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ブロードバンドルーターのインターネット接続設定も、付属の“つなぎかたガイド”にNTT東西の“フレッツ”回線を始めとする大手ISP(インターネットサービスプロバイダー)各社に対応した設定方法がわかりやすく解説されている。また、筆者の接続環境では“らくらくネットスタート機能”によって初回のインターネット接続時には自動的に“PPPoEルーターモード”になり、ISPのアカウントとパスワード入力する画面を表示してくれた。このらくらくネットスタート機能とは、本体の起動時に動作モードを“PPPoEルーターモード”“ローカルルーターモード”“アクセスポイントモード”の、いずれか最適なものに自動設定する機能だ。ISPから提供されるモデムが、最近ではルーター機能を内蔵するものも増えているため、これに接続した場合は自動的に“アクセスポイントモード”が選択、設定される(このらくらくネットスタート機能はWR8200Nで初めて搭載された)。このように、初心者向けの機能や解説をふんだんに盛り込んだ作りになっている。
無線LANのセキュリティーには、最新無線暗号化方式であるWPA-PSK(AES/TKIP)を採用する。これは従来のWEP(64/128/152bit)よりも複雑な暗号鍵(128/192/256bit)を利用し、さらに一定時間ごとに暗号鍵を変更する仕様も備えているため、盗聴されにくいのが特徴だ。また、外部から家庭内の無線ネットワークを見えなくする“ESS-IDステルス”機能と、指定した無線LANアダプター搭載機器以外はネットワークに参加させない“MACアドレスフィルタリング”をディップスイッチで強制有効にする“スーパーセキュリティーモード”を搭載するため、高度な無線セキュリティー設定も行なえる。これらの暗号化設定は仕様だけを聞くととても複雑そうだが、“らくらく無線スタート”機能によって自動的に行なわれるので、セキュリティーに疎い初心者ユーザーでも安心である。そのほかにも不正アクセスによる外部からの侵入を防ぐ各種機能を搭載し、ブロードバンドルーターとしてのセキュリティーは万全だ。
本製品のような無線LAN機能付きブロードバンドルーターを利用することにより、インターネットと無線LANの双方で不正アクセスを一括して防止し、さらに“インターネット悪質サイトブロックサービス”による有害サイト閲覧防止機能を活用すれば、子供のいる家庭でも安全で快適なインターネット接続環境が実現できる。 インターネット悪質サイトブロックサービスは、ネットスター(株)が提供する同サービスの無料体験版で実現している機能で、アダルトや暴力、金銭取引など子供に見せたくないウェブサイトへのアクセスをブロックできるというものだ(年間3150円の有償版にアップグレードも可能)。ルーター部分で有害サイトへのアクセスを遮断できるので、パソコンだけでなく携帯ゲーム機(のウェブブラウザー)などを使っている子供にも安心してインターネットを使わせることができる。 不正アクセスは、ユーザーが想像している以上に頻繁にアタックが行なわれているため、「自分だけは安全だろう」「アタックなんてどこか遠い国のお話」などとあぐらをかかず、データ漏洩や改ざん、ネットワークの悪用を防ぐためにも本機のセキュリティー機能をフルに活用してもらいたい。
早くも速度が頭打ちとなった無線LANに
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付属の子機「Aterm WL130NC」はCardBus対応のPCカード。カードスロットからはみ出す部分は大きく膨らんでいる。子機のみの単体販売も行なわれるので、ノートパソコンを複数台使っている方にはこちらも便利だろう。 |
また、ケーブルTVや光(FTTH)といった高速通信はもちろん、最近ではADSLでも実効速度20Mbps以上が珍しくなくなったため、高速インターネットをフル活用する場面でも無線LANは力不足を感じるものである。かといって現状の無線通信規格でこれ以上の転送速度を得ようとしても、使用できる電波周波数帯の問題があってできないというのが実情だ。意外に思われるかもしれないが、既存の無線LANは早くも行き詰まっているのである。
そこで今の使用周波数帯のままで速度向上を目指して策定されたのが“MIMO”(Multiple Input Multiple Output、空間分割多元接続)という技術だ。MIMOは「周波数帯は同じものを利用しながら、複数のアンテナで異なるデータを重ねて送受信する」という規格である。簡単に言うと、アンテナ1本で遅いのならば2本、3本といっぱい立てて同時並行で送れば速くなるというわけだ(合成ダイバーシティー効果)(※1)。MIMOでは2本のアンテナを使って送受信すれば速度は理論上2倍、3本なら3倍になるため大幅に速度向上が図れることになる。また、複数のアンテナで送受信して反射波も利用するため、より遠い場所へも安定して無線接続できるというメリットもある。
