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入力スピードをアップさせる“支援機能”ATOKはバージョンアップごとに少しずつ“補完入力”の機能を充実させてきた。例えば「いつもお世話になっています。」「よろしくお願いします。」といったあいさつ文はビジネスメールで必須の表現だ。2〜3回なら手入力するのもいいだろうが、毎日の忙しい業務の中で、毎回すべての文字を打ち込むのにわずらわしさを感じたことはないだろうか?
ATOKにはこれらの慣用的な言い回しを先読みして、変換候補をツールチップ上に提示する“推測変換”の機能が用意されている。「いつもお世話になっています。」であれば、「いつもお」の4文字を入力して“Shift+Enter”を押すだけでいい。これはデフォルト時の設定だが、利用頻度が高ければ、「いつ」の2文字だけで済むといった具合に、より少ない文字数で入力できるようになっていく。省入力の候補として提示してくれる語句や文章には、ビジネス用語だけでなく、ことわざや慣用句も含まれている。ユーザーの確定履歴を自動的に学習する機能も含まれているため、使えば使うほど効率よく文章を入力できるようになるのだ。 推測変換は、あらかじめ登録された定型文やユーザーが過去に入力したフレーズがツールチップ上に表示される機能だが、ATOKにはこれをさらに拡張した“推測候補モード”も装備されている。携帯電話機などに搭載されている“入力支援機能”に近いものと考えればいいだろう。 推測候補モードには「Ctrl+変換キー」で入ることが可能。文字を入力すると前方一致で、ATOKの確定履歴や省入力データに登録されている単語が一覧表示されるので、キーボードに不慣れな人でも快適に文字を入力できるようになる。
パソコンで文章を入力するのは、どんな達人にとっても手間がかかるものだ。どんなに速くタイピングできるようになっても、打つ文字の数が多ければ、それだけ入力に時間がかかるのは当然である。UNIXのコマンドも、よく使うものほど“pwd”(Print Working Directory)や“cd”(Change Directory)のように、単語のイニシャルを取った極力短いものになっている。ユーザー辞書を鍛えれば、少ない打鍵数で定型文を入力できるようになるが、単語登録は地道で面倒な作業でもある。単語登録のわずらわしさを感じずに使える点は、他社のソフトにはないATOKならではの特徴と言えるのではないだろうか。 単なる変換から、文章の表現力を広げる道具に進化ここまで見てきた機能は、主に入力を手助けするためのものだが、最近のATOKには“入力補完”や“単語の自動登録”だけではなく、文章の表現力を広げるための機能が追加されている。そのひとつが電子辞典との連携機能だ。 ATOK 2006には「明鏡国語辞典」「ジーニアス英和辞典」「ジーニアス和英辞典」の3つの電子辞典をバンドルした「ATOK 2006 [電子辞典セット]」というパッケージが用意されているほか、「広辞苑」や「知恵蔵」といった専用のATOK連携電子辞典も単体販売されている。電子辞典を追加することで、意味を表示でき、詳しい用法なども調べられるようになる。 連携辞典の使い方は非常にシンプルで、入力している言葉の意味を調べたくなったときに“End”キーを押すだけでいい(ATOK標準設定の場合)。日本語にうるさい人に提出する文章であっても、十分に文章を練ることができるはずだ。 また、ジーニアス英和/和英辞典では、語句や用法だけでなく、挿絵を見たり、ネイティブスピーカーの発音を確認することもできる。表示された内容はマウス操作でコピーすることもできるので、電子辞典に掲載されている例文をそのまま入力中の文章に貼り付けて使える。 電子辞典との連携機能はATOK 2005も持っていた機能だが、ATOK 2006ではATOKで入力/変換した文字列以外にも、Office連携ツールをセットアップすることで、Internet Explorer上で表示されている単語の辞典検索が可能になっている。