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Just Arks マルチプラットフォームに対応した純国産のJava製オフィスアプリ群
Just Arks
ジャストシステム
1万5000円(優待価格8000円)
03-5412-3939
http://www.justsystem.co.jp/


2001年11月8日

ワープロソフトの「一太郎」や日本語IMEの「ATOK」で知られるジャストシステムが、Java上で動作する一太郎、および表計算ソフト、プレゼンテーションソフトを開発し、11月2日より発売を開始した。ここではそのβ版を用いて、長らく一太郎ユーザーでもあったculi氏が各アプリの使い勝手をズバリ評価する。

ワープロ、表計算ソフト、プレゼンテーションを統合

 1999年12月、ジャストシステムが初めて100%Java言語で開発した「一太郎Ark for Java」を発売してから約2年。ようやくというか、以前から「Choco」と「Muffin」の名でそれぞれテクノロジープレビュー(TP)版を提供していたJava表計算ソフト「CalcArk」(カルカーク)とJavaプレゼンテーションソフト「PrezArk」(プレザーク)を一太郎Arkと組み合わせ、Javaオフィスソフト「Just Arks」として発売する。すでにTP版や9月20日からダウンロード可能になった機能制限付きの「Trial Edition」を試してみた方もいることだろうが、一方で「Javaで動くオフィスソフト? それって何??」という人も少なくないと思うので、β(試用)版を使ってその概要をレビューしていこう。

 ただし、オフィスユーザーにとっては難解なJavaとかXHTMLの技術の話は最低限に控えて、あくまで普通のユーザーにとっての「オフィスソフト」としての使用感などを中心に検証している。

Windowsに加えて、
Linuxにも正式対応したオフィスソフト

画面1
Javaベースなので、Just Arksの各アプリは多少の制限はあるもののマルチリンガルに対応している(Unicodeをサポート)。「ツール−言語・フォントの設定」で使いたい言語の設定をしておけば、同じ文書中での多国語混在も可能。
 Javaといえば、普通はIEなどのWebブラウザ上で動く「Javaアプレット」を連想されるだろう。確かにあれもJava(対応ブラウザに組み込まれたJava VM上)で動作している。だが、このJust Arksは、Javaの開発元サン・マイクロシステムズが提供する「Java 2 Runtime Environment」(JRE)という“OSとアプリケーションの間を仲介するソフト”の上で動作する。言い換えれば、Just Arksの各アプリはブラウザに依存することなく、そのOS上の一般的なアプリと同様に独立して動作する、ということだ。

 つまり、Just ArksはWin32環境(Windows Me/98や2000など)に加えてSolarisやLinuxといったUNIX系OSなど、原理的にはJREのある環境ならどんなOSでも動作できる。もっとも、現在JREが提供されているのはWin32版とLinux(インテルx86 CPU対応)、Solaris(SPARCおよびx86 CPU対応)だけなので、Just Arksの動作が確認されている環境は2001年10月中旬現在で以下のようになっている。



  • Windows 95/98/Me/NT 4.0/2000とJust Arksに添付のJRE 1.3.1
  • LASER5 Linux 6.2/TurboLinux Workstation日本語版 6.0/Kondara MNU/Linux 2000/Meister Linux Mandrake 7.2と添付のJRE 1.3.1
  • SPARC版Solaris 2.6/7/8と添付のJRE 1.3.1

 上記以外の環境、たとえばIntel版SolarisやLinuxのほかのディストリビューションについては、ユーザー各自の責任で使うことになる。Macintoshと、UNIXの一方の雄であるFreeBSDについては、JREが今のところ提供されていないため動作対象外となるが、FreeBSDでは、インターネット上でユーザーから一太郎Ark(製品版)の動作報告が上がっているので、Just Arksも動作する可能性はある。

画面02
Just Arksの情報が掲載されたArc Site(http://www.justsystem.co.jp/ark/)。動作が確認されたLinuxディストリビューションなどの最新情報はここで入手できる。

 試用版であるため厳密なスピード検証はできないものの、一太郎ArkやCalcArkを実際に使ってみたところでは、同じPC(PentiumIII-933MHz+Windows 2000)でのほかのオフィスソフトの動作と比べて、少なくとも同等かやや軽いという感覚で使用できた。PrezArkは、図版やページ数の多いファイルを読み込むと操作の実行に若干タイムラグが生じるが、これは製品版では改善されるだろう。起動時間も、JRE環境→各アプリという2段階で起動しているわりにはストレスを感じなかった。