※1 従来からの“選択ダイバーシティー方式”という技術でも複数アンテナを利用しているが、これは複数のアンテナで受信して“より強い信号”のみを選択するという信頼性向上のための機能であり、速度向上が目的ではなかった。Aterm WR8200Nの側面と背面。アンテナ3本を干渉させずに用いるため、奥行きは197mmと本体の高さより長くなっている。背面のLANコネクターはブロードバンドルーターとして一般的なWAN×1、LAN×4。正面右側に通信状態を示すLEDと“らくらくスタートボタン”がある。LEDは大きくて見やすい作りだ。 |
このMIMOに加えて、そのほかの高速化技術を取り入れた新・無線LAN規格が“IEEE 802.11n”というわけだ。なお、IEEE 802.11nの正式な規格化は2007年以降の見込みであり、本製品では正式規格化前のドラフト版が元になっている(関連記事)。正式規格化されるまでは他社のIEEE 802.11nドラフト版との相互接続の動作保証は得られないものの、家庭内LANを少しでも速く、快適に使いたいというなら試してみる価値はあるだろう。
本製品は親機(ルーター)、子機(PCカード)ともにアンテナを3本ずつ装備するが(子機の送信アンテナのみ2本)、ストリーム数(データ分割数)は“2”となっている。アンテナが1本余る形になるが、これをノイズなどによる電波信号の乱れを補正するために利用することで、より安定して障害物に強い無線通信を実現している。
これにより理論上IEEE 802.11a/gの2倍以上となる2ストリームMIMOで最高130Mbpsというが、購入時に気になるのは実効値ではどのくらい速くなるのかだ。今回は本機のLAN側に100BASE-TX接続のデスクトップパソコンをサーバーとして設置し、クライアントパソコンにはノートパソコン(Centrinoモバイルテクノロジ対応、超低電圧版Pentium M 753-1.20GHz搭載)を用いて、IEEE 802.11nドラフト版(WL130NC使用)とIEEE 802.11g(内蔵無線LAN使用)の転送速度比較を行なってみた。テストはWindowsファイル共有で約230MBの動画データの転送時間を計測した。なおデータ暗号化は、すべての無線接続でWPA-PSK(AES)を用いている。
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結果はIEEE 802.11gの平均約19Mbpsに対し、IEEE 802.11nが平均約38Mbpsと、理論値通りに約2倍の結果となった。実際には単純に2倍に速度が向上するわけではなく、ストリームの分割・結合の処理時間が必要なはずなので、これらのタイムロスが実効値にほとんど現われないのは、かなり優秀と言えるだろう。また約38Mbpsという速度も、ADSLならば必要十分な帯域だし、光やケーブルTVなどの100Mbpsではまだ足りないとはいえ従来の無線LANからは大幅に向上しており許容範囲だと言える。無線LANの手軽さや便利さを感じながら、速度には不満があるというユーザーにも大いにお勧めできる速さである。
なお、参考として他社から発売されているIEEE 802.11nドラフト版対応PCカード(送受信アンテナ3本タイプ)と、本機ルーターとの組み合わせでIEEE 802.11n通信を行なった際の速度は約31.2Mbpsであった。やや速度が落ちているものの、テストしたケースにおいては互換性の問題はなかった(ただし、メーカーも編集部も動作互換性を保証するものではない)。
縦置きスタイルなので3本のアンテナが立っていても邪魔には感じず、設置場所も取らないのはありがたい。オンラインゲームや最近増えてきたネット対応AV機器との接続でも、DMZホストやUPnP、IPv6ブリッジなど家庭向けブロードバンドルーターに必要な機能は一通り備わっている。
同社オンライン販売サイト“NEC Direct”での販売価格は2万9799円と、すでに低価格化が進んだIEEE 802.11a/b/g対応のルーター・子機セットからは1万円以上高くなるが、IEEE 802.11nは今後の普及が確実に見込まれる最新規格であり、速度面でもかなりの向上が見られたので価格には見合ったメリットが得られる。有線LAN側のインターフェースが100BASE-TXというのは、Gigabit Ethernet対応のパソコンが増えてきた現在ではやや不満が残るものの、それを除けば高速で快適な無線LAN環境が満喫できるはずだ。
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(宇野 貴教)
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