super AG”の採用比率向上など、着実に普及と進化が続いている無線LAN技術。さらに将来を見れば、WiMAX、IEEE 802.11n、UWBなどなどのキーワードが登場してくるが、まずは直近の状況からチェックしよう。
前回の特集(2月掲載)以降の注目トピックとしては、すでに日本国内では標準規格として多くの対応製品が出回っているIEEE 802.11a規格の改正が挙げられる。これは、日本独自のローカル規格であった従来のIEEE 802.11aを、世界標準の規格にすり合わせるというものだ。
新IEEE 802.11a規格は、従来規格で5.150GHz〜5.250GHz(5.2GHz帯)の周波数帯に割り当てられていた国内独自基準の4チャネル(JEITAによる呼称は“J52”)の中心周波数を10MHzシフトし国際標準規格と同じにした4チャネル(JEITA呼称“W52”)と、新たに無線LAN用に追加配分された5.250GHz〜5.350GHz(5.3GHz帯)に割り当てられた国際標準規格に則る4チャネル(JEITA呼称“W53”)の計8チャネルから構成される。
このうち“W53”については、日本国内では航空管制レーダーや気象レーダー(アメダス)が5.3GHz帯を利用していることから、電波送出開始前に1分間スキャンを行なって空いているチャネルを利用する、運用中のレーダー波を検出した場合は10秒以内に該当チャネルの使用を中止する、レーダー波を検出したら該当チャネルの使用を以降30分間禁止する、といった働きを持つアクセスポイント向け機能“DFS(Dynamic Frequency Selection)”、不必要に強い電波出力による他通信との干渉を防止するためにアクセスポイント〜クライアント間での通信に必要な電波出力を調整する機能“TPC(Transmitter Power Control)”(出力を50%低下させる。アクセスポイント/無線LANアダプター向け)の装備が義務付けられている。
新規格の導入に伴い、アクセスポイントについては“W52”“W53”両対応、もしくは“W52”のみ対応した製品、無線LANアダプターについては“W52”“W52”“J52”に対応した製品に対して認証が与えられる(“J52”のみに対応した製品は認証されない。また、無線LANアダプターの“J52”対応については、期間限定の経過措置という扱いで、2008年5月31日まで認証)。また、すでに認証されている従来のIEEE 802.11a対応製品(=“J52”にのみ対応した製品)については、今後も継続して利用することが可能。なお、利用が屋内に限定されるという点は新規格も従来と同様。
また、従来規格認証製品を新規格に対応させるためのバージョンアップも“条件付き”で認められている。具体的な条件は以下の項目など。
- 認証/配布期間限定
- “J52”へのロールバック不可
- バージョンアップによる“W53”対応不可
- バージョンアップした端末のメーカーによる把握/管理
この条件が、メーカー的には決して楽なものではないことから、バージョンアップの情報に関しては、各社から公開される情報を確認しておきたい。
基本的に、従来規格のアクセスポイントおよびアダプターを“現在”使っているユーザーには特に影響は出ないが、“今後”影響が出る可能性がある状況としては、旧規格のみに対応した無線LANアダプター(例:今年夏以前に発売されたノートパソコンの内蔵無線LAN機能など)の場合、新たに購入した新規格対応の無線LANアクセスポイントに接続できないケースが考えられる点だろう。購入時には新旧いずれの規格に対応しているのかを注意して確認したい。
それでは、3月以降に登場している無線LANアクセスポイント/無線LANアダプターを振り返っておこう。
 |

日本電気(株)/NECアクセステクニカ(株)『Aterm WR7850S』(写真左)と『Aterm WL54SC』(右)。新IEEE 802.11a対応 |
 |