 一方、アプリ本体がそれぞれ1〜2MB弱、必要に応じて読み込まれるプラグイン(後述)も各数KB〜1MB程度と、最近のアプリとしてはきわめて軽量であるにもかかわらず、JREを一緒に起動することでメモリをド〜ンと大量消費するので、ほかのオフィスソフトのように複数のアプリを同時起動して使う場合は、256MB以上に増設しておくほうが安心だ(複数起動時の最低必要メモリは128MBとされている)。

画面03
一太郎Ark、CalcArk、PrezArkでそれぞれやや大きめの文書を開くと、あっという間に実メモリの使用量が100MBを超える。ほかに常駐ソフト類があると、搭載メモリ128MBでは厳しい。


XHTML形式での保存と
従来のオフィス文書との関係

画面04
CalcArkとPrezArkのXHTML形式での保存ダイアログ。外部からリンクしている画像については、埋め込み型で保存(画像ファイルを一緒に保存)するかしないかを選択できる。
 Just Arksに共通したもうひとつの大きなセールスポイントは、「XHTML」を標準文書フォーマットにしていることだ。今やWebブラウザによる表示を考慮した「HTMLで保存」機能はオフィスソフトでは必ずサポートされているし、その際アプリ固有の書式をXML形式で保存する場合もあるが、それにしてもXHTMLでの保存を標準形式としたのはひとつの決断であろう。

 XHTML(The eXtensible HyperText Markup Language)というのは、現在のHTML 4をベースに、XMLに適合させるための改訂を行った規格だ。大ざっぱに言ってしまえば、わりとアバウトだったHTMLのタグ規則が、ちょっと厳密で理屈っぽく変更されている。一太郎Ark発売の翌月、2000年1月にW3Cの「Recommendation」(勧告)となり、2001年10月に「第2版」のドラフトが出たばかりだ。

 では、XHTMLを使うメリットは何か? というと、以下のような点が挙げられる。

  1. 文書を保存し直すことなく、そのままWebブラウザで見ることができる。
  2. 文書ファイルはテキストで記述されているので、文書をテキストエディタなどで直接修正できる。ブラウザに依存した見た目の不都合を直すのも簡単だ(ただし編集内容次第で以後、元のアプリで文書を読めなくなることもある)。
  3. スクリプトやXSL(XML文書のスタイルシート言語)と組み合わせて、CalcArkやPrezArkの文書ファイルを自動処理、生成できる。



画面05
PrezArkのXHTML形式のデータを一太郎Arkから「テキスト」として開いてみた。冒頭にXHTML 1.0の宣言がある。<style>タグでは見出し、箇条書き、本文といったレベル別に文字の位置や大きさ、フォントファミリーの指定が記述されている。
 最後の点について補足すると、オフィスソフトではデータをインポートしてマクロを使うような処理、例えばWeb上からの入力を自動的に統計データ(文書)に蓄積し、それをプレゼン文書の一部に引用として自動挿入する、といったシステムが、Just Arksでは、ブラウザを制御するのと同じスクリプトやスタイルシートベースで構築できるということだ。大きなシステムでなくても、各部門で作成された業務文書をそのままWeb上で公開する際、大量の文書に対して共通したデータ変更を一度に行うといった処理が使い慣れたスクリプトで簡単にできることは、特に企業のWebサイト管理上では労力とコスト面で大きなメリットになるだろう。



画面06
CalcArkとPrezArkのプラグイン設定。Webからダウンロードしたり、ユーザーが作成したプラグインを組み込めば、アプリそのものの機能を拡張できる。
 従来のオフィスソフトの文書の読み込みについては、代表的なものは標準でサポートされており、これまでの文書資産も活用できる。一部の文書形式については書き出しも可能だ。これらのデータコンバートは、そのほとんどが各アプリ本体とは別ファイル「プラグイン」の形で搭載されており、必要なときにだけ本体から呼び出される。



