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一太郎12 作業の効率をアップする新機能を多数盛り込む
一太郎12
ジャストシステム
2万円(アップグレード版8000円)
03-5412-3939
http://www.justsystem.co.jp/


2001年12月22日

ジャストシステム「一太郎」の最新バージョン「一太郎12」では、文書の表現力そのものに関わる機能より、むしろ文章の内容に関わるデータの収集と作成を支援する機能の強化に重点を置いたのが特徴だ。なお、同梱される最新日本語IME「ATOK15」の詳細については別途レビューしているので、そちらを参照していただきたい。

「インターネットへの窓」になった
ナレッジウィンドウ

一太郎12のメイン画面。右にナレッジウィンドウが並ぶ。一番上のTechniqueには、関連する項目を自動選択して、使い方を提案してくれる。
 機能面の競争では行き着くところまで行ってしまった感もある、一太郎 vs. Microsoft Wordの「ワープロ対決」。シェア的にはご存じのようにWordの優勢が続いている。しかし、これらの「多彩で細かな機能」を熟知して使いこなせるワープロユーザーなど、ほんの一握りというのが現実だろう。

 ――にもかかわらず、筆者などは、今のワープロの使い勝手に対しては、まだまだ不満がある。ユーザーが欲しているのは、表現したい内容を効率的に文書にまとめられる「ツール」なのであって、ひとつの表現をするために複数のメニュー、コマンドの学習を強制される「アプリケーション」ではない。一太郎12の特徴を確認したとき、ようやく「ユーザーの目線」を重視した機能強化や改善が行われるようになった、という感を強く持った。



最大4つまで同時表示できるナレッジブラウザ。レイアウトは縦に並べるか横に並べるかのどちらかしか選べない。鍵型(』)などより自由なレイアウトが選べればもっと便利なのだが。
 その最たるポイントは、「ナレッジウィンドウ」の強化だ。前バージョン「一太郎11」では、ナレッジウィンドウで辞書引きやメモ、「一太郎の使い方」の参照といった機能を利用できたが、一太郎12では、新たにWebページをウィンドウの内に表示するブラウザ機能、「iATOK」「InternetDisk」といったジャストシステム製ユーティリティへのアクセス機能が追加された。

 中でも便利なのが、Webブラウザ機能だろう。現在、ビジネス文書作成のシーンでは、Web情報の活用が不可欠だ。複数のサイトに分散している最新のニュースや公的機関の公開データを引用し、まとめることで報告書やプレゼン資料を作るのは、今や多くの企業で「普通の仕事」になりつつある。

 そんなとき、ワープロとWebブラウザを別々に起動していると、いったんコピーしてからアプリを切り替えて貼り付けるという3段階の作業が必要だった。一太郎12のナレッジウィンドウには最大4つまでブラウザを表示することができ、横でWebページを参照しながら文書を作成したり、引用したいテキストをドラッグ&ドロップすることで一太郎上に貼り付けできる。




「ネットレポート」機能。テキストを範囲指定してドラッグ&ドロップすると、ページのタイトル、URL、画面イメージなどと一緒に貼り付けられる。

iATOKとの連動。一太郎文書中のキーワードから、国語、英和、和英辞典やサイト検索、BizTechニュース、TSUTAYAの映画・音楽情報などを検索する。
 iATOKについても、一太郎の文書中で入力した語句を指定して、すぐ横のナレッジウィンドウで直接iATOKのサービスを呼び出せるので、独立したウィンドウで参照していた従来のiATOKより、かなり使い勝手が向上する。

 InternetDisk(インターネットディスク)関連では、ナレッジウィンドウに表示したファイルを一太郎にドラッグ&ドロップすれば、直接インターネットディスクから開いて編集できる。編集した文書をインターネットディスクに直接保存する機能も追加されている。さらに「修太」(Syuta)の文書チェックをこのウィンドウ中から実行したり、あいさつやお礼、お詫びなどの定型句の文例を選んで文書に入力することもできる。

 また、ナレッジウィンドウに表示させたWebページの情報を、URLごと一太郎の文書中に取り込み、記憶させておくことも可能だ。その文書を人に送ると、相手のPCで開いたときに指定したWebページを呼び出し表示させられる。株価や為替相場などリアルタイムで変動する情報のURLを添付して送ったり、会社の出張伺フォーマットに乗り換え案内、航空会社、旅行会社サイトを記憶させておき、書類を作るときにすぐこれらのサイトを参照できるようにする、といった使い方ができる。

 残念ながら、一太郎12にバンドルされているスケジューラ「Sasuke 2.1」やメーラ「Shuriken 2.2」のデータをナレッジウィンドウに表示することはできない。だが、この方向性を追求すれば、近い将来、SasukeやShuriken、あるいは他社製のユーティリティやフリーウェア/シェアウェアをナレッジウィンドウと連携させることも可能だろう。要するに、一太郎12のナレッジウィンドウは、これまで独立したアプリとしてウィンドウ形式で存在するか、アプリに密着したアドオンとしてダイアログ形式で利用されていたツールやユーティリティを、文書作成環境の中に統合する場としての可能性を秘めている。





