![]() |
| |
――にもかかわらず、筆者などは、今のワープロの使い勝手に対しては、まだまだ不満がある。ユーザーが欲しているのは、表現したい内容を効率的に文書にまとめられる「ツール」なのであって、ひとつの表現をするために複数のメニュー、コマンドの学習を強制される「アプリケーション」ではない。一太郎12の特徴を確認したとき、ようやく「ユーザーの目線」を重視した機能強化や改善が行われるようになった、という感を強く持った。
中でも便利なのが、Webブラウザ機能だろう。現在、ビジネス文書作成のシーンでは、Web情報の活用が不可欠だ。複数のサイトに分散している最新のニュースや公的機関の公開データを引用し、まとめることで報告書やプレゼン資料を作るのは、今や多くの企業で「普通の仕事」になりつつある。 そんなとき、ワープロとWebブラウザを別々に起動していると、いったんコピーしてからアプリを切り替えて貼り付けるという3段階の作業が必要だった。一太郎12のナレッジウィンドウには最大4つまでブラウザを表示することができ、横でWebページを参照しながら文書を作成したり、引用したいテキストをドラッグ&ドロップすることで一太郎上に貼り付けできる。
InternetDisk(インターネットディスク)関連では、ナレッジウィンドウに表示したファイルを一太郎にドラッグ&ドロップすれば、直接インターネットディスクから開いて編集できる。編集した文書をインターネットディスクに直接保存する機能も追加されている。さらに「修太」(Syuta)の文書チェックをこのウィンドウ中から実行したり、あいさつやお礼、お詫びなどの定型句の文例を選んで文書に入力することもできる。 また、ナレッジウィンドウに表示させたWebページの情報を、URLごと一太郎の文書中に取り込み、記憶させておくことも可能だ。その文書を人に送ると、相手のPCで開いたときに指定したWebページを呼び出し表示させられる。株価や為替相場などリアルタイムで変動する情報のURLを添付して送ったり、会社の出張伺フォーマットに乗り換え案内、航空会社、旅行会社サイトを記憶させておき、書類を作るときにすぐこれらのサイトを参照できるようにする、といった使い方ができる。 残念ながら、一太郎12にバンドルされているスケジューラ「Sasuke 2.1」やメーラ「Shuriken 2.2」のデータをナレッジウィンドウに表示することはできない。だが、この方向性を追求すれば、近い将来、SasukeやShuriken、あるいは他社製のユーティリティやフリーウェア/シェアウェアをナレッジウィンドウと連携させることも可能だろう。要するに、一太郎12のナレッジウィンドウは、これまで独立したアプリとしてウィンドウ形式で存在するか、アプリに密着したアドオンとしてダイアログ形式で利用されていたツールやユーティリティを、文書作成環境の中に統合する場としての可能性を秘めている。
ワークシート、表枠など
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
同じ文書中の2枚のワークシートを左右に並べて表示。一見普通の並列ウィンドウ表示に見えるが、下のシートタブがひとつの文書であることを示している。 |
また、ワークシートの1枚を背景シートとして透過、重ね合わせることが可能だ。例えば、背景シートに共通する罫線を設定しておけば、個々のワークシートにいちいち罫線を引かなくても同じフォーマットの罫線付文書を作成できる、という具合だ。
表枠作成ツール。セルの幅なども文書中に反映される。一太郎では罫線ベースの表作成機能を使い、そこに表計算ソフトのデータを貼り付けることも可能。 |
そのほか、文書を外部に公開するときに伏せておきたい情報をあからじめ指定しておき、実際の公開時にはマスキングを実行するだけで塗りつぶすことができる「マスキング」機能や、一太郎文書に貼り付けた画像を自由に回転・反転させられるなど、細かな機能の改善もはかられている。
一太郎プロンプト。これを覚えておけば、少なくとも一太郎上で文字列操作や関数演算など、一通りの作業ができるようになる。 |
環境ファイルのエクスポート設定ダイアログ。具体的にどのあたりの設定をファイルに出力するか指定できる。 |
一太郎12ユーザー向けに無償提供されるインターネットディスクは50MB。インターネットディスク自体の使い勝手も向上しており、ローカルHDDのフォルダと同期させる使い方に加え、インターネットディスク上のファイルをWebブラウザで直接操作できるようになった。携帯電話から直接、アップしてあるファイルやフォルダのURLをメールで送信することも可能だ。PCのない外出先でも、相手に携帯でURLを知らせておけばファイルを渡す手配ができる。
冒頭に書いたように、一太郎が進んでいるのはもはや「最強のワープロ」への道ではない。むしろ「最強の知的生産環境」に勝機を見いだそうとしているようだ。そして、それはユーザーにとっても好ましい方向性であるように思われる。
| ||||||||||
(culi)
|