Just Arksがサポートする文書形式
共通 XHTML 1.0ファイルの読み・書き
テキストファイルの読み・書き
CalcArk Microsoft Excel 5.0/95/97/2000/2002ファイルの読み・書き
CSVファイルの読み、書き
(以下、後日公開予定)
三四郎8〜9ファイルの読み込み
Lotus1-2-3ファイルの読み込み
PrezArk テキストファイルの構造化分析(後述)読み込み
HTMLファイルの構造化分析読み込み
HTML4.01ファイルの書き出し
JAR形式(後述)の読み・書き
Microsoft PowerPointファイルの読み込み
一太郎Ark 一太郎Ver.5〜10ファイルのテキストと一部書式の抽出
Microsoft Word 6.0/95/97/98/2000およびRTFファイルのテキストと一部書式の抽出
HTML 4.0ファイルの読み・書き
Zip圧縮されたテキスト、HTMLファイルの読み・書き
ZipまたはGZip圧縮された一太郎8〜10ファイルのテキストと一部書式の抽出
GZip圧縮されたテキストの読み・書き
(以下、Webからダウンロード可能)
一太郎Ver.5〜10ファイルのテキストと一部書式を抽出(標準添付のプラグインより精度が高い)
一太郎Ver.3、Ver.4ファイルのテキストと一部書式を抽出
HTML 3.2ファイルの読み・書き

 中には書式を完全には再現できないものや、テキストの抽出だけできる形式があるのは残念だ。特に多くの人が使っているMicrosoft Office系の文書については、できるだけ(本家Microsoftのコンバータ並みに)正確な読み込みを可能にしてほしい。なお、LANやインターネット上のURLを指定し、HTTPやFTPでファイルを直接各アプリに読み込むこともできる。



Excelの操作体系を意識した
CalcArk

画面07
CalcArk。Excelと同様、1ファイル中に複数のシートを作成できるし、右クリックによるコンテキストメニューも使える。
 表計算ソフト「CalcArk」の機能は、かなりExcelを意識している。同じジャストシステムの表計算ソフト「三四郎」が、「一太郎」との親和性を念頭に置いて設計されているのとは対照的だ。現実には、多くの企業でExcelが表計算ソフトのスタンダードになっているので、ある意味、これまでExcelを使ってきたユーザーにとって、とっつきやすいとも言える。

 もちろん、セル書式のコピーや行列サイズの最適化といった表編集、あるいは関数、グラフ作成など表計算ソフトで頻繁に使う基本機能はしっかり押さえてある。関数は数学、文字列操作、日付/時刻から財務、統計、エンジニアリングまで約160種類が標準プラグインとして利用できる。新たなプラグインの形でユーザー定義関数を追加することも可能だ。



標準プラグインで用意された関数
数学/三角 ABS、ACOS、ACOSH、ASIN、ASINH、ATAN、ATAN2、ATANH、CEILING、COMBIN、COS、COSH、DEGREES、EVEN、EXP、FACT、FACTDOUBLE、FLOOR、GCD、INT、LCM、LN、LOG、LOG10、MOD、MROUND、MULTINOMIAL、ODD、PI、POWER、PRODUCT、QUOTIENT、RADIANS、RAND、RANDBETWEEN、ROUND、ROUNDDOWN、ROUNDUP、SIGN、SIN、SINH、SQRT、SQRTPI、SUBTOTAL、SUM、SUMPRODUCT、SUMSQ、SUMX2MY2、SUMX2PY2、SUMXMY2、TAN、TANH、TRUNC
文字列操作 CHAR、CLEAN、CODE、CONCATENATE、DOLLAR、EXACT、FIND、FIXED、LEFT、LEN、LOWER、MID、PROPER、REPLACE、REPT、RIGHT、SUBSTITUTE、T、TRIM、UPPER、VALUE、YEN
日付/時刻 DATE、DATEDIF、DATEVALUE、DAY、HOUR、MINUTE、MONTH、NOW、SECOND、TIME、TIMEVALUE、TODAY、WEEKDAY、YEAR 情報 COUNTBLANK、ERRORTYPE、ISBLANK、ISERR、ISERROR、ISEVEN、ISLOGICAL、ISNA、ISNONTEXT、ISNUMBER、ISODD、ISREF、ISTEXT、N、NA、TYPE
論理 AND、IF、NOT、OR
検索/行列 ADDRESS、CHOOSE、COLUMN、COLUMNS、HLOOKUP、INDEX、INDIRECT、LOOKUP、OFFSET、ROW、ROWS、VLOOKUP
財務 DB、DDB、FV、IPMT、IRR、MIRR、NPER、NPV、PMT、PPMT、PV、SLN、SYD
統計 AVERAGE、AVERAGEA、COUNT、COUNTA、MAX、MAXA、MIN、MINA、RANK、STDEV、STDEVA、STDEVP、STDEVPA、VAR、VARA、VARP、VARPA
エンジニアリング BIN2DEC、BIN2HEX、BIN2OCT、DEC2BIN、DEC2HEX、DEC2OCT、DELTA、GESTEP、HEX2BIN、HEX2DEC、HEX2OCT、OCT2BIN、OCT2DEC、OCT2HEX

