月刊アスキー 2005年5月号 2005年6月30日
低価格ながらもAcrobat
ゆずりの細やかな設定が可能
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「Acrobat 7.0 Elements 日本語版」の店頭パッケージ。 |
近年、ますます重要性の高まるPDFであるが、約3万〜5万円もするアドビの「Acrobat」は、一部の機能しか使わない一般ユーザーには高い買い物だった。サードパーティの独壇場だった一般ユーザー向け低価格帯PDF生成ソフト市場に、本家アドビが満を持して投入するのが「Acrobat 7.0 Elements 日本語版」(以下、Elements)だ。
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画面1 Acrobat Elementsを起動したところ。「次へ」のボタンでPDFファイル生成の詳細設定に移る。 |
Elementsは、4種類の方法でPDF生成が行なえる。1つは、Excel、Word、PowerPointのアドインから作成する方法。もう1つは、プリンタ設定でElementsを選択する方法。そして、Elementsのアイコンにドラッグ・アンド・ドロップする方法と、文書ファイルを右クリックしたコンテクストメニューから作成する方法である。これらの方法で、すぐにPDFファイルが作成される。セキュリティなどの、PDFファイル生成設定を行なう場合は、Elementsを起動してから設定を行なう(画面1)。
低価格版とはいえ、Elementsで設定できる内容は充実している。PDFの品質設定では、「プレス品質」や「標準」などのプリセットが用意されると共に、ユーザーが任意の設定を行なうこともできる。画像圧縮形式としてZIPやJPEGを選択可能で、一定の大きさを超えたもののみを高圧縮率にする設定も可能だ。また、網点のドットゲイン、RGBやCMYKのプロファイルなどのカラーマネージメント設定も、ほぼAcrobatと同じことができる(画面2)。セキュリティ設定では、文書を開くためのパスワード、印刷および編集のパスワードをかけることができる(画面3)。印刷の解像度を低解像度に制限したり、テキストや画像のコピーを禁止することも可能だ。
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画面3 セキュリティ設定。128bit暗号化を施こすことができる。スクリーンリーダーデバイスのテキストアクセスを無効にすると、テキスト検索も制限される。 |
これだけ細かい設定ができるとはいえ、やはりAcrobatと比べていくつかの機能が省略されている。まず、アドイン可能なソフトから、OutlookやInternet Explolerが対象外になっている。Elementsは、Acrobatでいうところの「Acrobat Distiller」にあたるソフトであり、フラッシュなどをレンダリングする機能を持っているのはAcrobat本体だからだ。そのため、WebページのPDFを作成をプリンタから行なうと大きくレイアウトが崩れることがある。そのほか、電子署名機能がなく、ページ編集機能がない点も、業務用途では不便に感じられるだろう。
他社の低価格ソフトと
PDF生成結果を比較してみる
他社製品の中には、Elementsよりも低価格なものや、編集機能が備わったものも存在する。それらと比較検討してみよう。比較の対象として、ジャストシステム「Justsystem PDF Creator」(税別6800円)と、ソースネクスト「いきなりPDF Professional」(2980円)を選んだ。PDF Creatorは、一太郎・Word・PowerPointへのアドインが可能で、商業印刷用のPDF設定がプリセットで用意されている。いきなりPDF Proは、ページの分割や結合ツールが付属するが、画像の圧縮方式(バイキュービック法など)を選択することができない。また、アドイン機能はなく、プリンタ設定からのみPDF生成を行なう。
Excel・PowerPoint・Wordのサンプルファイルを用意し、それぞれのソフトでPDF生成してみた(なお、テストに使用したElementsはβ版のため、製品版は異なる結果が出る可能性がある)。いずれも標準設定の状態でPDF化を行なった。
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元の原稿(Excel 20KB) |
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Acrobat Elements 7.0 (1)38KB |
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PDF Creator (2)26KB |
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いきなりPDF Professional (3)26KB |
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Excelデータの比較 |
Excelのサンプルではセルの書式に「通貨」を用い、PDF化の際に文字化けがないかを見たが、いずれも文字化けはなかった。縦書きのセルもちゃんとPDF化されている((1)〜(3))。
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元の原稿(PowerPoint 566KB) |
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Acrobat Elements 7.0 (4)95KB |
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PDF Creator (5)1127KB |
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いきなりPDF Professional (6)429KB |
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PowerPointデータの比較 |
PowerPointでは、日本語テキストは原稿どおりに変換できたので、試しにラテン文字を使い、半透明の効果を付けてみた。テキストは文字化けしなかったが、半透明部分で仕上がりに差があった((4)〜(6))。Elementsでは問題はなかったが((4))、PDF Creatorでは格子状の線が入っており((5))、いきなりPDF Proでは半透明が白塗りになってしまった((6))。
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元の原稿(Word 27KB) |
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Acrobat Elements 7.0 (7)55KB |
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PDF Creator (8)42KB |
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いきなりPDF Professional (9)565KB |
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Wordデータの比較 |
Wordでは、テキストにラテン文字を用い、フォントにOpenTypeを使用、また、グラデーションの塗りと「回覧」と書いてある透かしを配置してみた。テキストもフォントも文字化けはなかったが、透かしで差が現われた((7)〜(9))。ElementsとPDF Creatorでは、「回覧」の文字がモワレになっている((7)、(8))。いきなりPDF Proでは、なぜか原稿サイズよりも横に長いPDFが生成された。これは、用紙設定で原稿と同じサイズを指定すると解決できた。また、「回覧」の字にムラができていた((9))。
それぞれに長所があるが、原稿どおりのPDFが生成できるという信頼性の面では、本家アドビのツールに一日の長があるようだ。
| Acrobat 7.0 Elements 日本語版の主なスペック |
| 製品名 |
Acrobat 7.0 Elements 日本語版 |
| 対応OS |
Windows 2000 SP2/XP/Tablet PC Edition |
| 必要HDD容量 |
80MB以上 |
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(月刊アスキー編集部・細谷)
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