(株)コレガの新IEEE 802.11aに対応したUSBタイプ無線LANアダプター『CG-WLUSB2AGST』。同社は同日に新規格対応無線ブロードバンドルーターも発表 |
無線LANの普及により、プロジェクターやネットワークカメラといった製品でも無線化が進みつつある。特にプロジェクターについては今年に入ってからその傾向が活発で、各社に先駆けて無線LAN搭載を進めていた松下電器産業(株)に続いて、ソニーマーケティング(株)、(株)東芝からも無線LAN機能搭載機が登場している。
 |

パソコン内の画像や資料を無線LANを利用してワイヤレスで転送する“Air Shot(エアーショット)”機能を搭載するソニーマーケティング『VPL-CX76』 |
前ページでは、パソコン関連製品のリアルタイムな状況についてお伝えしてきたが、本ページでは、今後の無線LAN技術および規格の展開、今後無線LAN機能搭載が進む機器といった“これから先に活発化する動き”についての記事をまとめてご紹介する。
高速化/広域化/小型化がさらに進展!?
進化する無線LAN規格/技術/デバイス
現在のところ無線LAN規格は、IEEE 802.11a/b/gの3規格がスタンダードとして普及している。現在の3規格は、家庭内やオフィス内、フロア内といった範囲での使用を想定した比較的“狭域”なエリア向けの規格となっている(IEEE 802.11aは法律/免許上機器の使用が屋内に限定)。無線LANの今後の進化においては、これまでも着実に進んできた高速化に加え、より広い“地域”をカバーできるような広域化やインターネットの基幹インフラから家庭/端末までの“ラストワンマイル”の無線化といったあたりにも注目すべきだろう。
また、規格の進化に比べれば地道なものにも見えるが、無線LANチップの小型化も、今後の無線LAN普及には欠かせない技術トレンドだ。チップの小型化と高性能化が進むことにより、無線LAN搭載機器の広がりに一層の加速が付いていくだろう。
 |

ワイヤレスジャパン2005会場で公開されていたインテル(株)のWiMAX対応システムオンチップ製品『Intel PRO/Wireless 5116』を使った伝送実験 |
 |

KDDI(株)は、ADSLやFTTHなどの固定網、携帯電話網、無線LANを相互連携させ、シームレスなサービスを提供するプラットフォーム“ウルトラ3G”構想を発表 |
 |

非常に小型化が進んだアセロス・コミュニケーションズ(株)の無線LANプラットフォーム“ROCm”シリーズの第1世代チップ『AR6001X』。中央がSDIOのリファレンスデザインで、基板上の最も大きなチップがBGA版のパッケージ、右の小さなチップがCSP版のパッケージ |
ゲーム機、携帯電話……
パソコン以外にも搭載が進む無線LAN
ここまで、パソコンを中心として普及が進んだ無線LANだが、オンラインゲームのタイトル増加などでネットワーク機能の搭載が進む次世代家庭用ゲーム機でも搭載が進みそうだ。2005年末登場予定の米マイクロソフト社/マイクロソフト(株)『Xbox 360』ではIEEE 802.11a/b/g対応の無線LAN機能をオプションで用意、2006年春にも登場予定の(株)ソニー・コンピュータエンタテインメント『プレイステーション 3』では、IEEE 802.11b/g対応の無線LAN機能が標準で搭載されるという。
 |

巻き返しを狙うマイクロソフトの次世代ゲーム機『Xbox 360』。無線LANにはオプションで対応 |
 |

『プレイステーション 3』は標準で無線LANに対応 |
また、ゲーム機以上に無線LANとの融合が進みそうなのが携帯電話だ。現時点ではまだ搭載機種は多くないが、マルチメディア+PDA的進化を強める携帯電話では、3Gおよび今後の携帯電話通信インフラ網での無線通信に加え、既存の規格でかつ携帯電話通信網よりも高速な無線LANを取り込んでいくことで、機能やサービスのさらなる広がりが期待できる。
 |

(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモ“ビジネスFOMA”『M1000』。FOMA網でのパケット通信(iモードには対応せず)とIEEE 802.11bの無線LANに対応する、PDAライクな製品 |
|