画面08
あいまい検索。「ヴァ行」と「バ行」を同一視した検索などのほか、面白いところでは(「center」と「centre」のような)英語と米語の表記の揺れを含めた検索が設定できる。
 日本語に強いのもジャストシステム製ならではの特徴だ。日本語辞書順のソート、正規表現検索といった機能に加えて、ジャストシステムの検索技術「JIAS」を利用したあいまい検索機能を搭載している。大きなシートを作っているとありがちな全半角の混在やかな表記のゆれを、検索/置換で統一することが簡単にできる。

 セル自体の書式設定では、文字(フォント、サイズ、飾り、配置)とセルの表示/非表示などが変えられる。Excelのようなセルの結合ができないので、見積書/請求書など少し込み入ったレイアウトの表を作りたいとき不便なようにも思うが、横(行)方向については複数のセルを選択し、選択したセル全体に対して中央に文字を配置する機能がある。これを使いつつ罫線を消せば、セルを結合して中央に配置するのと同じ表示が一応実現できる。できれば縦(列)方向についても同じ機能がほしかった。

 グラフも、Excelのようなステップ(ウィザード)形式で作成できる。棒グラフから複合グラフまで、2Dと3D合わせて13種類のグラフ作成機能もまた、プラグインで組み込まれている。Excelのグラフほど事細かな設定こそできないが、逆に文書にマッチした背景や色の調整程度であればCalcArkのほうが簡単にできる。



グラフウィザード1
グラフウィザード ステップ1。便利なのは、グラフで使う色セットを一括変更する機能だ(ウィザードの第3ステップ)。グラフを作ったあと、配色を1つずつ変えていく手間が省ける。
グラフウィザード2
グラフウィザード ステップ2
グラフウィザード3
グラフウィザード ステップ3
グラフウィザード4
グラフウィザード ステップ4
グラフ
完成したグラフ

 作成したグラフをワークシートに貼り付けて表の値とリンクさせたり、再編集できるのもExcelと変わらない。このグラフは、XHTMLファイル中に埋め込んだXML、もしくはJPEG、PNG、BMP画像で保存される。ExcelのグラフはGIF形式で保存できるだけなので(クリップボード経由でコピーはできる)、Webページの素材として使いたい場合に便利な機能だ。



プレゼンの論理構築を支援する
PrezArk

画面10-a
以前書いたゲームレビューのオリジナル原稿テキストを「テキスト文書構造化」で読み込んでみた。もともとタグが付いているHTMLファイルなら、より的確な構造化分析とレベル分け処理ができる。
 PrezArkは、ジャストシステムとして初めてのプレゼンテーションソフトでもある。この分野も今は「Microsoft PowerPoint」の独壇場――というか、日本の企業にプレゼンテーションソフトを普及させた立役者がPowerPointだと言うほうが正確だろう。
 PrezArkはPowerPoint 97/98/2000の文書をそのまま読み込める(PowerPoint固有の機能を除く)ほか、インターフェイスやメニューからリハーサル機能、17種類のスライドエフェクトに至るまで、PowerPointライクな機能が多い。



画面10-b
こちらは本サイトに掲載中の同じ原稿(コサックス)。比較してみると面白い。
 だが、ジャストシステムの得意な日本語処理技術を生かしたいくつかの工夫も加えられている。例えば、テキスト、HTMLファイルの文書構造を自動的に解析して「タイトル」「箇条書き」「本文」に分類し(文書構造解析機能)、長い文章を箇条書きに切り分けて(ヘッドライン生成機能)読み込むことができる。普通の文章で書いた報告書などを要約してプレゼンする必要があるときに、その一次処理として便利な支援機能になるだろう。

