2001年10月4日
P&Aが国内販売しているJASC社の定番2Dグラフィックスソフト「Paint Shop Pro」(PSP)がバージョンアップし、「Paint Shop Pro 7J」となった。今回のバージョンではさまざまな強化がされているが、特に注目すべきは、なんといっても「フォトレタッチ機能の強化」、「ドローイングツールの強化」の2点に尽きる。ここでは、これらのポイントを中心に紹介しよう。
本レビューはASCII DOS/V ISSUE 2000年11月号に掲載された記事に加筆修正したものです。
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大幅に強化されたフォトレタッチ機能
最初の「フォトレタッチ機能の強化」についてだが、PSPでは今回のバージョンから、フォトレタッチのためのさまざまな機能を追加している。
まず、カラーバランス/コントラスト/鮮やかさ、の各項目をごく簡単な操作でグラフィカルに設定できる自動調整機能を搭載したことが大きい。続いて、テレビのインターレース画像から奇数もしくは偶数フィールドを削除し、その部分を補完する「インターレース除去」をはじめ、「JPEG効果の除去」「モアレ除去」といった、不鮮明な映像を美しく見せるための機能も新たに装備されている。さらに、写真についたキズを補正する(ごまかす)「スクラッチの自動除去」や「フォーカス」「色あせの修整」「色合いの修整」「赤目修整」といった特殊効果も用意――と、フォトレタッチに関する便利なツールが揃っているのだ。
また、今回より「ヒストグラムの調整」機能も追加されている。これは明度、もしくはRGBいずれかの発色に関する微調整を行うための機能だ。たとえば明度の場合、暗くて見えにくいところの出力を上げてみたり、明るすぎる部分の出力を下げたり、また、出力のカーブを変えて中間域を圧縮したり、拡張したりと、さまざまな調整ができる。これらの処理は従来バージョンでも工夫すれば可能ではあったが、インターフェイスがいまいち使いにくかったため、実行をためらってしまうところがあった(もしくは機能に気づかないユーザーも少なくなかった)。今回追加されたヒストグラムの調整機能はインターフェイスもシンプルでわかりやすく、好感が持てる。
もちろん、今回追加されたほかの機能も使いやすさは同様である。デジタルカメラで撮影したイメージをレタッチしたいライトユーザーから、絵にこだわりのあるユーザーまで、幅広く対応できるだだろう。従来のPSPでは、フォトレタッチに関してやや弱い面も確かにあったが、今回のバージョンアップでその印象は払拭されている。
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「ヒストグラムの調整」では明度はもちろん、RGBも個別に調整できる。 |
ドローイングツールもよりいっそう快適に
「ペイント機能」については、PSP Ver.6からベクターシェイプ(拡大してもジャギーの出ないアウトラインのオブジェクト)を扱えるようになったのだが、Ver.7ではその表現力が強化されている。
具体的には、ベクターシェイプに対して、グラデーションパターンやテクスチャを適用できるようになった。パターンやテクスチャの設定は、ベクターオブジェクトの外側の枠と内側の塗りつぶし領域の両方に対して、個別に指定が可能だ。もちろん、この機能強化はベクターベースのテキストにも通用する。さらに、ベクターベースのライン(線)には、点線、矢印などのスタイルも適用できるようになった。今回の新機能により、表現力は間違いなく向上している。
ちなみに、ベクターオブジェクトの配置やサイズを効率よく行える機能も今回から搭載されている。複数のベクターオブジェクトを組み合わせようとすると、位置あわせやサイズの調整が大変面倒なことになってしまう。それだけに、なにかと重宝する機能である。
このほかにも、さまざまな機能強化が行われている。たとえば、特殊効果の追加もそのひとつだ。筆で塗ったような印象を与える「ブラシストローク」や、鉛筆書きのような雰囲気を画像に持たせる「鉛筆」のほか、「カラーホイル」「エナメル」「逆光」「照明」「ページカール」――と、合計7種類が新しく追加されている。
さらにおもしろいところでは、今回から「作業状態」の保存も可能になった。ツールオプションやオーバービューの位置と、PSPで開いていたファイルの情報などをまとめてファイルとして出力・保存できるわけだ。ある作業を中断して別の作業に取り掛かるときでも、その時点での作業状態を保存しておけば、別作業が終わり次第、即座に以前の状態に戻って続きができる。
また、グリッドも以前は表示されるのみだったが、今バージョンでは範囲指定の選択やオブジェクトの移動といった各種操作を行う際に、ガイドに吸着できるようになっている。Webデザインを行うユーザーなど、特に精密な操作を必要とする人にとっては朗報といえるだろう。
常に万能であれ、というわけではないが、フォトレタッチ機能の強化が行われたことは、やはり特筆に価する。ほかにもさまざまな機能強化がなされており、2Dグラフィックツールとしてのトータルパフォーマンスは一層向上している。
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特殊効果「ページカール」。このほかにも、いろいろな特殊効果が収録されている。 |
本製品の価格は1万4800円で、Adobe Photoshop(LEを含む)やPhotoDeluxe、PhotoImpactなど他社製品やPSP6以前のユーザー向けの乗換版が9800円、学生および教育機関関係者向け(身分証明書の提示が必要)のアカデミック版が7800円となっている。
同じ価格帯(1万円前後)のグラフィックソフトとしてはアドビシステムズの「Photoshop Elements」があるが、こちらはあくまでもフォトレタッチが主目的のプロダクツであるため、ベクターシェイプを扱えること、イラストの作成が可能なことも考えると、PSPにアドバンテージがあるといえよう。デジタルカメラで撮影したデジタルフォトの見栄えを良くしたい人から、ちょっと本格的に2D CGを作ってみようかと思う人まで、幅広いユーザー層にお勧めできる製品だ。
なお、P&Aは2001年4月にPSP7J→7.02Jへのアップデートパッチを公開、無償配布を開始している。レイヤーパレットのパフォーマンスが改良され、レスポンスが高速化されたほか、細かい不具合も修正されている。詳細は同社Webサイトを参照いただきたいが、かなり多数の修正・改良が施されているので、ユーザーはチェックしておきたい。ファイル容量は12MBとなっている。
| 製品名 |
Paint Shop Pro 7J |
| 価格 |
1万4800円(通常版)
9800円(乗換版)
7800円(アカデミック版) |
| 発売元 |
(株)P&A |
| 連絡先 |
042-525-9501 |
| URL |
http://www.panda.co.jp/ |
| 対応OS |
Windows 95/98/Me/NT 4.0/2000 |
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(伊藤裕也)
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