ワークシート、表枠など
従来機能の使い勝手も改善

同じ文書中の2枚のワークシートを左右に並べて表示。一見普通の並列ウィンドウ表示に見えるが、下のシートタブがひとつの文書であることを示している。
 従来からのユーザーにはおなじみの「一太郎ワークシート」は、Excelのワークシートと同様に、複数の文書を1ファイルにまとめて保存できる機能だ。各シートは一太郎文書である必要はなく、ほかのアプリのデータでもかまわないという点は面白い。例えば、企業の正規文書がWordになっている場合、使い慣れた一太郎で作成した文書を第1のシートに、同内容のWord文書を第2のシートに添付して一括保管するとか、作成した文書に関係のある別アプリのデータをシートにまとめて保管することができる。一太郎12では、文書内の複数のシートを左右または上下に並べて表示できるようになった。

 また、ワークシートの1枚を背景シートとして透過、重ね合わせることが可能だ。例えば、背景シートに共通する罫線を設定しておけば、個々のワークシートにいちいち罫線を引かなくても同じフォーマットの罫線付文書を作成できる、という具合だ。



表枠作成ツール。セルの幅なども文書中に反映される。一太郎では罫線ベースの表作成機能を使い、そこに表計算ソフトのデータを貼り付けることも可能。
 罫線付き文書を作るのに便利なのが、一太郎11から追加されている「表枠作成ツール」だが、このツールに待望の計算機能が追加された。これまで表だけはExcelで計算し、そのシートを文書中に埋め込んでいたという人も多いだろうが、一太郎12であれば、合計、平均値、四捨五入/切り捨て/切り上げなど基本的な計算について、この表枠作成ツールを表計算ソフトと同じ感覚で使用できる。

 そのほか、文書を外部に公開するときに伏せておきたい情報をあからじめ指定しておき、実際の公開時にはマスキングを実行するだけで塗りつぶすことができる「マスキング」機能や、一太郎文書に貼り付けた画像を自由に回転・反転させられるなど、細かな機能の改善もはかられている。



作業の効率をアップする新機能

一太郎プロンプト。これを覚えておけば、少なくとも一太郎上で文字列操作や関数演算など、一通りの作業ができるようになる。
 一太郎にもマクロ機能はあるが、普通のビジネスユーザーにとってマクロは敷居が高い。とはいえ、煩雑な操作や頻繁に繰り返す操作などは自動化できれば便利だ。
 そこで用意された新機能が「一太郎プロンプト」だ。カーソル位置から「Ctrl+スペース」キーを押すことで入力ウィンドウが起動され、すぐ下に開くコマンドヘルプを参照しながらスクリプトを入力し、キーやツールボックス、ライブラリに登録して実行できる。



環境ファイルのエクスポート設定ダイアログ。具体的にどのあたりの設定をファイルに出力するか指定できる。
 複数のPC間で文書フォーマットを統一したいときはテンプレートを用意するものだが、一太郎12ではこれに加えてアプリの細かい設定値を記録した「環境ファイル」を出力できるようになっている。あるPCの設定を環境ファイルにしてインターネットディスクや社内LAN上に置いておけば、自宅と会社の一太郎の設定を共通にしたり、社内の全ユーザーの書式を統一することが簡単にできる。ユーザーによってはアプリの設定を大幅にカスタマイズして使っている人も多いので、直接操作するのが危険なレジストリに記録されたWindowsアプリの設定を外部ファイル化できる機能は非常にありがたい(今までこれがなかったのが不思議くらいではある)。

 一太郎12ユーザー向けに無償提供されるインターネットディスクは50MB。インターネットディスク自体の使い勝手も向上しており、ローカルHDDのフォルダと同期させる使い方に加え、インターネットディスク上のファイルをWebブラウザで直接操作できるようになった。携帯電話から直接、アップしてあるファイルやフォルダのURLをメールで送信することも可能だ。PCのない外出先でも、相手に携帯でURLを知らせておけばファイルを渡す手配ができる。

 冒頭に書いたように、一太郎が進んでいるのはもはや「最強のワープロ」への道ではない。むしろ「最強の知的生産環境」に勝機を見いだそうとしているようだ。そして、それはユーザーにとっても好ましい方向性であるように思われる。



一太郎12の主なスペック
製品名 一太郎12
対応OS Windows 98/Me/NT 4.0+SP6a/2000+SP2/XP
HDD 145MB以上
価格 2万円(製品版)、9800円(キャンペーン版、12万本限定)、8000円(バージョンアップ版/キャンパスキット)

(culi)




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