加えて、ユーザーが連携辞典の切り替えを行なわなくとも“自動辞典切替”できる機能(複数の電子辞典を対象に、まとめて見出し語検索できる機能)も追加されている。 これらの機能は、専用の電子辞典ソフトでも実現できるものだが、辞書ソフト用のビューアーをインストールしたり、辞書を引くためにいちいち別のアプリケーションを起動する手間なしに「文章入力の過程で、気軽に言葉の意味を確認したい」という人も多いだろう。動作も軽快で、漢字変換と同じ気軽さで電子辞典が閲覧できるのも特徴だ。ATOKといえば日本語入力というイメージがあるが、実際の使用環境を考えると日本語以外の辞書も参照したいというニーズは多いだろう。特に、仕事で英文を書かなければならないビジネスマンや、論文を英語で書かなくてはならない学生などが重宝する機能ではないだろうか。 また、従来のバージョンからATOKに搭載されている“連想変換機能”も見逃せない。これは、ある文脈の中で「知る」という意味の言葉を入れたいのだが、ぴったりはまる表現が思いつかない、そういうときに役立つ機能だ。使い方は簡単で、漢字変換を行ない、確定する前にCtrl+Tabを押すだけだ。プルダウンで類義語一覧が出てくる。このときそれぞれの言葉の詳しい意味やニュアンスの説明も表示されるので、吟味して選ぶことができる。英語圏では文章を書くときに“シソーラス”という類義語辞典を使うのが一般的というが、ATOKの連想変換機能はシソーラスに相当する便利さを提供してくれる。 語彙の少なさや、文章表現のマンネリ化を感じたことがあるなら、迷わず使ってほしい機能である。 小粒でピリリと辛い、ATOKならではの機能細かい機能となるが、新機能の“日付入力支援”もなかなか便利だ。「きょう」と入力して変換すると、今日の日付が変換候補の中に出てくる。書類の中で西暦ではなく年号で記述しなくてはならないが、「今日が平成何年の何日だったかとっさに思い出せない」といったケースは意外に多いものだ。そんなとき、西暦と和暦を相互に変換する機能は重宝する。
バージョンアップのたびに、必ず最新情報を反映させている、地名や組織名の“名称変更アシスト”機能ももちろん健在だ。これは、合併した市町村や官公庁を、最新の名称に直してくれる機能で、普通に使っているぶんにはそれほど便利さを意識しないかもしれないが、地名を入力する機会が多い仕事に携わる人には重宝する機能だろう。 2002年発売のATOK15以来、対応地域を増やしてきた“話し言葉モード”の方言対応も、ついに全国対応となった。“話し言葉関西モード”“北海道東北モード”“九州モード”“中部北陸モード”“中国四国モード”に加え、主に北関東の方言に対応した“関東モード”が追加されている。話し言葉モードの切り替えは、ATOKパレットの「般」ボタン(デフォルト設定の一般モード)をクリックすることで行なえ、文語を含む全国8地域の話し言葉を選ぶことができる。話し言葉モードでは、「行かへん(関西)」「行こまい(北陸)」「行くたい(九州)」のように、各地の話し言葉の特徴を残した変換ができるようになる。 すぐには気づかないかもしれないが、最新の時事用語やトレンド用語を常にフォローしているのも、ATOKの楽しい特徴だ。試しに自分の好きなアイドルの名前などを入力してみると、思わず「なんと、こんな単語も正しく変換できるのか!」と驚くはずである。 日本語を入力するという作業は、パソコンを使う人ならば誰もが避けられないものだ。しかし、誤変換への慣れや、タイピング速度の向上は必ずしも必須ではない。ATOK 2006は、変換候補を順繰りに探すぐらいなら、その労力を別のところ――特に文章全体の推敲にこそつぎ込みたい、そう考える人のためのソフトだ。特に、避けられないものと思っていた日本語入力の煩わしさから解放してくれる“訂正学習”や“推測変換”、文章の質を高められる“電子辞典連携”などは、一度使ったら離れられなくなる機能ではないか。
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