 また、プレゼンの論理構築をサポートするための「アウトラインプロセッサ」機能が重視されている。特に「アウトライン表示」モードは、PowerPointよりもレベル表示が直感的で分かりやすく感じられる。ジャストシステムはPrezArkを「アウトラインプロセッサベースのプレゼンソフト」と呼んでいるが、先の日本語解析機能と合わせれば、

  1. テキストファイルで草稿を作成
  2. 自動解析でアウトライン生成
  3. アウトラインモードであれこれ思考、調整
  4. スライドの見栄えの設定



PrezArkスライドショー(日本語表示)
パーソナライズドビューのサンプル。同じPrezArkの文書で、日英2つのスライドショーを切り替え可能にしている。
――というプレゼン作成の工程を、よりスムーズな流れで進められるだろう。さらに、アウトラインを部分的にスライド表示に反映できる「パーソナライズドビュー」機能を使い、例えば日本語と英語を併記したアウトラインから日本語版スライドと英語版スライドの2つのビューを作成したり、1つのアウトラインから要約版と完全版のビューをそれぞれ設定して、2つのスライドショーを作ることも可能だ。要約版を別ファイルであらためて起こす手間が省ける。



PrezArkスライドショー(英語表示)
パーソナライズドビューのサンプル2。こちらは英語表示。
 PrezArkの目指す方向性は、PowerPointが「2002」で見栄えのよいスライドの作成支援に機能強化の重点をシフトしているのと対照的なアプローチではある。ちなみに筆者がプレゼン資料を作成する場合は、いつもテキストやWordでおおよそのアウトライン文書を作ってからPowerPointにインポートしているが、元のテキストをアバウトに書いてあっても自動解析してくれるPrezArkの機能はかなり使い勝手がよさそうだと思う。

 こうして作成したPrezArk文書は、標準のXHTML形式での保存に加えて、Webブラウザでより正確な見栄えを再現する「HTML形式」での出力(PowerPointのHTML出力と似ている)や、Java 2 対応のスライドショー用ビューアと埋め込み画像などを1つのファイルに同梱した「JAR形式」で保存することもできる。JAR形式の文書は、Java 2が動作する環境であればPCにPrezArkがインストールされていなくても、その内容を表示できる。



画面12
PowerPointに埋め込まれたベクトル図形は、PrezArkのXHTMLではSVGに変換される。同時にAdobe製のSVGビューアがインストールされるため、IEなどのブラウザでも画像を見ることができる。
 SVG(Scalable Vector Graphics)形式の画像ファイルに対応しているのも特徴だ。単にWebに最適化されたベクトル画像フォーマットというだけでなく、SVGデータはXMLベースなのでテキストで記述されている。現在のPrezArkでは埋め込まれた図形やベクトル画像はSVGに変換して保存されているだけだが、将来的にはスクリプトやスタイルシートでSVGデータを外部から制御し、図形に動きをつけるといった表現もできそうだ。



画面13
スライドショー。PowerPointのようにペンも使える。右下がスライドマップ。スライド全体の中で今どの位置にいるかが一目で分かる。
 細かいところでは、スライドのタイトルから「目次」を自動生成する機能もある。プレゼンの冒頭でこれから発表する内容の概略を説明するパターンは多いが、概略部分を作成する手間を省いてくれる。また、スライドショーのとき、全体のどの部分までスライドが進んでいるかを表示する「スライドマップ」機能も、「12/20」というような全体のページ数をスライドに挿入する必要がなくなり便利だろう。





一太郎Arkは、
XHTML作成ソフトとしても秀逸

画面14
一太郎Ark 1.1で、Ark SiteのHTMLページ(+リンクされたCSSファイル)を直接読み込んだところ。一太郎Arkの個々の機能はWeb文書の作成を前提にしたものが多いが、もちろん普通のワープロとして使うことも可能。特に多国語混在の文書作成には強みを発揮する。
 すでに単体販売されている「一太郎Ark 1.1」についても簡単に紹介しておこう。
 一太郎Arkについては、まだ類似製品が存在しないXHTML作成ソフトとしての評価が高い。プラグインでWeb用スタイルシート「CSS」(Cascading Style Sheet)のLevel 1に準拠し、Level 2の一部もサポートする。現在策定中のLevel 3も一部先取りしているので、インターネット上のHTMLファイルを読み込んだときに外部CSSファイルにリンクされていれば、一太郎Ark上での見栄えに反映できる。
 そのほか、表作成機能や箇条書きの書式、水平線、インデント、フレーム付き文書の作成など、Webで使うためのXHTML/HTMLのタグとして反映するための機能は一通りそろっている。

