DIGITAL BUYER

【絵でわかるキーワード】国際化ドメイン(こくさいかどめいん) 英数字と一部の記号しか使えない現在のドメイン名を多言語対応したもの
【絵でわかるキーワード】国際化ドメイン(こくさいかどめいん)

月刊アスキー月刊アスキー 2003年1月号
2003年7月26日


関連キーワード

RFC承認でいよいよ普及期に

国際化ドメイン名の動作の仕組み
●【国際化ドメイン名の動作の仕組み】 国際化ドメイン:英数字と一部の記号しか使えない現在のドメイン名を多言語対応したもの

 ドメイン名は、“ascii.co.jp”のようにインターネットに接続された企業や団体などを識別するために欠かせないものだ。しかし、ドメイン名は現在のDNSの仕組み上、英数字とハイフン(-)というASCII文字しか使うことができない。

 この仕組み自体は今までうまく機能してきたが、インターネットが世界的な広がりを見せ、ビジネスなどで多様な使われ方をするようになると、ドメイン名に英数字以外の文字を使いたいという要望が出てくるようになった。日本ではローマ字や英語教育によって名前のアルファベット表記などにはあまり抵抗がないが、国や地域によっては必ずしもなじみのあるものではないからだ。

 そこで考え出されたのが「国際化ドメイン名」である。国際化ドメイン名は、さまざまな国や地域で使われる言語(文字)を使ってドメイン名を表記できる。「それではその言語圏の人以外はドメイン名の入力が難しくなる」ということを考える方もいるとは思うが、例えば日本語でしかページが構成されていない場合、日本語が表示できない環境の人々にアクセスしてもらう必要性がそれほどあるとは思えない。

 どちらかというと、国際化ドメイン名の誕生によって、その言語、文化圏のコミュニティの発達にインターネットの仕組みが貢献できるということが重要である。インターネットだから世界中の人々が等しくアクセスできなければいけないと考えることは間違いではないが、それがすべてではない。

国際化ドメイン名の動作の仕組み

 国際化ドメイン名の動作の仕組みは非常に単純だ。下図で、日本語ドメイン名を使った例を示したのでそちらも一緒に見ていただきたい。

国際化ドメイン名の例
国際化ドメイン名の例。画面は大成建設のWebサイト。

 まず、日常使う文字(例えばJIS X 0208:JIS第一水準、第二水準と呼ばれる漢字コード)で入力されたドメイン名は、いったんUnicodeに変換され、次に「正規化」が行われる。正規化とは、利用者が文字コードの複雑さを意識しなくて済むように、同一と考えられる複数種類の文字をひとつの文字コードに統一するための仕組みである。つまり、全角文字と半角文字を全角文字に統一したり、全角文字や半角文字、大文字、小文字の英数字を半角の英大文字や半角の数字に統一するということを行うわけだ。具体的には、例えば全角大文字の“A”や大文字の“A”、小文字の“a”といった文字を半角大文字の“A”にしたりといったことを内部的に処理していくことになる。正規化が終了すると、現在のインターネットが処理できるようにドメイン名を英数字とハイフンの文字列に変換する。こうした変換は「ACE(ASCII Compatible Encoding:アスキー互換エンコーディング)」と呼ばれ、いくつかの方式が検討されたが、最終的には「Punycode」と呼ばれる方式が正式採用されることが決まっている。図中にある「BQ--」という部分は「プリフィックス」と呼ばれ、この場合はPunycode以前に使われていた「RACE」と呼ばれる方式で変換されていることを示している(プリフィックスは、プリフィックス以降のASCII文字列がACEであることを示す識別子である)。国際化ドメイン名は、こうした一連の処理をクライアントとなるアプリケーション側で行うことで実現されるが、ここまでくるとちょっと変わった英数字の並びのドメイン名と同等になるため、現在のインターネットで問題なく使えることがご理解いただけると思う。



日本語ドメイン名とは?

 では、国際化ドメイン名としての日本語ドメイン名はどのような位置づけになるのだろうか。それは、日本人にとってより分かりやすいドメイン名を提供することである。ここで日本語の便利さを実感するために、例えば「小学校」をローマ字に変換してみていただきたい。それは「shogakkou」だろうか? 「syogakkou」だろうか? それとも……。ドメイン名の表記の揺れは、利用者にとって好ましいものではない。また、そのパターンが多ければドメイン名に対する信頼性も低下してしまう。現在では「google」や「Yahoo!」といった検索サイトの普及によりドメイン名を直接入力することは少なくなったが、そのニーズがなくなることはないはずだ。なんと言っても、新しいWebサイトは検索エンジンの検索結果として上位に来ることはないし、似たようなキーワードが連想される場合には数多くの表示の中に埋もれてしまうからである。検索サイトの普及は、Webサイトに強者と弱者を生み出している。このため、ダイレクトにWebサイトに案内できるドメイン名の直接入力は今後とも重要な誘導手段となる。そう考えるのは、あながち間違いではないだろう。こうしたとき、直感的で覚えやすいドメイン名の重要性は必ず増すはずである。ユニークで一時的に興味を引きそうなアルファベットを使うこともできるが、少なくとも直感的で覚えやすいという面では二歩も三歩も劣ってしまう。ちなみに、日本語JPドメイン名で利用できる文字種は上の表のものになる。

 日本語ドメイン名を使うためには、現状ではプラグインを入れるのが一番の近道だ。興味のある方は、JPRS(http://jprs.jp/)のWebページにアクセスしてみていただきたい。IE用の「日本語ドメイン名プラグイン」が無償で配布されていて、実に簡単にダウンロードできる。あまりにあっけなく済んでしまうため拍子抜けするかもしれない。プラグインを組み込んだら、実際にアクセスしてみよう。「大成建設.jp」や「稲本潤一.jp」「ハウステンボス.jp」「内田洋行.jp」など日本語でアクセスできる便利さが実感できると思う。

10月に関連RFCが承認

 ご存じの方も多いとは思うが、日本語ドメイン名は以前から存在し、実際に使うことができた技術だ。なかなか一般化しなかったのは、標準化のための作業が大きく遅れてしまったからだ。

 だが、この状況も2002年10月24日に国際化ドメイン名標準化提案のRFC発行がIETF(Internet Engineering Task Force)によって承認されたことにより大きく変わってくるものと考えられる。ご存じの通り、IETFはインターネットで使われるプロトコルなどを標準化する団体で、RFCはIETFの発行する技術文書だ。

 コンピュータの世界でも、かつてはファイル名に英数字しか使えなかった時代があるが、日本語が使えるようになった今、あえて英数字のみでファイルを保存しようという人々が大きく減ったということを考えてみてほしい。日本語が使える便利さというものは、決して小さくないのである。余談だが、そうした時代になったときに大事なのはどこのドメイン名を使うかだろう。日本語なら「.jp」を使ったほうがいい。なぜなら、“言語”ドメイン名として日本語に対するサービスが明確に定義されているのは.jpの日本語ドメイン名だけだからだ。それ以外は、単に「日本語みたいな文字が表示される」に過ぎないのである。他のドメイン(.comや.org)でも漢字やひらがな、カタカナなどを使ってドメイン名を登録できるかもしれないが、明示的に「日本語として提供している」と謳われていない場合、他の漢字圏の人々からの登録も行われているということでもあるから、そこに表示される文字が日本語であるという客観的な保証はどこにもないということには注意してほしい。

(渡瀬 圭市)




[通常ページに戻る]
ASCII24 http://ascii24.com/
Copyright (C)2000-2008 ASCII Corporation. All rights reserved.