 スタイルシートだけでなく、タグセットそのものもユーザーが独自に定義できる。これはXML仕様に準拠したもので、例えば「住所録」というタグセットで「郵便番号」「住所」「名前」「電話番号」というタグを定義しておけば、一太郎Ark上でそれぞれ書式を指定した状態でこれらの独自タグを利用できる。HTMLやXHTMLの標準タグと違ってタグ自体にそのデータの内容に関わる意味が与えられているため、一太郎Arkで同じタグセットを使って作られた複数の文書から、例えば「住所」「名前」タグを(スクリプトを使って)抽出すれば、名簿の作成や宛名ラベルの作成なども自動的にできるわけだ。



安価でも一通りの機能を持ち
スルメのように噛み尽くせるソフト

画面15
今回は紹介を省いたが、Just Arksの購入者はジャストシステムが提供する「インターネットディスク」を50MB利用することができる。インターネットディスクへの接続ツールのJava対応版「IDisk Tool for Java」は、Web上からダウンロードできる。
 残念ながら、Just Arksの3つのアプリ間で、Microsoft Officeのような直接的にデータを連携させる機能はない。同じJRE対応のアプリではあるが、実はJava 2の実行環境は各アプリごとに1つ起動され、各アプリはそれぞれ独立して動作するためだ。標準文書ファイルは同じXHTMLベースなので、単純なCalcArkのシートをいったん保存してから一太郎Arkで読み込むといったことはある程度できるが、図形や画像が入った場合に、どの程度まで元文書が再現表示されるかという点に保証がない。普通のアプリユーザーとしては各アプリのデータに相互運用性はないものと割り切っておくべきだろう(XHTML規格に精通した人なら、文書ファイルのXHTMLに直接手を加えて相互読み込み可能にすることはできる)。



画面16
さらにJust Arksの登録ユーザーは、Java 2環境で動作するフォトレタッチソフト「Aurora」(コードネーム)のTechnology Preview版をダウンロードで入手できる。
 Just Arksの価格は1万5000円(JRE 1.3.1同梱)で、一太郎Arkの登録ユーザーは8000円の優待価格で購入できる(同社直販のみ)。  全体として見ると、多芸さでこそ確かに「Microsoft Office XP」などに及ばないが、それぞれアプリとしての完成度は高い。あらかじめ機能が限定されていることで、何ができて何ができないかを理解するまでに時間はかからないし、いったん理解できれば、手になじんで長く使えるツールになり得る。その上、スクリプトが使えればXHTMLの直接操作に挑戦したり、Javaプログラミングの腕に覚えがある人はプラグインを作ってアプリの機能自体を自由自在に拡張できるという可能性も秘めている。

 ただ、ひとつ同社に言わせてもらうなら、Microsoft Officeの環境に近づけようという現状の開発姿勢はいかがなものだろうか。マルチプラットフォームという利点はあるにせよ、WordやExcel、PowerPointのユーザーベースの多さによる「相乗効果」にそうそう付いてはいけないだろう。Wordのライバルとして健闘している「一太郎」を生み育て上げた技術力を生かして、従来のワープロや表計算やプレゼンテーションというカテゴリに収まらない、新しいコンセプトのオフィス向けソフトが作れないものだろうか。ジャストシステムの底力を期待しているのは私だけではないはずだ。



Just Arksのスペック
製品名 Just Arks
価格 1万5000円(優待価格8000円)
対応OS Java 2 Runtime Environment Version 1.2.2以降
動作確認済みOS(Windows 95/98/Me/NT 4.0/2000、LASER5 Linux 6.2/TurboLinux Workstation 日本語版 6.0、SPARC版Solaris 2.6/7/8)
発売元 (株)ジャストシステム
問い合わせ先 03-5412-3939
URL http://www.justsystem.co.jp/

(culi)




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